菊地臣一 コラム「学長からの手紙  〜医師としてのマナー〜

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24.論文の読み方

このメモは医師としてのマナーですから、狭い意味で言えば論文の読み方というタイトルは相応しくないのかもしれません。しかし、広い意味に取ればこれも医師としてのマナーに入る事柄です。

論文の読み方はその医師の成長とともに変化します。また、変化しなければその医師は成長しているとは言えません。具体的に述べてみましょう。

研修医時代には論文を読む時には、その論文に何が書いてあるかに研修医の関心が集中します。卒後5、6年を境に今度は自分が論文を書く立場になってくるので、その結論を出す為にどう書いてあるかという表現の仕方、或いは論理のもっていき方に読者の関心が向きます。さらに卒後10年を境に自分で研究のアイデアを出し、或いは研究を指導する立場に立つと、その論文の結果よりもその方法論に関心がいきます。この様に医師は自分の成長或いは、自分の置かれている立場において、論文の読み方に変化が生じてきます。ですから一度論文を読む時にどういう読み方をしているか、振り返ってみて下さい。私の言った事を念頭に置いて自分の読み方を考えてみると、直ぐにそういう論文の読み方の違いに気が付き、視点の変化があるという事実或いは、そういう読み方もあるのかという新鮮な驚きで、更に論文の読み方が楽しくなる筈です。

 

 

 

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