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移植医療部

スタッフ紹介

氏名 職名/兼務
田中 秀明 移植医療部部長/小児外科教授
木村 哲 移植医療部副部長/血液内科学講座講師
佐藤 直哉 移植医療部副部長/肝胆膵・移植外科学講座学内講師
秦 淳也 移植医療部副部長/泌尿器科学講座学内講師
丸橋 繁 肝胆膵・移植外科学講座主任教授
池添 隆之 血液内科学講座主任教授
小島 祥敬 泌尿器科学講座主任教授
池田 和彦 輸血・移植免疫学講座主任教授
見城 明 肝胆膵・移植外科学講座教授/看護師特定行為研修センター教授
市川 優寛 脳神経外科学講座准教授
高瀬 信弥 心臓血管外科学講座病院教授
佐藤 崇匡 循環器内科学講座准教授
望月 一弘 小児腫瘍内科講師
高橋 裕志 血液内科学講座助教
井石 雄三 集中治療部(麻酔科)助教
小野 敦史 小児科学講座助教
藤田 将史 消化器内科学講座助教 
田辺 隼人 糖尿病内分泌代謝内科学講座助手
前原 紘基 眼科学講座助手
飯島 綾子 脳神経外科学講座助手
上野 智史 救急医療学講座助手
尾形 誠弥 小児外科助手 
三森 浩太郎 小児外科病院助手
町野 翔  小児外科病院助手
小野 智 輸血・移植免疫部主任医療技師
高野 希美 輸血・移植免疫部医療技師
國分 希美 レシピエントコーディネーター(肝)/看護部主任看護技師
伊藤 洋平 レシピエントコーディネーター(腎)/看護部主任看護技師
安斎 紀 専門造血細胞移植コーディネーター/看護部専門員
白潟 美千代 造血細胞移植コーディネーター/看護部主任看護技師
東雲 紀子 VADコーディネーター/看護部副看護師長
柳沼 靖子 院内コーディネーター/看護部看護師長
他院内コーディネーター8名(看護師)在籍

診療科の紹介とアピール

 病気により臓器や組織、細胞の機能が失われた患者さん(レシピエント)に対し、他の方からそれらをいただき、機能を回復させるのが移植医療です。臓器等を提供してくださる方(ドナー)の善意のもとに行われる点が他の医療との大きな違いです。移植には大きく分けてご家族など生きている方からいただく生体移植と、亡くなった方から臓器等を提供いただいて行う脳死/心停止移植があります。当院では現在肝臓、腎臓、膵臓、角膜、造血幹細胞移植を行っており、また膵島移植についても保険診療での開始へ向け準備が進んでいます。心臓移植は他施設にて行っていただいていますが、移植前の管理として植込型補助人工心臓による治療を行っています。
 移植医療には、外科医のみならず、HLAタイピング含めた術前評価、免疫抑制療法や輸血を含めた周術期管理、拒絶反応等の診断のための病理診断などを担う多くの診療科の連携が大切です。また各部署間の調整を行い、レシピエントとドナー、そのご家族をサポートするコーディネーターが重要な役割を果たしています。これら業務を横断的に推進することを目的に2017年に当移植医療部が開設されました。当院は脳死下臓器提供を行っており、その院内体制の整備および維持も重要な業務です。加えて福島県臓器移植推進財団(https://www.fukushima-isyoku.or.jp/)と協力しつつ、移植医療への県民の皆さまの理解を深める活動の一翼を担っています。
 当院の各移植部門およびコーディネーターの現状について以下にご紹介いたします。

【肝臓移植】

当院では、他の手段では治癒が望めない成人・小児の肝不全患者さんを対象として、肝胆膵・移植外科と小児外科が連携して肝移植術を行っています。1995年から2022年5月までの間に計74症例の肝移植を行いました(生体肝移植;71例、脳死肝移植;3例)。原疾患の内訳は、胆道閉鎖症、劇症肝炎、原発性硬化性胆管炎、肝細胞癌、C型肝硬変、アルコール性肝硬変、非アルコール性脂肪性肝炎、アラジール症候群、原発性胆汁性肝硬変などとなっています。当院で肝移植術を受けた患者さんの術後の生存率は、5年で81.7%、10年で72.9%であり、日本全国の成績と同等です。特に肝胆膵・移植外科ならびに小児外科が設立された2016年以降の手術成績では16例全例が生存され、良好な短期/長期成績が得られています。

【膵臓移植】

膵臓移植は1型糖尿病に対して行われ、腎不全に陥った重症な糖尿病患者さんには「膵腎同時移植」と「腎移植後膵臓移植」が行われ、腎機能が良い患者さんには「膵単独移植」が行われます。当院では肝胆膵・移植外科が膵臓移植を実施しております。2001年から2022年の期間に計8例の膵腎同時移植を行って参りました。全ての移植患者さんにおいて良好な膵機能が維持されています。

【腎臓移植】

当院泌尿器科では、慢性腎不全の患者さんに対して、これまでに腎移植の手術を計103例(生体腎移植 77例、心停止下11例、脳死下15例)行っています(2022年5月時点)。移植された腎臓の生着率(移植してからある一定期間機能している移植腎の割合)は、5年で96%、10年で85%と、他の施設と比較しても遜色ない良好な成績を得ています。

【角膜移植】

当院眼科では、角膜移植を年間約30件おこなっております。当院での角膜移植はパーツ移植と呼ばれる難易度の高く、かつ術後の成績の良好な術式を主に行なっております。保険収載となった角膜再生医療にも当院は参画しており、治療可能になりました。また、現在角膜移植は2-3ヶ月待ち程度で予定を組むことができます。手術の適応や術式の決定を、様々な検査を行なって慎重に決定することで患者さんにも満足のいく結果が出るように努めています。

【造血幹細胞移植】

小児:小児腫瘍内科では新しい移植法として「ハプロ移植」の開発に取り組んでいます。骨髄移植などの造血幹細胞移植ではHLAが合ったドナーから移植するのが一般的ですが、そのような移植によっても救命が難しい難治例に対して、GVL効果と呼ばれるドナー細胞由来の強い抗腫瘍効果を期待して、あえてHLAが半分合っていないドナー(小児患者の場合は両親のどちらかをドナーとすることが多い)から移植する方法です。これまでの延べ実施件数は170例を超え、難治性小児白血病に対する治療成績は3年全生存率が45.1%です。
成人:血液内科では骨髄バンク認定施設として、患者さんごとに最良の移植治療を提供できるように努めております。病棟にはNASA基準のクラス100無菌室3床とクラス1000準無菌室5床、クラス10000クリーンルーム8床が完備されています。2021年は、同種移植33件(骨髄移植6件、末梢血造血幹細胞移植 11件、臍帯血移植16件)、自家移植11件を実施させていただいております。半合致移植に関しても治験段階から積極的に行っております。また、学会認定専門造血細胞移植コーディネーター(全国で3名)1名と学会認定造血細胞移植コーディネーター(東北ブロックで11名)1名が移植全体にわたるきめ細やかなコーディネートを行っております。

【植込型補助人工心臓/心臓移植】  

当院では、2017年から重症心不全患者に対する心臓移植への橋渡し治療としての植込型補助人工心臓(iVAD)治療を開始し、現在まで、18名のiVAD患者に同治療を行ってきました。当院での補助人工心臓の生存率は良好で、すでに3名の患者さんが心臓移植に到達しました。一方、iVAD治療は様々な合併症を来しうる治療でもあり、重症心不全チーム一丸となり日々取り組んでいます。

【膵島移植】   

膵島移植は膵臓からインスリン分泌がなくなってしまったインスリン依存1型糖尿病に対する根治的な治療のひとつです。膵臓よりインスリンを分泌する膵島を分離し、患者さんの門脈に輸注する組織移植であり、臓器移植である膵臓移植と比較して低侵襲であるという優位性があります。わが国では、これまで先進医療Bとして実施されてきましたが、2020年4月より「同種膵島移植術」として保険収載されました。福島医大では、南東北・北関東ブロックの地域を担当し、これまでに1例の移植を施行しました。現在、保険診療として膵島移植を実施する認可を得るための準備を進めております。

【コーディネーター】   

当院のコーディネーターは、移植コーディネーターと院内コーディネーターに分かれます。移植コーディネーターは関連学会による認定資格を持つ者で、肝移植、腎移植、造血細胞移植、VADの各コーディネーターが計7名います。それぞれの移植に際しての医療チーム間の調整と患者さんとそのご家族へのケアを行い、特に生体移植に際してはドナーへの支援も行っています。院内コーディネーターは主に脳死下臓器提供の際にその関連する病棟・部署にて活動し、ドナー家族への対応や提供に関わる部署間の調整を行います。当院ではこれまで5例の脳死下臓器提供を実施しており、ドナーの方とそのご家族の思いに寄りそったサポートを提供できるよう心がけています。

公立大学法人福島県立医科大学附属病院 移植医療部
電話024-547-1522(内線3616)   FAX 024-547-1981