《講義》 急性期原子力災害医療対応の現実  
講師 : 長谷川 有史(放射線災害医療学講座・放射線災害医療センター)
  震災時の救急医療現場の混乱とその原因、緊急被ばく医療体制の再構築のための整備及び教育について、講師自らの体験に基づいて伝える

 感想等(抜粋)
「感情と論理で揺れ動いていた。」「災害が他人事から自分事に変化した。」「心境が変化したのはクライシスコミュニケーションがあったから」という言葉が印象的であった。どんなに災害シミュレーションをやっていても自分事とは考えられずに行っている部分があった。今回のように初めての状況に直面して動けるためにも今回の先生方の経験から姿勢を学んでいきたいと思う。


《実習》 被ばく・汚染傷病者受入実習  
      講師 : 熊谷 敦史 ・ 安井 清孝 ・ 吉田 浩二
被ばく・汚染傷病者医療対応実習。第一報を得て、直ちにチーム編成と対応内容のブリーフィングを行った後に三班に分かれ対応。一例目は歩行可能な下腿汚染者、二・三例目は汚染を伴う下腿開放骨折とし、情報収集、防護服着用、汚染拡大防止、汚染患者救急対応を実践。
   

感想等(抜粋)
医師・技師・看護師三位一体で一人の傷病者に関わるが、タイベックを着用し普段と違う環境下で声も通らなければサーベイという特殊な物が入り、治療する経過もスローになってしまう状況下で本当に大変なんだと身にしみて感じました。私たち看護師が得意とする、患者に寄り添い不安を緩和するコミュニケーションスキルは、周囲がバタついている時こそ発揮するのだと改めて感じました。


《フィードバック・修了式》   修了証書授与 : 熊谷 敦史

   

最後に、このセミナーへ参加しての全体のご意見・ご感想を伺いました。(抜粋)

  今回のセミナーに参加させていただき今回の複合災害に関する状況を現場の視点からを知ることができました。印象的であった3点を特に述べたいと思います。一つ目はよろず相談で実際に避難者と話をさせていただいたことで、東日本大震災は現在も続いているものだということがあらためてわかりました。どうしても放射線治療という面に意識が行きがちでしたが、大事なのは今を生きている住民のだれにも言えない悩みや不安をいかに取り上げていくかということを感じることができました。そのことが最終的に早期発見・早期治療につながっていくのかなとも感じました。住民の方も話してましたが、受け入れている側の方の話もききたいなと思いました。二つ目は被災地の訪問です。3年たちますが今もあのときのまま残っていることにショックを受けました。時が止まるというものを目の当たりにした気がします。住民の方の不安もこの現状があるからなんだろうなと感じました。三つ目は被ばく医療が勉強になりました。実際にシミュレーションで防護服を着用し、診察・除染などをすることでよりリアルに考えることができました。また、その前段階としての講義や机上シミュレーションが大いに役立ったと思います。研修医という立場で参加させていただいたことを大変ありがたくおもいます。また、主催者の先生方や参加者の方からも大変刺激を受けました。今後も参加したいと思いますのでよろしくお願いします。ありがとうございました!!

  恥ずかしい話ですが、原発事故も時間とともに世間では風化していて、今回の研修は福島県内の医療者のみかと思っていました。しかし、全国から参加者があり、まだまだ福島の震災、原発事故が薄れていないんだと実感できたのと、この震災、原発事故を風化させてはいけなく、これからなにを学ぶか、何ができるか考えていかなければいけないことを今回深く学びました。双葉町、富岡町の見学では、県民のため毎日のニュースで現状を知っていたつもりでも、まだ復興が始まっていない現実をみて、とても痛く、また、怖く感じました。医療の話だけでなく、実際の消防の取り組みや、保育園の話。ニュースでは知りえない貴重な話で、同じ福島県内に住んでいながら知らない事でした。原発事故が及ぼす影響が健康だけでなく、体力や精神まで及ぶことが、実際の話から経過がみえ理解出来ました。また、原発、放射線に関係する事故がこんなにも多く起こっていることや、関連する事が原発だけではないと知識として初めて知りました。研修を通して、放射線と見えない敵、ただただ怖かったものが、少し形がみえてきて、対応をしっかりすれば、防げない事ではないことが理解できました。呆然とこわかった敵が、ぼんやり見えてきたことが今回自分の中でとても大きいです。また、県外のみなさんの関心が高く、研修内容も素晴らしいですが、全国からの医療者と話せる機会としても最高でした。どの講義も医療だけでなく、ちがった側面から今回の原発事故がみえ、考え方、見方が広がりました。医療者としてだけではなく、一人の人間としてとても身になる研修でした。本当にありがとうございました。


  ただ講義を聞くだけでなく、実習や被災地をまわることによって、頭で考えるだけでなく、身で感じて認識することができたので、良い経験ができました。医療従事者として、診療放射線技師として、いわき市に住み、地域の方と接する一員として、考えて行動していかなければいけないことがまだまだたくさんあることが分かりました。 これからは、知識のみならず、行動につなげていけたらと思えるようになりました。大変貴重なセミナーを体験できました。ありがとうございました。