《講義》 避難者の生活とメンタルヘルス  
講師 : 桃井 真帆(放射線医学県民健康管理センター)
  実際に被災者の声を聞き続けてきた臨床心理士による講義。福島における避難の特徴と、避難者における心理学的知見について、症例提示を交えながら紹介。

 感想等(抜粋)
いわゆる通常の災害でのストレス・PTSDだけでなく、福島特有の問題「長期避難と帰還に伴う問題」を理解することができた。また、支援者にも起こることが知れた。


《講義》 福島めばえ幼稚園における震災と取り組み  
講師 : 伊藤 ちはる(福島めばえ幼稚園教員)
  震災後、現在に至るまでの経験と放射線被ばくへの対策等に関する概説に加え、震災後の保護者の要望、様々な制限かでの園児の成長と保育上の課題を年次毎にわかりやすく紹介し、保育のあり方をも考察する内容

 感想等(抜粋)
子供の行動からその心理をしっかり分析しそれに対する対応をして、子供の発達のために仕事をされている話を聞くことができ、非常に興味深い講義だった。

《講義/討論》 災害に備えるために  講師 : 宮谷 理恵
  放射線災害に対する平時の備えについて、受講者が自施設で出来る(出来そうな)ことの確認と、日頃の体制整備などを考える機会を提供

 感想等(抜粋)
放射線災害に対しどの様に対策をするのかを実際に考えられました。また、実際の被ばく医療をどのように病院に取り入れていくか具体的な実例を知り、自院でも取り入れていけるようにしたいです。


《ランチョンセミナー》 原発事故に向き合って(急性期対応)
  講師 : 長谷川 有史(放射線災害医療学講座)
  震災時の救急医療現場の混乱とその原因、緊急被ばく医療体制の再構築のための整備及び教育について、講師自らの体験に基づいて伝える内容

 感想等(抜粋)
災害拠点病院の場合、職員の「知力の欠如」によって、災害時に対応できないことから、知力を獲得しておく必要があると思われた。

《演習》 リスクコミュニケーション・よろず健康相談模擬演習
講師 :熊谷 敦史 ・ 安井 清孝(医療人育成・支援センター) ・ 宮谷 理恵
受講生互いに住民役・相談役となり放射線不安の相談を体験する面接演習
  

 感想等(抜粋)
相談役、患者役の両方を体験してみて、相手の不安をとりのぞくことの難しさを痛感した。放射線に関して正しい知識をもって説明すること、共感し寄りそうように話を聞くように心がけたいと思います。


《講義/討論》 リスクコミュニケーション:医療者の役割  講師 : 熊谷 敦史
  福島における住民に対する震災及び放射線健康リスクにいかに対応するか、医療者の視点からこれまでの経験と今後のあるべき姿を考える内容

 感想等(抜粋)
放射線問題はコミュニケーション上の様々な問題を端的に表しており、講義で得たものは、単に震災のリスクコミュニケーションだけでなく通常の業務にも応用できると思いました。


《修了式》   修了証書授与 : 大津留 晶

    

最後に、このセミナーへ参加しての全体のご意見・ご感想を伺いました。(抜粋)

  放射線の基本的な知識から、始まり、福島での被災時のデータを基にした事実の確認、この5年間の推移をわかりやすく講義していただいたと思います。さらにこれからのデータ等から現在の福島の問題を提起し、医療者としてどのように在るべきかを考えさせられました。押しつけるようなスタンスではないセミナーのスタンスが良かったと思います。

  講義の内容が、福島県での事実であり、グラフや数値を多く使用した資料であり、とても理解しやすかったです。多職種でのワークショップ「福島の現状を考える」は、職種ごとに、考え方やアプローチ方法が異なっており、看護師である私は、まず、患者の不安軽減に務めていくことが大切であることを再認識しました。今回のセミナーでは、浜通りを実際に観ることが出来なかったのが、心残りです。2日間という短い間でしたが福島県の現状や今後のとりくみを知ることが出来て本当によかったです。ありがとうございました。

  今回のセミナーを受講して、福島に飛散している放射性物質の人体への影響、その影響を住民へ理解してもらうための技術、住民へのリスクコミュニケーションの考え方と非常に勉強になりました。私は今まで放射線技師として医療用の放射線を扱っていましたが、正直なところ患者さんを被ばくさせるというリスクを軽く考えていた部分がありました。福島の住民が不安している線量よりもはるかに大きいものを扱っているという自覚をもって業務しなくてはならないと強く感じました。放射線におけるリスクと得られる情報という利益を常に考えなければならないと思いました。今回、学んだことを業務に活かしていきます。ありがとうございました。