* 福島県立医科大学構内環境放射線測定結果と屋外活動について(4月28日現在)
(2011.05.02)


平成23年3月11日の東日本大震災、それに続く太平洋岸の津波災害、さらには東京電力福島第一原子力発電所の原子力災害に対し、福島県立医科大学は、医学部、看護学部、附属病院が一丸となり対応して参りました。
福島県立医科大学および附属病院は、震災による物的損害は軽微でした。医学部・看護学部は、避難地区からの退避患者の救護活動や、避難所における医療・保健活動等を行うとともに、大学構内の環境放射線量のモニタリングを実施して参りました。また、附属病院は、高次災害医療を提供するため、震災直後は平時の主要目的である高度医療を一部制限しておりましたが、3 月下旬には災害対応がほぼ終了し、4月からは全診療科において外来、入院ともに通常の診療体制に復帰しております。
福島県定点における環境放射能測定結果を見ると、福島市(屋外)の放射線量は、平成23年3月15日に24μSv/時とピークになり、その後は徐々に低下し、4月15日には2μSv/時を切り、4月28日現在の放射線量は1.6μSv/時と、最大値の6.7%まで低下しています。
福島県立医科大学医学部自然科学講座物理学教室(4階の屋内)においてNaIシンチレーションカウンターにて環境中γ線量を測定した結果を図1に示します。地震発生後しばらくは平常値を維持しましたが、3月15日に計数率(1000カウント/秒≒1μSv/時)が突然約2000 カウントまで上昇し、その後は徐々に低下しています。4月28日現在のカウントは平時の1.73倍、最大値の20.9%まで減衰しており、半減期は16.1日です。
福島県立医科大学構内の屋内・屋外において、学生が活動すると考えられる場所を31地点選定し(図2)、平成23年4月11日と27日に、NaI シンチレーションカウンターを用いて地上あるいは床より100cmにおける環境中放射線量を計測しました(下表)。屋外では、講堂や講義棟が面する中庭では1.8μSv/時か ら1.5μSv/時に、学生駐車場では1.0μSv/時から0.9μSv/時に、陸上競技場では3.0μSv/時から2.0μSv/時に、野球場では2.3μSv/時から2.1μSv/時に、それぞれ低下していました。屋内は0.1-0.3μSv/時と低く、屋外のおおよそ1/10でした。今後とも、継続して構内における環境放射線量を測定する予定です。
一般的には、放射線被曝量が年間100mSv以下なら、健康への影響はないとされています。国際放射線防護委員会(ICRP)は平成19年(2007年)の勧告で、 一般の人が許容される年間被曝量を、非常事態時は20-100mSv/年、非常事態が収束した後では1−20mSv/年としています。文部科学省は平成23年4月19日、児童生徒等(15歳以下の小児)の校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安を1−20mSv/年とし、今後できる限り受ける線量を減らしていくことが適切であるとしました。その上で、
1)現在の放射線量が今後も継続、
2)1日屋外活動が8時間、
3)残りは木造家屋内で過ごす(放射線量を屋外の0.4とする)
との厳しい想定で、学校での屋外活動を制限する放射線量の基準を、1時間当たり3.8μSv 以上と示しました。基準を超えた学校は、環境放射線量が基準値を十分に下回るまで、屋外活動を1時間程度にするなど校庭での活動を制限するよう福島県教育委員会に通知しています。
福島県立医科大学は、構内環境放射線量測定結果と文部科学省通知に鑑み、今後の状況に悪化がない限り、構内における屋内・屋外活動に制限を設けないことと致しました。したがって、新学期の授業やクラブ活動等は平常通りです。なお、福島県放射線健康リスク管理アドバイザー山下俊一先生による放射線障害に関する講演会と質疑応答を、新入生とその保護者を対象として5月6日の入学式後に、在学生を対象として5月13日15時と16時に、開催いたします。

平成23年5月2日
福島県立医科大学




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