遺伝子強制発現細胞株を用いた抗がん剤の評価 | 医療-産業トランスレーショナルリサーチセンター

遺伝子強制発現細胞株を用いた抗がん剤の評価

概要

  • 約1,800 種類の標準型/ 変異型遺伝子の強制発現細胞株が使用可能です。
  • すべての発現クローンは塩基配列確認済みです。
  • ヒト非腫瘍形成乳腺上皮細胞である MCF10A 細胞を親株として用いています(他の細胞株を親系統として使用することも可能です)。
  • 抗生物質セレクションによって樹立した安定発現細胞株です。
  • 各種検査および解析により各細胞株の特徴づけと品質を確認済みです。
  •  導入遺伝子の塩基配列確認

     リアルタイムPCR およびウエスタンブロットによる導入遺伝子の発現量確認

     増殖および形態評価

     網羅的遺伝子発現解析

     ウイルス残存否定試験、マイコプラズマ否定試験および無菌試験

  • 全ての細胞株は単一のプラットフォームで樹立されるため、変異遺伝子の機能解析や化合物のスクリーニングに最適です。
  • 約1,800 種類の標準型/ 変異型遺伝子の強制発現細胞株の樹立、提供も行います(約120 種の遺伝子強制発現細胞は樹立済み)。
MCF10A EGFR L858R
強制発現MCF10A
 EGFR  p-EGFR

遺伝子強制発現細胞パネルの利点

比較項目 がん細胞パネル 遺伝子強制発現細胞パネル
細胞 細胞が多種類 親株を1細胞に固定(例:MCF10A)
ゲノム解析 ゲノム配列は細胞ごとに相違 ゲノム配列は同一
遺伝子変異 細胞ごとに複雑な変異 導入変異遺伝子のみに依存
遺伝子発現 細胞ごとに相違 導入遺伝子のみに依存
解析 細胞間の比較が複雑(バックグランドが相違) 細胞間での比較が容易バックグランドは同一

遺伝子強制発現細胞パネルは解析が圧倒的に容易である

遺伝子強制発現細胞作製システムの構築

変異遺伝子発現MCF10A細胞の各種試験
  • ウイルス否定試験
  • マイコプラズマ否定試験
  • 無菌試験
  • 細胞の提供
  • 受託解析(薬剤感受性試験, マイクロアレイ, 免疫染色…etc.)

ヒト遺伝子発現クローンラインナップ

変異体シリーズ 1,422 種類
がん関連遺伝子変異体
AKT1/2/3 10 IDH1/2 21
ALK 26 JAK2 7
BRAF 24 KIT 42
BRCA1 3 KRAS 36
BREBBP 4 HRAS 22
CRLF2 2 NRAS 12
CTNNB1 8 PIK3CA 10
DNMT3A 9 PIK3C2G 2
EGFR 114 PTEN 13
ERBB2 145 RPL22 2
ERBB3 13 TP53 833
FLT3 19 TP53BP1 2
GNAQ/11 14
がん関連融合遺伝子
ALK融合遺伝子 23 その他の融合遺伝子 6

※ 対照となる標準型を含むラインナップ数です。

福島事業では変異体シリーズに加え、細胞機能制御に重要な遺伝子の標準型も各種取り揃えています。

  • 転写関連遺伝子シリーズ 338 種類
  • 代謝系酵素遺伝子シリーズ 38 種類

変異EGFR強制発現細胞のEGF依存的細胞増殖

  • 変異EGFR(L858R)の強制発現細胞はEGFの非依存的に増殖する
MCF10A(Parental) Wild
L858R T790M

EGFR発現量とリン酸化EGFR量:EGF飢餓状態

  • L858RはEGF飢餓時でもリン酸化EGFR量が亢進
Parental
Wild
L858R
T790M

EGFR阻害剤に対する変異EGFR発現細胞の感受性

  • T790M変異やExon20挿入は、野性型EGFR発現細胞と比較して、Gefitinib とErlotinib に対する感受性が低下した
  • L858R変異やExon19欠損変異では感受性が上昇した
  • ゲフィチニブに耐性を示すがん患者の多くに認められるEGFRのT790M変異に対し、オシメルチニブが奏功するという臨床報告と合致した。
活用例: EGFR強制発現細胞株を用いたEGFRチロシンキナーゼ阻害剤の評価
EGFR-overexpressing cell lines
●: T790M mutant●: L858R mutant●: Normal-type
ゲフィチニブ オシメルチニブ
細胞増殖率_オシメルチニブ 細胞増殖率_ゲフィチニブ
ゲフィチニブの添加による細胞の増殖抑制はL858R変異型>標準型>T790M変異型の順に強く認められた。 オシメルチニブの添加による細胞の増殖抑制はL858R変異型>標準型=T790M変異型の順に強く認められた。

遺伝子強制発現細胞を用いた抗がん剤評価の受託解析

被験物質処理

  • N数: 3
  • 濃度: 公比 3, 9濃度
  • ※ 公比, 処理濃度範囲、処理時間はご希望に応じます

生細胞由来ATP量の測定

  • 測定試薬: プロメガ CellTiter-Glo 2

測定項目

  • IC50(50% 阻害濃度)
  • AUC(area under the curve; カーブ下面積)
  • GI50(細胞増殖 50% 阻害濃度)- オプション
  • ※ 低分子化合物以外のサンプルも対応可能

■ 関連資料
タイトル 形式
遺伝子強制発現細胞株を用いた受託試験_チラシ PDF

お問い合わせ

受託試験のご依頼は、医療- 産業トランスレーショナルリサーチセンターにお願い致します。