菊地臣一 コラム「学長からの手紙  〜医師としてのマナー〜

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51.Chanceは天から降ってこない

人生には二、三度その人にとって転機となる様なChanceが訪れると言います。医師としての人生でも、それは同じだと思います。そのChanceを活かせられるかどうかが、その人にとって大きな運命の岐かれ道です。Chanceを損ねる医師には二通りあります。一つは、今がChanceでその時は今だという事が判らない人です。もう一つはChanceだと判っていても何故かそのChanceを掴み取る努力が出来ない或いはしない人です。どちらの場合もChanceは遠ざかっていきます。前にも述べた様に、自分が飛躍する為のChanceは今だという事は、その時は往々にして判らないもです。振り返ってみると、あの時がChanceで人生の転機であったと判る事はあります。しかし、その時気が付いても既に遅いのです。ですから、Chanceだと少しでも思ったら努力する事です。

医師としてchanceを掴む方法には、二つあります。一つはひたむきに努力して、業績を挙げる事です。臨床を一所懸命やっていれば、必ず色々な疑問が出てきます。私の業績を見てもらえばそのアイデアが全て臨床から発している事がわかってもらえると思います。もう一つは上司から与えられる事があります。それは、本当の意味での「棚ぼた」です。それは明らかにchanceだと判る訳ですから、その期待に応えるべく懸命に努力すべきです。

残念ながらうちの医局ではそういうChance、例えば依頼原稿を書く、或いはシンポジウムやパネルデイスカッションの演者に指定される、こういう私から言わせれば滅多に無いChanceをみすみす逃す、或いはそういうChanceが自分にとって滅多に無い事であり、大いなるチャンスであるという事を充分に認識してしない人が少なくありません。ひたむきに努力して下さい。そうすれば業績は挙がります。 Chanceは天からは降ってこないのです。Chanceは自ら掴み取るものなのです。そのChanceが自分にとって重要な転機となり得るのかどうかは、その時はなかなか判りません。ですから、Chanceだと思ったらその全てに全力投球すべきです。

 

 

 

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