菊地臣一 コラム「学長からの手紙  〜医師としてのマナー〜

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63.やってはならない事、言ってはならない事がある

人間は、社会人として生きて行く以上、理由の遺憾を問わず絶対にしてはならない事、言ってはならない事があります。それは、人を殺してはならない事、婦女暴行はいけない事、盗みはいけない事、人をだます事はいけない事、といった所です。また、言ってはならない事も数多くあります。相手の容姿や相手の宗教や劣等感、或いは触れられたくない事は、絶対に言ってはならないのです。それは、誰にでもある事なのです。勿論私自身にもあります。ですから、人間の言動にはある最低限のレベルが要求されます。それを守る事が社会人としてのルールです。しかし、酒を飲んだり或いは感情の赴くまま或いは怒りに任せてついやってはならない事、言ってはならない事をしてしまいます。

組織の中で最も危険な事は、人を陰で中傷する事です。これは、かならず相手に知れます。しかも厄介な事に言ったりやったりした事とはだいぶ異なり尾鰭がついて来ます。その結果相手は非常に怒り誤解を招きます。ですから前にも度々言っている様に、正々堂々と言ったりやったりしたほうが、その時のダメージはあっても決して後には残りません。しかし、出来るなら穏やかな行動の中で意思の疎通をはかる事がベストです。

私は、以前大学にいた時にやってはならない事をされました。即ち完全に医局の自治会体制から外され、診療では、自分の書いたカルテを破られ、クリニックには参加させてもらえず、医局の飲み会にもまぜてもらえませんでした。これは、御互い組織人である以上やってはならない事です。ですから人が組織の中で生きて行く以上、或いは社会人として生きていく以上はやってはならない事、言ってはならない事があるという事は自覚して行動すべきです。

 

 

 

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