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令和5年度学位記授与式(卒業式) 学長式辞  (令和6年3月22日)

令和5年度学位記授与式の様子1 令和5年度学位記授与式の様子2 令和5年度学位記授与式の様子3

本日、ここに学位を授与された大学院生45名、学部生208名、修了を認められた別科生20名の諸君に、福島県立医科大学の教職員を代表して、心からお祝いを申し上げます。大切な学びの期間の半分を新型コロナウイルス感染症の感染拡大による制限を受けながらも、その困難を乗り越え、本日ここに集うことができた諸君に深く敬意を表します。併せて、それを支えて来られたご家族および関係者の皆様に、お祝いと共に厚く御礼を申し上げます。

また、本日は鈴木正晃(すずき まさあき)福島県副知事、西山尚利(にしやまなおとし)福島県議会議長、佐藤博子(さとうひろこ)福島県看護協会長、小谷寿美恵(こたに すみえ)福島県助産師会長、そして医学部・看護学部-同窓会長・後援会長の皆様、ご多忙の中、本学の学位記授与式にご列席を賜り、誠にありがとうございます。今年度は、ご覧の通り新型コロナウイルス感染症対策のない通常の学位記授与式を開催することができました。実に4年ぶりのこととなります。鈴木副知事を始め多くのご来賓の皆様に参列いただき、学生たちを送り出すことができることはこの上なくありがたく、大変嬉しく思います。

しかし、一方で今年は能登半島地震という痛ましい災害によって幕を開けました。地震と火災、津波という複合災害によってもたらされた甚大な被害の様子は、2011年の東日本大震の被害の様子とあまりにも酷似しており、いやおうなしに当時を思い出させるものでした。この災害で亡くなられた方へ心より哀悼の意を表しますとともに、被災者の皆さまにお見舞いを申し上げます。少しでも早い復興を願い、私たちに出来ることを積極的に行ってまいりたいと思います。

その被災地には本学からもDMATをはじめとする多くの医療関係者が支援に入り、活動をしております。彼らの活動報告を聞くにつけ一つ気付いたことがあります。それは「福島県」という言葉が持つ重みと期待です。「福島県」と掲げた医療支援チームは実際には、13年前の東日本大震災を経験した人ばかりではありません。それでも被災地にとっては、東日本大震災を乗り切り、頼ることのできる存在だと否応なしに認識され、災害への対応に長けた存在と期待されるのです。

この事を皆さんも強く意識してください。今日を境に皆さんは、医学研究や医療、保健、保健行政などの最前線に出ていきます。そこで福島県立医科大学出身と言えば、少なからず、災害や被ばく医療などについて問われ、非常時には対応を期待される存在なのです。皆さんは覚えているでしょうか。私は2011年の震災以降、どの年の入学式でも必ず同じこと皆さんに伝えています。それは「本学の学生である限り、福島の地に刻まれた災害の歴史に対し、私は知らない、関係ない、という姿勢は断じて許されない」ということです。私はこの話しを私たちの使命として皆さんにしましたが、社会もまた同じことを私たちに求め、期待しているのです。今、能登の復興に向けて、医療の面から私たちに何ができるのか、これまでの経験を基に考え、行動することが求められています。本学を母校とする皆さんには常にそのことを意識して社会に出て欲しいと願います。

さて、いま世界は自然災害に限らず、多くの紛争が起き、気候変動の影響を体で感じるまでになっています。世代に関係なく、これまでに経験したことがない変化が進行し、その影響はすぐにエネルギーや食糧などの問題として私たちの生活にもおよび、対岸の火事と傍観できなくなっています。つまり私たちは常に世界の動向を意識し、考えなくてはならないということです。医療はもともと社会に安心をもたらすものです。だからこそ、世界が感染症や紛争などによってその安心を脅かされるようになった時、私たちはいかに安定して医療を提供するかを考えなくてはなりません。私たちは医療人である限り、常に地球の視点で物事を見、考え、地域の視点で行動するという姿勢が求められるのです。対応しなければならない社会が変化しているのに、私たちが変化しないままではいられません。現状からの変化は勇気が必要です。これまでにない対応をするのですから、失敗も多くあります。しかし、変化に対しては変化で応えることでしか私たちは前に進むことはできないのです。本学のモットーである「変化を進化へ」という言葉をこの機会に、皆さんの胸に刻んでください。

そして皆さんに思い出して欲しいことは、本学に入学した時の志です。具体的な専門分野など表面的なことではなく、その根底にあった医療人を目指した時の志です。皆さんは何を目標に掲げてきたでしょうか。そしてこれから何を目標に掲げるのでしょうか。今日、皆さんは学生とプロフェッショナルの境界線に立っています。この日を、もう一度なぜ医療人を目指したのかを思い出し、考える1日にしてください。そして、志の達成と変化への大胆な挑戦を決して忘れず、医療のプロフェッショナルとしての第一歩を踏み出して欲しいと思います。

過去に経験のない変化が起きている今、既に成功している人の真似をしても仕方ありません。しっかり世界の動静を見極め、考え、自分を信じて志を達成すべく前進してください。自己研鑽において失敗を恐れてはいけません。大きな志であるほど、失敗さえも輝いて見えるものです。進む道がいばらの道であれば、進め。Who Dares Wins(敢えて挑む者が勝利を得る)です。皆さんには、大きな志を持ってこれからのさらなる飛躍を期待しています。

令和6年3月22日
福島県立医科大学
学長 竹之下 誠一

事務担当 : 教育研修支援課

学生総務係 : 電話 024-547-1972
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