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令和元年度 学位記授与式(卒業式) 学長式辞  (令和2年3月24日)

本日ここに学位を授与された、大学院修了生44名、 学部卒業生206名の諸君に、福島県立医科大学の教職員を代表して、心からお祝いを申し上げます。
併せて、本日の学位記授与式を迎えるまで、ご家族、および関係者の皆様よりいただいた数々のひとかたならぬご支援に対し、厚く御礼申し上げます。

さて皆さんは、本学に入学以来、多くの苦労や困難を乗り越え、この日を迎えることが出来ました。ここに至るまでの努力に深く敬意を表したいと思います。これから皆さんは、医師や看護師、保健師、研究者といったそれぞれの肩書を持って社会に出ていきます。
月並みではありますが、これがゴールではなく、新たなスタート地点に立ったことを改めて認識してください。そのスタートにあたり、意識して欲しい二つのこと、「専門性の追求」と「全体像を俯瞰する力」についてお話しさせていただきます。

まず最初に「専門性の追求」についてです。今では、どのような職業であれ、ひとりひとりが担う仕事は専門化、細分化されています。その流れはますます加速していると言って間違いないでしょう。そして、専門性を追求し高めていくということは、組織の中や県内、そして国内で、さらには世界で「余人(よじん)に代え難い」人材となることを意味します。
言い換えれば、組織や社会の中で自分を際立たせ、自分に対する高い評価や存在価値を形成するプロセスともいえます。
しかも、医学、保健分野の進化のスピードは目覚ましく、学んだ知識も技術も、短期間で時代遅れとなっていく宿命を負っています。ですから、医療の専門職であり続けるために、そして、より高いレベルのプロフェッショナルを目指すために、私たちは専門性を追求する歩みを止めることはできないのです。

新たなスタート地点に立つとは、学び続けることをやめられない、そのような人生の領域に踏み入れることなのだということを、今日ここで、心に刻んでください。
もちろん、学び続けることは大変なことです。しかし、皆さんは、入学以来、本学で学び、知識を日々アップデートするために必要な能力を身に付けたと認められたからこそ、今、ここにいるのです。自信を持って新しい領域に踏み込んでください。

一方で、私たちが何を成すにしても、ひとりのスタープレーヤーの活躍だけで成り立つものではないことは、特に医療を学んできた皆さんには自明のことかと思います。
自身の能力が一領域に専門特化するということは、医療全体のごく狭い領域のみを担うということであり、他の領域の専門家とチームを組み連携しなければ、医療全体の完遂は望めません。
さらには自分の専門性と社会の医療ニーズとの整合を検証する姿勢がなくては、視野の狭い自己中心的存在でしかなくなります。
そこで必要となるのが「全体を俯瞰する力」です。これは一見、専門性の追求とは矛盾する姿勢のように思えるかもしれませんが、そうではありません。
社会の医療ニーズに応えるために自らの専門性を追求するのであり、自らの専門性の価値や有用性を確認するために、社会の動きやニーズを把握するのですから、二つは両輪の関係にあるといえます。

しかも、全体を俯瞰するという時の「全体」とは、社会や医療界などの面的な広がりに留まりません。時間的な広がり、つまり、過去から未来までを学び、見渡すことも含まれます。

医療とそれにかかわる社会を、面的にも時間的にも俯瞰し、考えることで、時々刻々と変化する社会の歴史的必然や本質を探り、掴むのです。そうすることで、ニーズに裏打ちされた将来構想、いわゆるビジョンを描くことが可能になります。
ビジョンのないまま闇雲に行動することは、個人であっても組織であっても、社会ニーズに沿えず、孤立を招きかねません。
私たちが社会としっかり噛み合った存在となるためにも、そして持続可能であるためにも、この全体を俯瞰する力を身に付けて行くことが必要不可欠なのです。
ただし、この力は、例えば専門性を追求する場合のように「ここまでやれば、この資格を獲得できる」といった、指標の明示されたプログラムがあるわけではないため、ひとり一人がよほど意識しなければ身に付けることができません。
時に専門外、医療以外のジャンルに触れ、時に医学史を紐解くなどを習慣づけるよう意識を持ち、視野を広げることを意識してください。

そして、最後に、絶えず周囲と先人たちへの感謝を忘れないでください。物理学者、アイザックニュートンの言葉に「If I have seen further than others, it is by standing upon the shoulders of giants(私がかなた遠くを見渡せるのだとしたら、それはひとえに巨人の肩の上に乗っていたからだ)」という言葉があります。
ニュートンをしても巨人、つまりガリレオたち先人の偉業なしに、自らの業績はあり得なかったことを認めています。

今日まで皆さんが学び、身に付けたことのほぼ全てが、皆さんの周囲の人と先人のおかげによるものです。決しておごり高ぶることなく、今日から始まる皆さんそれぞれの新しいスタートが、将来にわたり実り多いものとなることを祈念し、はなむけの言葉とします。本日はおめでとうございます。

令和2年 3月 24日
福島県立医科大学 学長
竹之下 誠一

事務担当 : 教育研修支援課

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