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保健医療交流事業 (講演会) レポート

認知症の正しい知識と予防法

三春町・令和4年9月3日(土)

講演の様子1
講演の様子2

講演会は、令和4年9月3日(土)10時から、三春町にある三春交流館「まほら」を会場に開催されました。講師は、保健科学部作業療法学科の林博史教授が務められました。

講演は「認知症の正しい知識と予防法」をテーマに行われました。
 初めに、「認知症」とは、いったん正常に発達した認知機能や精神機能が後天的な脳の障害により低下し、日常生活や社会生活に支障を来している状態であること、また、認知症を発症した場合、歩行、食事、着替え、入浴、排泄といった基本的日常生活動作や、料理、買い物、乗り物で目的地へ向かう、服薬管理、ATM操作といった高次機能が必要となる手段的日常生活動作に支障が出てくる旨を説明されました。

続いて、認知症の原因には、よく耳にするアルツハイマー病のほか、近年注目されているレビー小体病(パーキンソン病もその一種)、脳出血や脳梗塞のような脳血管性障害、脳腫瘍、頭部外傷、脳炎等の感染症、腎不全等の内臓の機能低下、甲状腺機能低下症、慢性アルコール中毒など様々あり、認知症そのものが病名ではないことや、原因疾患の6割がアルツハイマー病、レビー小体病、血管性認知症であることを説明されました。

認知症の症状は、必ず生じる中核症状と、患者の置かれた環境等により変化する行動・心理症状(BPSD)に分類されること、また、中核症状には、記憶力低下、失語症状、料理や運転などに影響する判断力の低下、着衣がうまくできない、道迷いなどの症状が、BPSDには、意欲低下、幻視、物盗られ妄想、無気力、徘徊などの症状があることを紹介されました。

認知症の治療法について、現状、アルツハイマー型認知症の根本的な治療薬は開発されておらず、コリンエステラーゼ阻害薬及びNMDA受容体拮抗薬を使い分けて治療が行われているが、それらの使用により、認知症の進行を1年半から2年ほど遅らせることができるため、判断する時間ができ、本人が自宅で過ごせる時間も長くなることから、本人や家族にとってメリットがあると述べられました。

最後に、認知症の予防に関して、高血圧、糖尿病、喫煙習慣などの危険因子が認知症のリスクを高めることを説明され、食生活の改善、運動習慣を作ること、適度な睡眠を取ること(5〜7時間)などによりリスクを抑えられることを説明されるとともに、認知症の危険因子を全て解消すると、認知症のリスクを40%低減できるとされていることに触れ、全ては難しくとも、可能な範囲での危険因子の解消に取り組むことで、認知症リスクの低減に取り組んで欲しいと述べられ、講演は終了となりました。

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