菊地臣一 コラム「学長からの手紙 〜医師としてのマナー〜」
129.人は仕事中は自分に関係の無い仕事には煩わされたくない
これだけ忙しくなってくると自分の仕事をしている時に、自分に全く関係の無い他人の仕事に煩わされると時々思わずむっとしてしまいます。これだけ忙しくなると無理からぬ事で、充分その気持ちも分かります。ただ、分かりますがやはり何らかの理由があってその人に全く関係の無い仕事だと分かっていても頼むわけですから、無下に断らずにやってあげる事が人間関係を円滑にいかせるコツだと思います。しかし、一方では仕事中は自分に関係のない他人の仕事で煩わされたくないというのは、本音のところでは全くその通りですから、この事実になるべく抵触しない様に仕事中はお互い振る舞うべきだと思います。最近、そこまで思い至っていない人もいる事に気が付いたので敢えて筆を執りました。
秘書の方々が医師を探す場合に居ると思われる所に電話をします。なるべく早く連絡を付けたいというその心は良く分かりますが、一つ大事な事を忘れています。電話を介して人を探せば、必ずその間にもう一人の人が介在します。電話を受けた人間にとっては、当然その医師を探す事は自分の仕事の範疇には入っておりません。忙しい時には非常に煩わしいものです。そういう時にはやはり、秘書は医師が持っているポケットベルを使うべきなのです。その事によって医師を直接探すことが出来る訳です。それで連絡のない場合に初めて、ポケットベルで連絡をとれない所に就いては既に周知の事ですから、その時点でそこに電話をすれば良い訳です。こういう手続きを踏めば、結果的に多くの人が関係のない仕事に煩わされなく済みます。
繰り返します。仕事中は自分に関係の無い他人の仕事には煩わされたく無いというのは事実ですが、連絡する方はそれなりの理由があって煩わす事も承知の上で連絡をしてきている筈です。ですから、お互い笑顔で対応したいものです。但し、その場合でも、「仕事中は自分に関係の無い他人の仕事には煩わされたく無いというのが本音である」という事は忘れないで行動した方が、お互いこれだけ忙しくなると時間の節約にもなる筈です。