慢性閉塞性肺疾患における酸化ストレスによる気道平滑筋の制御
2023 年 1 月に、感染症・呼吸器内科から英文総説が出版されました。
Kume H, Yamada R, Sato Y, Togawa R.
Airway Smooth Muscle Regulated by Oxidative Stress in COPD.
Antioxidants 2023 Jan 6; 12(1): 142. doi: 10.3390/antiox12010142
慢性閉塞性肺疾患 (COPD) の基本病態は末梢気道の線維化と肺気腫であるが、酸化ストレスと気道平滑筋の関与はまだ詳細不明である。著者らの研究では、煙草煙を起源とする酸化ストレスにより、細胞内 Ca2+ 動態、Ca2+ 感受性を介して、気道平滑筋の収縮能、増殖能に変化が起こり(表現型変化)、この疾患に特徴的な症状(息切れ、喘鳴)、病態生理(気道閉塞、気道リモデリング、気道過敏性の亢進、2アドレナリンに対する感受性低下)をもたらすことが判明した。ゆえに、酸化ストレスに関連する因子から、治療すべき患者の特性 (treatable traits) を検出し、それを基盤とした個別化医療 (precision medicine) を確立することがこの疾患の管理・加療の質を発展させる可能性が推察される。
書籍掲載先
https://www.mdpi.com/2076-3921/12/1/142