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理事長室からの花だより
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理事長室からの花だより
vol.76 − 旅情2 −
この時季、早朝の通勤では花水木(ハナミズキ)と躑躅(ツツジ)が“重い”、そして“冷たい”身体を優しくいたわってくれます。
車窓からは、日本の春そのものが展開されている今です。
田には水が張られ、何枚かの田圃では田植えが済み、その隣では田植えの作業が淡々と進められています。昔見た一列に並んで手植えで行った田植えとは異なり、老夫婦(?)が田植機を操作しての作業です。
それでもその情景は、私のような昔の田植えを知る人間には懐かしさを感じさせてくれます。
あちこちの家屋の敷地には鯉幟(こいのぼり)が翻って、その背景にある抜けるような空の青がより鮮烈です。
異常な気候のせいか、里山には桜がまだ残っており、花蘇芳(ハナズオウ)、桃、梨、林檎と色彩が溢れています。
五月の絵幟といえば、この季節になると堤防の土手で鍾馗(しょうき)幟を描いていた近所の職人さん(本職は別)の姿を今でも想い出します。
私が子供の頃は、世の中はまだ貧しく、鯉幟や絵幟、そして武者人形などは、私の育った山間(やまあい)の町には飾っていた家は近所にありませんでした。私には、わずかに、菖蒲湯に入り、これを鉢巻きにして遊んだ想い出があるだけです。
南半球は初秋でした。紅葉が散りゆく中、フカ滝の水量、水の勢い、そして周囲に轟く音は、和太鼓の協演を聞いているようでした。
滝というと、那智の滝を描いた国宝:那智瀧図(根津美術館蔵)の絵、そして上田三四二の「滝の水は山のくぼみにあらはれて空ひきおろしざまに落下す」の詩を連想します。
このフカ滝は、10メートルにも満たない落差です。迫力を別にすると、芭蕉が「奥の細道」で「さみだれの滝降りうづむみかさ哉」と唄った福島県の須賀川市にある乙字ヶ滝が似ているでしょうか。
滝は何故か、アーサー・コナンドイル「最後の事件」のライヘンバッハの滝(スイス)、ウイリアム・ワーズワース、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ、そしてジョージ・ゴードン・バイロンらが詩にしたシュタウバッハの滝など、落差のある滝を連想するのが洋の東西を問わず一般的なのでしょう。
南半球では、レイン・フォレスト(多雨林)も代表的な自然の贈り物の一つです。
コケやシダなど太古の植物が茂り、峡谷での水の音と様々な鳥の鳴き声(人間の声と間違うことさえあります)など、この雰囲気は我が国ではあまり経験できません。
レイン・フォレストと聞いて、記憶を頼りに帰国してから調べてみると、随分昔、環境音楽の走りとしてアンドリュー・トーマス・ウィルソンの「レイン・フォレスト」というカセットを見つけました。久し振りにこれを聞いて追体験できました。
今週の執務室は、立ち姿の良い白のカラーと母の日にちなんだピンクのカーネーションとの協演です。
秘書室は、緑をアクセントにカーネーションを基本にした“可愛い”アレンジメントです。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
車窓からは、日本の春そのものが展開されている今です。
田には水が張られ、何枚かの田圃では田植えが済み、その隣では田植えの作業が淡々と進められています。昔見た一列に並んで手植えで行った田植えとは異なり、老夫婦(?)が田植機を操作しての作業です。
それでもその情景は、私のような昔の田植えを知る人間には懐かしさを感じさせてくれます。
あちこちの家屋の敷地には鯉幟(こいのぼり)が翻って、その背景にある抜けるような空の青がより鮮烈です。
異常な気候のせいか、里山には桜がまだ残っており、花蘇芳(ハナズオウ)、桃、梨、林檎と色彩が溢れています。
五月の絵幟といえば、この季節になると堤防の土手で鍾馗(しょうき)幟を描いていた近所の職人さん(本職は別)の姿を今でも想い出します。
私が子供の頃は、世の中はまだ貧しく、鯉幟や絵幟、そして武者人形などは、私の育った山間(やまあい)の町には飾っていた家は近所にありませんでした。私には、わずかに、菖蒲湯に入り、これを鉢巻きにして遊んだ想い出があるだけです。
南半球は初秋でした。紅葉が散りゆく中、フカ滝の水量、水の勢い、そして周囲に轟く音は、和太鼓の協演を聞いているようでした。
滝というと、那智の滝を描いた国宝:那智瀧図(根津美術館蔵)の絵、そして上田三四二の「滝の水は山のくぼみにあらはれて空ひきおろしざまに落下す」の詩を連想します。
このフカ滝は、10メートルにも満たない落差です。迫力を別にすると、芭蕉が「奥の細道」で「さみだれの滝降りうづむみかさ哉」と唄った福島県の須賀川市にある乙字ヶ滝が似ているでしょうか。
滝は何故か、アーサー・コナンドイル「最後の事件」のライヘンバッハの滝(スイス)、ウイリアム・ワーズワース、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ、そしてジョージ・ゴードン・バイロンらが詩にしたシュタウバッハの滝など、落差のある滝を連想するのが洋の東西を問わず一般的なのでしょう。
南半球では、レイン・フォレスト(多雨林)も代表的な自然の贈り物の一つです。
コケやシダなど太古の植物が茂り、峡谷での水の音と様々な鳥の鳴き声(人間の声と間違うことさえあります)など、この雰囲気は我が国ではあまり経験できません。
レイン・フォレストと聞いて、記憶を頼りに帰国してから調べてみると、随分昔、環境音楽の走りとしてアンドリュー・トーマス・ウィルソンの「レイン・フォレスト」というカセットを見つけました。久し振りにこれを聞いて追体験できました。
今週の執務室は、立ち姿の良い白のカラーと母の日にちなんだピンクのカーネーションとの協演です。
秘書室は、緑をアクセントにカーネーションを基本にした“可愛い”アレンジメントです。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今週の花
【理事長室】
■カラー(ウェディングマーチ) サトイモ科/球根植物/原産:南アフリカ/《名前の由来》メガホン状の苞がYシャツのカラーに似ていることから/別名「オランダカイウ」/《別名の由来》江戸時代にオランダから渡来した芋の意味「阿蘭陀海芋」/「ウェディングマーチ」は白色のカラーの代表的な品種。結婚式などに利用させる人気花。
■カーネーション(ヨーデルチャーム) ナデシコ科/多年草/原産:地中海沿岸/《名前の由来》ラテン語でCarn(「肉の色の花」)という説や花冠を作るのに使用したことから「載冠式」Coronationが語源という説などあり/母の日の花として古くから親しまれる。「ヨーデルチャーム」は淡いピンクの可愛い花色。
※拡大写真http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/76_zoom1.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)
■カラー(ウェディングマーチ) サトイモ科/球根植物/原産:南アフリカ/《名前の由来》メガホン状の苞がYシャツのカラーに似ていることから/別名「オランダカイウ」/《別名の由来》江戸時代にオランダから渡来した芋の意味「阿蘭陀海芋」/「ウェディングマーチ」は白色のカラーの代表的な品種。結婚式などに利用させる人気花。
■カーネーション(ヨーデルチャーム) ナデシコ科/多年草/原産:地中海沿岸/《名前の由来》ラテン語でCarn(「肉の色の花」)という説や花冠を作るのに使用したことから「載冠式」Coronationが語源という説などあり/母の日の花として古くから親しまれる。「ヨーデルチャーム」は淡いピンクの可愛い花色。
※拡大写真http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/76_zoom1.jpg
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【秘書室】
■カーネーション(ハリケーン) 理事長室コメントをご参照ください
■リューカデンドロン(サファリサンセット) ヤマモガシ科/原産:南アフリカ/《名前の由来》ギリシャ語で白(リューカ)と木(デンドロン)から/「サファリサンセット」は赤色。他にグリーンや黄色がかったもの、シルバーの細かい毛に覆われたものなどある。
■てまり草 ナデシコ科/多年草/原産:ヨーロッパ東南部/まん丸で苔やマリモのような花。雄しべ、雌しべ、花弁などのすべてがガク片のように変化している。非常に花持ちが良く、長期間楽しめる。茎や葉はカーネーション・ナデシコと同様。
※拡大写真http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/76_zoom2.jpg
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