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理事長室からの花だより
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理事長室からの花だより
vol.405 − 楽 (たのしむ) −
弥生(やよい)、3月、春の序奏です。青春の儚さ(はかなさ)と一脈通じる月でもあります。
大地は、春の訪れを密やかに告げています。
寒さのぶり返しが頻繁に起こる表現の「冴え返り」がぴったりの今です。
庭には福寿草、植えて約30年、手入れもしていないのに健気(けなげ)に咲いてくれます。深紅の木瓜(ボケ)も咲き出しました。辛夷(コブシ)の木の芽も膨らみ始めています。
都内の公園には、早や、犬陰嚢(イヌフグリ)、カラスノエンドウが顔を見せ始めています。
花屋さんの店先には雪柳(ユキヤナギ)が飾られています。
3日は桃の節句です。己の幼かった時、時代、貧しさ、田舎の故(ゆえ)か、祝った記憶がありません。
旅路で素朴な“つるし雛(ひな)”に出会いました。伊豆の雛のつるし飾り、福岡県柳川のさげもん、山形県酒田の傘福(かさふく)などが知られています。
その起源は、江戸時代に遡(さかのぼ)ります。立派な雛壇(ひなだん)など整えられない庶民の、娘の健康と幸せを願う思いがそこに込められています。
2月26日、ジャズの伝説の日でした。この日、ジャズが生誕100年を迎えたそうです。
己がジャズという音楽に惹(ひ)かれるようになったのは、高校時代、1960年(昭和35年)代の後半です。同級生が持っていたグレン・ミラー楽団のLP盤(直径30cmのレコード盤)に入っている曲を聴いた時からです。管楽器の奏(かな)でる和音に新鮮な響きを、スイング感に躍動を感じました。
帰りの汽車(当時は既に気動車です)を待っている間、駅前のジャズ喫茶で、時間を潰(つぶ)していました。
詰襟(つめえり)の襟章(えりしょう)を隠して、“不良” (死語か)になった気分です。
我が国でのジャズの有り様(ありよう)は、海外と大きな違いがあります。
それはピアノトリオにみる彼我(ひが)の人気の違いです。
海外では大人数で編成される楽団に人気があります。人件費の高騰もあり、ビッグバンドの活躍が今一つですが、ピアノトリオより管楽器が中心の楽団構成が好まれています。小さな編成でも、そうです。
一方、我が国ではピアノトリオが圧倒的な人気を誇っています。この違いの理由は何でしょうか。
ジャズの本場、米国からみるとピアノトリオは、如何(いか)にも地味です。米国では、ビッグバンドでなくても、複数のホーン奏者の紡(つむ)ぎ出す旋律や和音は、迫力があり、華やかです。
ピアノトリオの日本での突出した人気の理由は何でしょうか。
我が国では小さい時から学校でピアノに親しんでいます。クラシック音楽にも接する機会が多く、結果的に、ピアノの音が容易に耳に入ることが理由の一つかもしれません。
もう一つ、小さな室内で、ピアノの奏でる繊細な旋律、リズム、和声の響きに耳を傾けるということが、日本人の伝統的な心情に合致(がっち)しているのかもしれません。
若い時、大きなホールでヴィブラフォンを入れたピアノ、ドラム、ベースの4人編成のジャズを聴いたことがあります。音量、迫力とも物足りないものでした。演奏者も気が乗らない感じが、在り在り(ありあり)でした。
大きなホールではビッグバンドが似合います。
ビッグバンドでしか出せない迫力ある音響の饗宴(きょうえん)は、クラシック音楽での交響楽団の演奏と同様に、現代でも尚、庶民には最高の贅沢(ぜいたく)の一つです。
二・二六事件(1936年(昭和11年))は、26日で81回目を迎えました。
(vol.163 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=197)
(vol.354 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=394)
軍人の娘として生き抜いてきた渡辺和子氏が89歳で昨年末に亡くなられました。
今週の花材は、両室とも、慎(つつ)まし気ながら、華やかな春の訪れです。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
大地は、春の訪れを密やかに告げています。
寒さのぶり返しが頻繁に起こる表現の「冴え返り」がぴったりの今です。
庭には福寿草、植えて約30年、手入れもしていないのに健気(けなげ)に咲いてくれます。深紅の木瓜(ボケ)も咲き出しました。辛夷(コブシ)の木の芽も膨らみ始めています。
都内の公園には、早や、犬陰嚢(イヌフグリ)、カラスノエンドウが顔を見せ始めています。
花屋さんの店先には雪柳(ユキヤナギ)が飾られています。
3日は桃の節句です。己の幼かった時、時代、貧しさ、田舎の故(ゆえ)か、祝った記憶がありません。
旅路で素朴な“つるし雛(ひな)”に出会いました。伊豆の雛のつるし飾り、福岡県柳川のさげもん、山形県酒田の傘福(かさふく)などが知られています。
その起源は、江戸時代に遡(さかのぼ)ります。立派な雛壇(ひなだん)など整えられない庶民の、娘の健康と幸せを願う思いがそこに込められています。
2月26日、ジャズの伝説の日でした。この日、ジャズが生誕100年を迎えたそうです。
己がジャズという音楽に惹(ひ)かれるようになったのは、高校時代、1960年(昭和35年)代の後半です。同級生が持っていたグレン・ミラー楽団のLP盤(直径30cmのレコード盤)に入っている曲を聴いた時からです。管楽器の奏(かな)でる和音に新鮮な響きを、スイング感に躍動を感じました。
帰りの汽車(当時は既に気動車です)を待っている間、駅前のジャズ喫茶で、時間を潰(つぶ)していました。
詰襟(つめえり)の襟章(えりしょう)を隠して、“不良” (死語か)になった気分です。
我が国でのジャズの有り様(ありよう)は、海外と大きな違いがあります。
それはピアノトリオにみる彼我(ひが)の人気の違いです。
海外では大人数で編成される楽団に人気があります。人件費の高騰もあり、ビッグバンドの活躍が今一つですが、ピアノトリオより管楽器が中心の楽団構成が好まれています。小さな編成でも、そうです。
一方、我が国ではピアノトリオが圧倒的な人気を誇っています。この違いの理由は何でしょうか。
ジャズの本場、米国からみるとピアノトリオは、如何(いか)にも地味です。米国では、ビッグバンドでなくても、複数のホーン奏者の紡(つむ)ぎ出す旋律や和音は、迫力があり、華やかです。
ピアノトリオの日本での突出した人気の理由は何でしょうか。
我が国では小さい時から学校でピアノに親しんでいます。クラシック音楽にも接する機会が多く、結果的に、ピアノの音が容易に耳に入ることが理由の一つかもしれません。
もう一つ、小さな室内で、ピアノの奏でる繊細な旋律、リズム、和声の響きに耳を傾けるということが、日本人の伝統的な心情に合致(がっち)しているのかもしれません。
若い時、大きなホールでヴィブラフォンを入れたピアノ、ドラム、ベースの4人編成のジャズを聴いたことがあります。音量、迫力とも物足りないものでした。演奏者も気が乗らない感じが、在り在り(ありあり)でした。
大きなホールではビッグバンドが似合います。
ビッグバンドでしか出せない迫力ある音響の饗宴(きょうえん)は、クラシック音楽での交響楽団の演奏と同様に、現代でも尚、庶民には最高の贅沢(ぜいたく)の一つです。
二・二六事件(1936年(昭和11年))は、26日で81回目を迎えました。
(vol.163 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=197)
(vol.354 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=394)
軍人の娘として生き抜いてきた渡辺和子氏が89歳で昨年末に亡くなられました。
今週の花材は、両室とも、慎(つつ)まし気ながら、華やかな春の訪れです。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今週の花
【理事長室】
■花桃〔新矢口〕(ハナモモ・しんやぐち)
バラ科/落葉小高木/フルーツの桃が実る実
桃(ミモモ)とは異なり、 花を鑑賞するための園
芸品種。ひな祭りに飾る花として古くから親しま
れる。 原産地中国では、桃の木に体の中の悪
い物を取り除く力があると考えられ、 それが日
本に伝わり、ひな祭りに飾るようになったといわ
れる。
■コデマリ バラ科/落葉低木/白い小花
が集まって半円形の一つの花のように開花。
枝いっぱいに多数の花を咲かせ、枝垂(しだ)れ
る姿が見事。 耐寒耐暑性が強く、庭木としても
人気の春の代表花木。
■アルストロメリア〔シンクレア〕
ヒガンバナ科/球根植物/1本の茎から5〜8
本の花茎を伸ばし花を咲かせる。一つひとつの
花はユリを小さくしたような形で、花弁に斑が入
るのが特徴。 一番花(いちばんばな)が枯れて
も、花茎から側枝を伸ばし二番花も開花する。
■ハイドランジア ユキノシタ科/落葉低木
/日本のアジサイを改良した西洋アジサイ。
日本原産に比べ、花が大きく華やか。ドライフ
ラワーにも適し、リースなどに利用される。
■菊〔オペラピンク〕 キク科/多年草/お
供え花としてだけでなく、お祝い用途にも人気の
菊。「オペラ」シリーズはダリアに似たデコラ咲品
種。真ん丸に開花するピンポン菊同様、非常に
花持ちが良い。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/4051.jpg
■花桃〔新矢口〕(ハナモモ・しんやぐち)
バラ科/落葉小高木/フルーツの桃が実る実
桃(ミモモ)とは異なり、 花を鑑賞するための園
芸品種。ひな祭りに飾る花として古くから親しま
れる。 原産地中国では、桃の木に体の中の悪
い物を取り除く力があると考えられ、 それが日
本に伝わり、ひな祭りに飾るようになったといわ
れる。
■コデマリ バラ科/落葉低木/白い小花
が集まって半円形の一つの花のように開花。
枝いっぱいに多数の花を咲かせ、枝垂(しだ)れ
る姿が見事。 耐寒耐暑性が強く、庭木としても
人気の春の代表花木。
■アルストロメリア〔シンクレア〕
ヒガンバナ科/球根植物/1本の茎から5〜8
本の花茎を伸ばし花を咲かせる。一つひとつの
花はユリを小さくしたような形で、花弁に斑が入
るのが特徴。 一番花(いちばんばな)が枯れて
も、花茎から側枝を伸ばし二番花も開花する。
■ハイドランジア ユキノシタ科/落葉低木
/日本のアジサイを改良した西洋アジサイ。
日本原産に比べ、花が大きく華やか。ドライフ
ラワーにも適し、リースなどに利用される。
■菊〔オペラピンク〕 キク科/多年草/お
供え花としてだけでなく、お祝い用途にも人気の
菊。「オペラ」シリーズはダリアに似たデコラ咲品
種。真ん丸に開花するピンポン菊同様、非常に
花持ちが良い。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/4051.jpg
【秘書室】
■バンダ〔レッドブラウン〕 ラン科/東南アジア〜オーストラ
リアに約70種が分布。樹木や岩肌に根を張りつかせて育つ。
10cm程の大きな丸弁で、花弁に入る網目模様が特徴。
■アンスリュウム〔みどり〕 サトイモ科/常緑多年草/花弁
のように見える部分は苞で、中心の棒状の部分が花序。主に苞
を鑑賞するため、非常に長く楽しめる。
■ラナンキュラス〔フレジス〕 キンポウゲ科/球根植物/薄
く柔らかい花弁が幾重にも重なるのが特徴。花色が豊富で、花
径13cm以上にもなる大輪品種もある。「フレジス」はシックなグ
リーンで他のラナンキュラスとは異なる雰囲気が魅力。
■ドラセナ〔サンデリアーナホワイト〕 リュウゼツラン科/
日本で流通する観葉植物の代表種。 「サンデリアーナ」は笹の
ような細長い葉とストライプの斑が特徴。「ホワイト」は白斑で、
他に黄斑の「ゴールド」や濃緑の「バリケード」もある。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/4052.jpg
■バンダ〔レッドブラウン〕 ラン科/東南アジア〜オーストラ
リアに約70種が分布。樹木や岩肌に根を張りつかせて育つ。
10cm程の大きな丸弁で、花弁に入る網目模様が特徴。
■アンスリュウム〔みどり〕 サトイモ科/常緑多年草/花弁
のように見える部分は苞で、中心の棒状の部分が花序。主に苞
を鑑賞するため、非常に長く楽しめる。
■ラナンキュラス〔フレジス〕 キンポウゲ科/球根植物/薄
く柔らかい花弁が幾重にも重なるのが特徴。花色が豊富で、花
径13cm以上にもなる大輪品種もある。「フレジス」はシックなグ
リーンで他のラナンキュラスとは異なる雰囲気が魅力。
■ドラセナ〔サンデリアーナホワイト〕 リュウゼツラン科/
日本で流通する観葉植物の代表種。 「サンデリアーナ」は笹の
ような細長い葉とストライプの斑が特徴。「ホワイト」は白斑で、
他に黄斑の「ゴールド」や濃緑の「バリケード」もある。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/4052.jpg