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理事長室からの花だより
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理事長室からの花だより
vol.401 − 断 (たつ) −
如月(きさらぎ)、凍てつく天地です。真夜中、月の光は冴え渡り、地上に突き刺さる様(よう)に届いています。
ここ信夫の里は、寒さは厳しいのですが、日本海側と比べたら、雪は殆(ほと)んど降りません。
只、内陸部に位置しているので、日本海沿岸の“冬の雪”、春先に太平洋岸に降る“春の雪”、どちらの場合も雪に見舞われてしまいます。
北国に暮らす人間にとって、この時季、狂おしいまでに春を待つ心が高まります。
雪が降った後の朝、道が凍(こお)っていると、尚更、その感が深くなります。
冬晴れの日、風が引き締まって大気が鋭く感じられます。
今週は例年より早く“三寒四温”の変化が来ているように感じます。
都内では、“春告花”の如く寒桜が咲いています。
信夫の里には、早や、蠟梅(ロウバイ)の便りが届きました。駆け付けて観(み)てみたいものです。
蠟梅を見ぬそれだけに満ち足りし
松原由紀
繊細、玲瓏(れいろう)、香気(こうき)を漂わせ、中国の磁器をみるようです。
土手や川の生き物にも春がひそやかに訪れてきているに違いありません。
時に川風にほんの少しの暖かさを、所々に大地に緑の芽生えを見て取れるからです。
父の亡くなった年齢は疾う(とう)に過ぎ、今や、己に医療のプロとしての礎(いしずえ)を授けて下さった、カナダの恩師の亡くなった年代になりました。
恩師や父の歩んだ道を知っているだけに、“日暮れて道遠し”の感が過(よぎ)ります。
“どんな人間も、それまでの人生によって形づくられた自分を変えることは難しい”ものです。
“おまえは何をしてきたのか”(ヴェルレーヌ)、中原中也の詩にも同じような言葉があります。
“男という者は、人生が配ってくれたカードでやっていくもので、カードが悪いと愚痴をこぼしてはならない”
のです。
只、どんな人生を送ったとしても、後悔しない人間なんていません。後悔と折り合って歩んでいくのが人生です。
己の人生を賭けて、恩師に恩を返そうとしてきました。
勿論、“借り”を返せば恩が返せるというわけではありません。己が受けた恩を次の世代に繋ぐことが師の恩に報いることです。そう思ってここまでの日々を過ごしてきました。
〔学長からの手紙〕
(No.36 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/036.html)
(No.48 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/048.html)
(No.186 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/186.html)
〔理事長室からの花だより〕
(vol.199 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=235)
〔学長からの手紙 「クリニシアン」vol.56 no579,2009〕
(No.212 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/212.html)
〔学長からの手紙・番外編 「週刊医学界新聞」第2911号:2,2011〕
(http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/extra009.html)
己が師に感じた恩を、次の世代の何人に継ぐことが出来たのか分かりません。己のなし得る全てを弟子や慕(した)ってくれた若者に注いだのは事実ですが…。
月日が経てば人間(ヒト)は変わります。
人間は、日々、何かを取り、同じだけ何かを諦(あきら)めて歩んでいます。
“夢を語るよりも思い出に浸(ひた)ることが多くなると、人間は老人に分類される”と言います。
只、この年齢になって、色々振り返ってみてももう遅いのです。“我々は人生が過ぎてから生き方を教わる”(モンテーニュ)のだと、恥ずかしながら、今頃気付いている有様(ありさま)です。
英語も陸(ろく)に話せない東洋の島国から来た、公費留学生でもないタダの若者を、恩師は何を思って、己の子供のように接して下さり、教え慈(いつく)しんで下さったのでしょうか。
今となっては尋(たず)ねる事は叶(かな)いません。
こうして、“人生は、すべてこの絶えざる嘆惜(たんせき)のうちに過ぎてゆきます”。
(vol.45 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=70)
(vol.180 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=214)
(vol.189 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=225)
(vol.277 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=314)
(vol.300 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=337)
今週の花材は、白と青が“早春”の象徴の様です。
特に、秘書室の花器のバカラブルーと花の青が同期しています。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
ここ信夫の里は、寒さは厳しいのですが、日本海側と比べたら、雪は殆(ほと)んど降りません。
只、内陸部に位置しているので、日本海沿岸の“冬の雪”、春先に太平洋岸に降る“春の雪”、どちらの場合も雪に見舞われてしまいます。
北国に暮らす人間にとって、この時季、狂おしいまでに春を待つ心が高まります。
雪が降った後の朝、道が凍(こお)っていると、尚更、その感が深くなります。
冬晴れの日、風が引き締まって大気が鋭く感じられます。
今週は例年より早く“三寒四温”の変化が来ているように感じます。
都内では、“春告花”の如く寒桜が咲いています。
信夫の里には、早や、蠟梅(ロウバイ)の便りが届きました。駆け付けて観(み)てみたいものです。
蠟梅を見ぬそれだけに満ち足りし
松原由紀
繊細、玲瓏(れいろう)、香気(こうき)を漂わせ、中国の磁器をみるようです。
土手や川の生き物にも春がひそやかに訪れてきているに違いありません。
時に川風にほんの少しの暖かさを、所々に大地に緑の芽生えを見て取れるからです。
父の亡くなった年齢は疾う(とう)に過ぎ、今や、己に医療のプロとしての礎(いしずえ)を授けて下さった、カナダの恩師の亡くなった年代になりました。
恩師や父の歩んだ道を知っているだけに、“日暮れて道遠し”の感が過(よぎ)ります。
“どんな人間も、それまでの人生によって形づくられた自分を変えることは難しい”ものです。
“おまえは何をしてきたのか”(ヴェルレーヌ)、中原中也の詩にも同じような言葉があります。
“男という者は、人生が配ってくれたカードでやっていくもので、カードが悪いと愚痴をこぼしてはならない”
のです。
只、どんな人生を送ったとしても、後悔しない人間なんていません。後悔と折り合って歩んでいくのが人生です。
己の人生を賭けて、恩師に恩を返そうとしてきました。
勿論、“借り”を返せば恩が返せるというわけではありません。己が受けた恩を次の世代に繋ぐことが師の恩に報いることです。そう思ってここまでの日々を過ごしてきました。
〔学長からの手紙〕
(No.36 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/036.html)
(No.48 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/048.html)
(No.186 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/186.html)
〔理事長室からの花だより〕
(vol.199 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=235)
〔学長からの手紙 「クリニシアン」vol.56 no579,2009〕
(No.212 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/212.html)
〔学長からの手紙・番外編 「週刊医学界新聞」第2911号:2,2011〕
(http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/extra009.html)
己が師に感じた恩を、次の世代の何人に継ぐことが出来たのか分かりません。己のなし得る全てを弟子や慕(した)ってくれた若者に注いだのは事実ですが…。
月日が経てば人間(ヒト)は変わります。
人間は、日々、何かを取り、同じだけ何かを諦(あきら)めて歩んでいます。
“夢を語るよりも思い出に浸(ひた)ることが多くなると、人間は老人に分類される”と言います。
只、この年齢になって、色々振り返ってみてももう遅いのです。“我々は人生が過ぎてから生き方を教わる”(モンテーニュ)のだと、恥ずかしながら、今頃気付いている有様(ありさま)です。
英語も陸(ろく)に話せない東洋の島国から来た、公費留学生でもないタダの若者を、恩師は何を思って、己の子供のように接して下さり、教え慈(いつく)しんで下さったのでしょうか。
今となっては尋(たず)ねる事は叶(かな)いません。
こうして、“人生は、すべてこの絶えざる嘆惜(たんせき)のうちに過ぎてゆきます”。
(vol.45 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=70)
(vol.180 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=214)
(vol.189 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=225)
(vol.277 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=314)
(vol.300 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=337)
今週の花材は、白と青が“早春”の象徴の様です。
特に、秘書室の花器のバカラブルーと花の青が同期しています。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今週の花
【理事長室】
■コブシ モクレン科/落葉高木/《名前
の由来》 蕾または果実の姿が子供の拳に似
ていることから/ 開花時期を目安に農作業を
していたことから「田打桜」(タウチザクラ)の別
名をもつ。桜より一足早く咲いて春の訪れを告
げる花。 3〜4月に葉に先だって開花し、花は
10cm程の大輪で香気がある。
■エピデンドラム ラン科/《名前の由来》
ギリシャ語の“epi”(上に)と“dendron”(木)
から。本属が一般的に着生蘭であることから
/細く伸びた花茎の先に小花が密集して咲く。
次々と開花するので、鑑賞期間が非常に長い。
■ハイドランジア〔モーリーラベンダー〕
ユキノシタ科/ハイドランジアは日本の紫陽
花を改良した西洋アジサイ。日本原産のアジ
サイに比べ、花が大きく華やか。 ドライフラワ
ーにも適し、リース等にも利用される。
■エリンジュウム〔ブルーアクエリアス〕
セリ科/多年草/長く鋭い苞と松かさのよう
な花が特徴。 切れ込みのある葉の先にトゲ
がある。アザミに似たトゲと松かさのような花
から「マツカサアザミ」の別名を持つ。成長と
ともに青みを帯びる。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/4011.jpg
■コブシ モクレン科/落葉高木/《名前
の由来》 蕾または果実の姿が子供の拳に似
ていることから/ 開花時期を目安に農作業を
していたことから「田打桜」(タウチザクラ)の別
名をもつ。桜より一足早く咲いて春の訪れを告
げる花。 3〜4月に葉に先だって開花し、花は
10cm程の大輪で香気がある。
■エピデンドラム ラン科/《名前の由来》
ギリシャ語の“epi”(上に)と“dendron”(木)
から。本属が一般的に着生蘭であることから
/細く伸びた花茎の先に小花が密集して咲く。
次々と開花するので、鑑賞期間が非常に長い。
■ハイドランジア〔モーリーラベンダー〕
ユキノシタ科/ハイドランジアは日本の紫陽
花を改良した西洋アジサイ。日本原産のアジ
サイに比べ、花が大きく華やか。 ドライフラワ
ーにも適し、リース等にも利用される。
■エリンジュウム〔ブルーアクエリアス〕
セリ科/多年草/長く鋭い苞と松かさのよう
な花が特徴。 切れ込みのある葉の先にトゲ
がある。アザミに似たトゲと松かさのような花
から「マツカサアザミ」の別名を持つ。成長と
ともに青みを帯びる。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/4011.jpg
【秘書室】
■バンクシア〔プリオノート〕 ヤマモガシ科/常緑低高木/オ
ーストラリア原産のネイティブフラワー。球状〜円筒状のブラシの
ような花序を持つ。独特の形と存在感が魅力。花持ちも良く、その
ままドライフラワーにもなる。
■アネモネ〔セントブリジット〕 キンポウゲ科/球根植物/一
茎に一花、大輪の花を咲かせ「牡丹一華」(ボタンイチゲ)、「花一
華」(ハナイチゲ)とも呼ばれる。花弁に見える部分はガク片の集
まり。チューリップ同様、花弁は明るいと開花し、暗いと閉じる。
「セントブリジット」は八重咲品種。
■オーニソガラム〔マウントフジ〕 ユリ科/球根植物/ヨーロ
ッパ〜西アジア、アフリカに約100種。星形の花がピラミッド状に
次々と開花する。 「マウントフジ」は白色で、他に黄色やオレンジ
もある。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/4012.jpg
■バンクシア〔プリオノート〕 ヤマモガシ科/常緑低高木/オ
ーストラリア原産のネイティブフラワー。球状〜円筒状のブラシの
ような花序を持つ。独特の形と存在感が魅力。花持ちも良く、その
ままドライフラワーにもなる。
■アネモネ〔セントブリジット〕 キンポウゲ科/球根植物/一
茎に一花、大輪の花を咲かせ「牡丹一華」(ボタンイチゲ)、「花一
華」(ハナイチゲ)とも呼ばれる。花弁に見える部分はガク片の集
まり。チューリップ同様、花弁は明るいと開花し、暗いと閉じる。
「セントブリジット」は八重咲品種。
■オーニソガラム〔マウントフジ〕 ユリ科/球根植物/ヨーロ
ッパ〜西アジア、アフリカに約100種。星形の花がピラミッド状に
次々と開花する。 「マウントフジ」は白色で、他に黄色やオレンジ
もある。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/4012.jpg