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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2010.12.10

vol.104  − 初冬 −

福島では、この時期が、日の入りが一番早い時期です(12月3日〜11日、16時19分)。

先日の出勤時、今年初めて川霧が川面を覆っているのに出会いました。
ちなみに、頼山陽(らいさんよう)が、「川中島の戦い」での川霧を詠んだ有名な詩は、1561年の旧暦9月のことです。今は当時よりは暖かくなっているのでしょうか。

この時季での出勤時の楽しみの一つは、暁方の星空です。
先週は、濃い青空を背景に三日月と金星(明けの明星)が宝石のように輝いていました。
他日、ふと空を見上げると、月がみえません。時の移ろいと自然の変化を実感させられます。

臼杵の石仏(レプリカ)の脇に置いた一枝の蔓梅擬き(ツルウメモドキ)と山茶花(サザンカ)の一輪が、鈍い灰色の平清水焼の花瓶の中で、一週間以上、白と赤の対照の美をみせてくれています。
こんな彩りが部屋の中に有ると無いとでは、帰宅時での心持ちが随分と違います。

1916年(大正5年)12月9日は、日本近代文字史上の巨人である夏目漱石が亡くなった日です。
彼は、明治維新以来、我が国が懸命に追い掛けた西洋文明の持つ“排他性”(こう感じるのは、西洋の中心的統合に対しての中空均衡構造「神話と日本人の心(河合隼雄)」、凸型に対する凹型文化「日本人らしさの構造(芳賀綏)」を読んでの私の偏見です)を早くから見抜き、その普遍性を否定していたように感じられます。
夏目漱石という存在が、受験で勉強した時より、今は随分と大きくみえます。
昔読んだ文学作品を再読してみると、最近は、いつも同じ感想を持ちます。
対象は同じでも、読み手が成長(変化)しているのでしょうか、あるいは読み込み方の違いでしょうか。

生き残りを賭けた国策が失敗する切っ掛けとなった大東亜戦争の開戦が、偶然にも1941年(昭和16年)の12月8日です。彼の予言は、彼の死後25年を経て現実のものとなってしまいました。
彼は、何をみて我が国の挫折を予見できたのでしょうか。ここにも知の巨人達の叡知(えいち)をみることができます。

今週の花材は、執務室は和風クリスマスツリーです。緑と白の組み合わせに赤のアクセントを効かせています。
秘書室は、白と赤の対照美です。先週に引き続いての「粋」シリーズの続編です。


(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)

今週の花


【理事長室】
■ユリ(シベリア)   ユリ科/球根植物/大輪咲き
の白色のユリ。もっとも有名なユリ「カサブランカ」を一
回り小さくしたようなユリ。カサブランカは下向きに咲
き、「シベリア」は上向きに咲く。
■クジャクヒバ   ヒノキ科/常緑低木/ヒノキから
作られた園芸品種。孔雀の羽のような葉を持つ。寒く
なるにつれ、葉先が黄色みをおびる。クリスマスアレン
ジやリースなどに利用する。
■ヒペリカム(ピンキーフレア)   オトギリソウ科/
半常緑低木/花期は初夏で黄色い花が咲く。主に実
を観賞する切花として流通。品種は豊富で、赤、ピン
ク、緑、茶などの実色や大実タイプもある。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1041.jpg
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【秘書室】
■カラー(ウェディングマーチ)   サトイモ科/球根植物/原産:
南アフリカ/《名前の由来》メガホン状の苞がYシャツのカラー
(襟)に似ていることから/江戸時代にオランダから渡来。“オラン
ダからきた芋”という意味の「オランダカイウ」(阿蘭陀海芋)の別
名がある。花は苞の中心にある棒状の部分。
■ゲットウ   ショウガ科/常緑多年草/原産:東南アジア/東
南アジアやインド南部の亜熱帯に群生。初夏に白い花が咲き、秋
に赤茶色の実をつける。葉は芳香があり、防虫効果や消臭効果
がある。
■アンスリューム(ジュピターレッド)   サトイモ科/常緑多年
草/原産:熱帯アメリカ/エナメル質のような光沢と立体感が特
徴。団扇(うちわ)のような大きな苞を観賞する花。
※拡大写真http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1042.jpg
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