HOME > 理事長室からの花だより
理事長室からの花だより
新着 30 件
理事長室からの花だより
vol.106 − 静思 −
今年も残り僅かな日々になってしまいました。
日の出はまだ遅くなっていますが、日の入りは既に少しずつ延び初めています。
暁方、そして深夜、空を見上げていると、月の満ち欠けが悠々とした、そして厳然とした時の移ろいを改めて教えてくれます。こんな時、
月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也
芭蕉の諦念を含んだ詠嘆が実感できます。
暁方、日の出が最も遅いこの時季、東の空は水彩のような薄い水色を呈し、時間とともに急速に橙色(だいだいいろ)に変わっていきます。
前にも書きましたが(vol.60 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=86)、
昨今の、日に夜を継ぐかのような、闇を恐れているのではと疑いたくなるような街中のイルミネーションの乱舞には、私はやはり後ろめたさを伴った違和感をおぼえてしまいます。
全くの思いつきですが、12月の屋内外の明かりの装飾は、北欧の人達が、とてつもない寒さ、深く長い闇、外界に対して閉ざした石壁の家屋といった環境の中で、気が滅入らずに済むように考えた知恵が始まりだったのではないかと考えています。
冬でもそれ程寒くなく、日照時間も程々にある我が国で、光の祭典の如く盛んになっていくのをみると、
我が国が昔から持っている障子や曇り硝子から洩れる柔らかい光、闇の中の月や星の光、夜汽車の窓を通して見える家々の灯り(vol.50 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=75)が醸しだすぬくもりを、「愛しさの象徴」として大切にしてきた伝統が忘れ去られてしまうのではと危惧を覚えます。
少しは「陰翳礼讃」(谷崎潤一郎)(vol.60)の心は持ち続けたいものです。
(vol.60 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=86)
今時、環境を問題にしている割には、何より木への思いやりがなく、可哀想です。木が眠れないのではないでしょうか。
12月、医学の歴史でも大きな出来事があった月です。
初の心臓移植の実施やレントゲンの撮影は12月の出来事です。我が国でも、小石川養生所の開設、北里柴三郎の血清療法の発見、東京女医学校の設立、そして志賀潔の赤痢菌の発見などがあります。
このような先人達の偉大な業績に対して、我が国でももっと顕賞の日や式典を設けて、先人の偉業を偲ぶことは、日本人の感性やそれに基づく実践復活の起爆剤になるのではないでしょうか。
今年最後の花だよりです。一年間何とか続けられたこと、そして関係者の御支援に心から感謝します。
来年も、
去年今年(こぞことし)貫く棒の如きもの
(高浜虚子)
の“棒”を自らの心に秘めて生きていくことを誓って、今年の花だよりを終わります。
今週の花材は、執務室は“鎮”で表現できる、静かな祈りの心を呼び起こしてくれます。
秘書室は可愛いホワイトクリスマスです。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
日の出はまだ遅くなっていますが、日の入りは既に少しずつ延び初めています。
暁方、そして深夜、空を見上げていると、月の満ち欠けが悠々とした、そして厳然とした時の移ろいを改めて教えてくれます。こんな時、
月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也
芭蕉の諦念を含んだ詠嘆が実感できます。
暁方、日の出が最も遅いこの時季、東の空は水彩のような薄い水色を呈し、時間とともに急速に橙色(だいだいいろ)に変わっていきます。
前にも書きましたが(vol.60 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=86)、
昨今の、日に夜を継ぐかのような、闇を恐れているのではと疑いたくなるような街中のイルミネーションの乱舞には、私はやはり後ろめたさを伴った違和感をおぼえてしまいます。
全くの思いつきですが、12月の屋内外の明かりの装飾は、北欧の人達が、とてつもない寒さ、深く長い闇、外界に対して閉ざした石壁の家屋といった環境の中で、気が滅入らずに済むように考えた知恵が始まりだったのではないかと考えています。
冬でもそれ程寒くなく、日照時間も程々にある我が国で、光の祭典の如く盛んになっていくのをみると、
我が国が昔から持っている障子や曇り硝子から洩れる柔らかい光、闇の中の月や星の光、夜汽車の窓を通して見える家々の灯り(vol.50 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=75)が醸しだすぬくもりを、「愛しさの象徴」として大切にしてきた伝統が忘れ去られてしまうのではと危惧を覚えます。
少しは「陰翳礼讃」(谷崎潤一郎)(vol.60)の心は持ち続けたいものです。
(vol.60 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=86)
今時、環境を問題にしている割には、何より木への思いやりがなく、可哀想です。木が眠れないのではないでしょうか。
12月、医学の歴史でも大きな出来事があった月です。
初の心臓移植の実施やレントゲンの撮影は12月の出来事です。我が国でも、小石川養生所の開設、北里柴三郎の血清療法の発見、東京女医学校の設立、そして志賀潔の赤痢菌の発見などがあります。
このような先人達の偉大な業績に対して、我が国でももっと顕賞の日や式典を設けて、先人の偉業を偲ぶことは、日本人の感性やそれに基づく実践復活の起爆剤になるのではないでしょうか。
今年最後の花だよりです。一年間何とか続けられたこと、そして関係者の御支援に心から感謝します。
来年も、
去年今年(こぞことし)貫く棒の如きもの
(高浜虚子)
の“棒”を自らの心に秘めて生きていくことを誓って、今年の花だよりを終わります。
今週の花材は、執務室は“鎮”で表現できる、静かな祈りの心を呼び起こしてくれます。
秘書室は可愛いホワイトクリスマスです。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今週の花
【理事長室】
■ドウダンツツジ ツツジ科/落葉低木/
4〜5月頃にスズランのような白い小花が咲
く。新緑、花期、紅葉と一年中楽しめる樹木。
今回は落葉後の枝を白く染めたもの。
■スプレー菊(ベスビオ) キク科/多年草
/スプレー咲き(枝咲き)の菊。「ベスビオ」は
花弁が細いスパイダー咲き。白色の他、黄色
やピンクもある。
■スプレーストック アブラナ科/一年草/
原産:地中海沿岸/甘い香りを放つ春の花。
茎の上部で枝が分岐して開花し、1本でもボリ
ュームがある。白の他、クリーム、ピンク〜パ
ープル系で多品種ある。
■カーネーション(ポリミア) ナデシコ科/
多年草/母の日の花として有名な花。江戸時
代にオランダから渡来。「ポリミア」は優しいク
リーム色の品種。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1061.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)
■ドウダンツツジ ツツジ科/落葉低木/
4〜5月頃にスズランのような白い小花が咲
く。新緑、花期、紅葉と一年中楽しめる樹木。
今回は落葉後の枝を白く染めたもの。
■スプレー菊(ベスビオ) キク科/多年草
/スプレー咲き(枝咲き)の菊。「ベスビオ」は
花弁が細いスパイダー咲き。白色の他、黄色
やピンクもある。
■スプレーストック アブラナ科/一年草/
原産:地中海沿岸/甘い香りを放つ春の花。
茎の上部で枝が分岐して開花し、1本でもボリ
ュームがある。白の他、クリーム、ピンク〜パ
ープル系で多品種ある。
■カーネーション(ポリミア) ナデシコ科/
多年草/母の日の花として有名な花。江戸時
代にオランダから渡来。「ポリミア」は優しいク
リーム色の品種。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1061.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)
【秘書室】
■サンダーソニア ユリ科/球根植物/原産:南アフリカ/《名
前の由来》発見者サンダーソンの名前から/細い茎に風鈴のよう
なオレンジ色の花をつける。原産地ではクリスマスの時期に開花す
るので、「クリスマスベル」の別名がある。
■コチア アカザ科/常緑低木/原産:オーストラリア/クリス
マスツリーが雪を覆ったような花姿。多肉植物のように肉厚な葉で
白銀色が特徴。クリスマスシーズンだけ流通する花材。
■千日紅(センニチコウ) ヒユ科/一年草/《名前の由来》紅
色が長く色褪せないことから/赤色の他、白、ピンク、紫などある。
ドライフラワーにも適し、花色も綺麗に残る。
■クジャクヒバ ヒノキ科/常緑低木/ヒノキから作られた園芸
品種。孔雀の羽のような葉を持つ。
※拡大写真http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1062.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)
■サンダーソニア ユリ科/球根植物/原産:南アフリカ/《名
前の由来》発見者サンダーソンの名前から/細い茎に風鈴のよう
なオレンジ色の花をつける。原産地ではクリスマスの時期に開花す
るので、「クリスマスベル」の別名がある。
■コチア アカザ科/常緑低木/原産:オーストラリア/クリス
マスツリーが雪を覆ったような花姿。多肉植物のように肉厚な葉で
白銀色が特徴。クリスマスシーズンだけ流通する花材。
■千日紅(センニチコウ) ヒユ科/一年草/《名前の由来》紅
色が長く色褪せないことから/赤色の他、白、ピンク、紫などある。
ドライフラワーにも適し、花色も綺麗に残る。
■クジャクヒバ ヒノキ科/常緑低木/ヒノキから作られた園芸
品種。孔雀の羽のような葉を持つ。
※拡大写真http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1062.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)