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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2011.03.25

vol.118【番外編】  − 危急 −

本県における大震災に伴う原子力発電所の事故発生という、危急存亡の秋(とき)、その対策に本学と県が一体となって取り組んでいます。
地道に積み上げてきた両者の相互信頼と敬意に基づく絆(きずな)が、ここという真に今、連携の威力を発揮しています。

本学の責任者である私はというと、有能な執行部に恵まれ、木偶の坊(でくのぼう)のように執務室の椅子に座っているだけです。
燃料節約の為暖房は入っておらず、つい先日までは断水もあり、着膨れ達磨(だるま)のようにしていました。

私に、今、求められているのは、
    「流水に鑑みる(かんがみる)なくして、止水(しすい)に鑑みる」
ことだと思い定めています。
大学や病院というのは、プロの集団で構成されています。それだけに、時として自分の仕事からの視点をより重視しがちです。ここに、危機の時、組織管理上のリスクがあるように感じています。

スタッフが決めかねている時、あるいは他の組織とのパイプを作って欲しい時に動く、「静あってこその動」と割り切っています。
年寄りには、所詮、この位のことしかできません。

この間、国内外の多くの友人から激励や海外脱出と2〜3ヵ月の滞在の勧め!を戴きました。
そんな中に、ニューヨークタイムズの記事に掲載されていた村上龍氏の寄稿文を送ってくれた友人がいました。その中の“Amid Shortages,a Surplus of Hope”(何もない、あるのは希望だけ)の見出し、心に残りました。

古今東西、失意の人々を慰める言葉は同じようです。
         朝の来ない夜はない   (吉川英治)
         The night is long that never finds the day
           〔どんなに長くても夜は必ず明ける〕   (シェークスピア)

本県に応援に駆けつけてくれている多くの組織や人々に、本学を代表して心から感謝の意を表します。
今、福島県民のみならず、日本という国家、民族の真価が試されているのだと思っています。

こんな時でも、庭の木瓜(ボケ)が今年も花を咲かせています。
少し救われた気持ちになります。


(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)



今週の花

【理事長室】

※ 編集註
お花の活け込み写真については現在休載しております。
次回掲載より活け込みを再開する予定です。

   

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