HOME > 理事長室からの花だより
理事長室からの花だより
新着 30 件
理事長室からの花だより
vol.155 − 榾火 (ほだび) −
一陽来復、これからの一年、“希望”へ向かって歩き始める時です。
千辛万苦の一年、今は過去です。
日の出は、1月3日から10日が最も遅く、今が底です。これからは一日ごとに日の出が早くなっていきます。
福島は雪のない新年を迎えました。
今年は、復旧の時とは異なる難しさが待ち受けています。“時という歴史”、あるいは“次の世代”を評価の物差しとして動かなければなりません。
年始め、赤い朝陽が構内を斜めから照らします。直に太陽が観察できます。建物の壁一面が朱に染まり、一時(いっとき)、大学全体が輝いているのがこの時季です。
太陽が山の頂を離れると、この壮大なショーは終わりです。朱は黄色になり、一帯は昼間のように明るくなります。
朝、供花として、あるいは室内に設(しつら)えられた水仙、香りが身の廻りを漂い、一瞬ですが、越前海岸に居るような気にさせてくれます。
胸のうちいちど空(から)にして
あの青き水仙の葉をつめこみてみたし
(前川佐美雄)
水仙といえば、ブラザースフォーの“七つの水仙”が、我々の世代では記憶の奥にあります。
年末、体調を崩してしまいました。出張先で、会議を待つ間、部屋の前にあるテーブルに手を掛けたら、テーブルの冷たさに心地よさを覚えました。まだ体に熱があることを知りました。
気力が萎えると体調を崩すのか、体調を崩すと気力が萎えるのか、心身一如(しんしんいちにょ)を実感します。年始め、大きな組織のトップとして頑張っている友の労(いたわ)りの言葉に励まされました。
会津へ足を運びました。弟子達との語らいは心身不調の身に安らぎを与えてくれます。
帰途、磐梯山を左にみて高速道路を走っていると、前方に大きく聳(そび)えている吾妻の嶺々が目に入りました。時間にして数分でしょうか、山頂から麓近くまで雪をかぶった白い山肌が、雲間からの夕陽を浴びて紅色に輝いていました。
原発事故以来の努力を労(ねぎら)ってもらったような気がしました。「プロは結果がすべて」と自らに、そして周囲に説いてきた自分に、「努力の目標は結果ではない」と胸に刻んでの帰途でした。
都会の夕陽も心を凪(なぎ)にしてくれます。
霞む摩天楼(もう死語でしょうか)のガラスに横からの夕陽が反射し、ビル自体が発光体のように朱に輝いています。その隣のビルに余光が反射し、薄い赤、まるで榾火(ほだび)のようです。
自然に四季あり、人も然(しか)り、人間は地位や年齢とともに求められる役割が変わります。
現場感覚を失わず俯瞰(ふかん)の目で、蛮勇でなく知恵を持った勇気で、復興に努力しなければ…。
己が求められている役割が、自ら輝く太陽なのか、太陽がなければ輝けない月なのかを自覚して勤めを果たす必要があります。
今週の花材は、新たな年の始めを象徴しています。
執務室、秘書室ともに、赤、緑、白で涼やかな中に華やかさを演出しています。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
千辛万苦の一年、今は過去です。
日の出は、1月3日から10日が最も遅く、今が底です。これからは一日ごとに日の出が早くなっていきます。
福島は雪のない新年を迎えました。
今年は、復旧の時とは異なる難しさが待ち受けています。“時という歴史”、あるいは“次の世代”を評価の物差しとして動かなければなりません。
年始め、赤い朝陽が構内を斜めから照らします。直に太陽が観察できます。建物の壁一面が朱に染まり、一時(いっとき)、大学全体が輝いているのがこの時季です。
太陽が山の頂を離れると、この壮大なショーは終わりです。朱は黄色になり、一帯は昼間のように明るくなります。
朝、供花として、あるいは室内に設(しつら)えられた水仙、香りが身の廻りを漂い、一瞬ですが、越前海岸に居るような気にさせてくれます。
胸のうちいちど空(から)にして
あの青き水仙の葉をつめこみてみたし
(前川佐美雄)
水仙といえば、ブラザースフォーの“七つの水仙”が、我々の世代では記憶の奥にあります。
年末、体調を崩してしまいました。出張先で、会議を待つ間、部屋の前にあるテーブルに手を掛けたら、テーブルの冷たさに心地よさを覚えました。まだ体に熱があることを知りました。
気力が萎えると体調を崩すのか、体調を崩すと気力が萎えるのか、心身一如(しんしんいちにょ)を実感します。年始め、大きな組織のトップとして頑張っている友の労(いたわ)りの言葉に励まされました。
会津へ足を運びました。弟子達との語らいは心身不調の身に安らぎを与えてくれます。
帰途、磐梯山を左にみて高速道路を走っていると、前方に大きく聳(そび)えている吾妻の嶺々が目に入りました。時間にして数分でしょうか、山頂から麓近くまで雪をかぶった白い山肌が、雲間からの夕陽を浴びて紅色に輝いていました。
原発事故以来の努力を労(ねぎら)ってもらったような気がしました。「プロは結果がすべて」と自らに、そして周囲に説いてきた自分に、「努力の目標は結果ではない」と胸に刻んでの帰途でした。
都会の夕陽も心を凪(なぎ)にしてくれます。
霞む摩天楼(もう死語でしょうか)のガラスに横からの夕陽が反射し、ビル自体が発光体のように朱に輝いています。その隣のビルに余光が反射し、薄い赤、まるで榾火(ほだび)のようです。
自然に四季あり、人も然(しか)り、人間は地位や年齢とともに求められる役割が変わります。
現場感覚を失わず俯瞰(ふかん)の目で、蛮勇でなく知恵を持った勇気で、復興に努力しなければ…。
己が求められている役割が、自ら輝く太陽なのか、太陽がなければ輝けない月なのかを自覚して勤めを果たす必要があります。
今週の花材は、新たな年の始めを象徴しています。
執務室、秘書室ともに、赤、緑、白で涼やかな中に華やかさを演出しています。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今週の花
【理事長室】
■大王松 マツ科/原産:北アメリカ/《名前の由
来》マツ属の中でもっとも長い葉をもつことから/明治
時代に渡来。原産地では樹高が50mを超えるものも
ある。
■ユリ〔コンスタンタ〕 ユリ科/球根植物/白色
のオリエンタルハイブリット(OH)種。オリエンタルは
大きく優雅な花姿と芳香が特徴。OHの白色は「コン
スタンタ」の他、「カサブランカ」や「クリスタルブラン
カ」「シベリア」など。
■千両 センリョウ科/原産:インド・日本・マレー
シア/「千両」という縁起のよい名前と、不浄なものを
清めるといわれる赤い実から、お正月飾りにかかせ
ない花材。黄色の実を付ける「黄千両」もある。千両
は葉の上に実をつけ、「万両」(マンリョウ)は葉の下
に実をつける。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1551.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)
■大王松 マツ科/原産:北アメリカ/《名前の由
来》マツ属の中でもっとも長い葉をもつことから/明治
時代に渡来。原産地では樹高が50mを超えるものも
ある。
■ユリ〔コンスタンタ〕 ユリ科/球根植物/白色
のオリエンタルハイブリット(OH)種。オリエンタルは
大きく優雅な花姿と芳香が特徴。OHの白色は「コン
スタンタ」の他、「カサブランカ」や「クリスタルブラン
カ」「シベリア」など。
■千両 センリョウ科/原産:インド・日本・マレー
シア/「千両」という縁起のよい名前と、不浄なものを
清めるといわれる赤い実から、お正月飾りにかかせ
ない花材。黄色の実を付ける「黄千両」もある。千両
は葉の上に実をつけ、「万両」(マンリョウ)は葉の下
に実をつける。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1551.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)
【秘書室】
■鉄砲ユリ〔日の本〕(ひのもと) ユリ科/球根植物/原産:
日本/《名前の由来》花の形が筒状で横向きに咲き、鉄砲の形に
似ることから/沖縄では自生種が群生する。理事長室のユリとは
別種のロンギフローラムハイブリット(LH)種。同じ白色のユリでも
花の付き方や開花姿が異なり、まったく違った雰囲気が楽しめる。
■ピンポン菊 キク科/多年草/原産:オランダ/ピンポン玉
のように、真ん丸く開花する菊。菊の中でも特に花持ちが良く、1ヵ
月程度楽しめる。
■グロリオサ〔ニューレッド〕 ユリ科/球根植物/原産:アフリ
カ・熱帯アジア/《名前の由来》ラテン語の栄光や見事なを意味す
る“グラリオラス”から/メラメラと燃える炎に似た独特な花姿。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1552.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)