HOME > 理事長室からの花だより
理事長室からの花だより
新着 30 件
理事長室からの花だより
vol.173 − 春風 −
この時季、早朝、戸を開けると冷気が肌に届き、心地良い朝の一時を堪能できます。
庭や構内では鳥の囀(さえず)りが、騒々しい程に賑やかです。
5月、爽やかな日々が続き、花々もここを先途(せんど)と咲き乱れています。若葉が、きらきらした光を濾過して、和らかい日差しを地上に与えてくれています。
昔の慣習の名残か、あちらこちらに、桐の木が目につきます。今、紫の花を咲かせています。
(vol.79 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=105)
清少納言が「せちは五月にしくはなし」と言っているのですから、人々の5月への想いは、古今、内外を問わず皆同じようです。
この時季は田植えを始め、農繁期の真っ只中です。
この風景は、古来、歌人の歌心を刺激したようで、多くの歌が残されています。
早苗とる手もとや昔しのぶ摺(ずり)
(芭蕉)
これは、以前にも書きましたが、芭蕉が福島の地で詠んだ歌です。
(vol.29 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=46)
爽やかな5月の風を肌で感じられるような音の響きです。
五月(さつき)待つ小田のますらを暇(いとま)無み
堰き入るる水に蛙(かはづ)鳴くなり
(源実朝)
昔の歌の風景が、田圃の上を5月の風が吹き渡るなか、時代を越えて続いています。ここに文化を感じます。
5月の音楽といえば、シューマンの歌曲集「詩人の恋」からの「美しい5月に」、ピアノ曲集「子供のためのアルバム」からの「愛しい5月よ」が浮かびます。
一方、抜けるような青空や穏やかな陽気なだけに、そこに不安や愁いを感じるのも人間の性(さが)です。
室生犀星の「寂しき春」は、人間のそんな複雑な心情を詠ったものです。
体調管理とストレス解消を目的として、毎日エアロバイクを、300kcal、約50分しています。
この間、新聞に目を通したり本を読んだりしています。新聞に目を通していると、時に感情に細波(さざなみ)が立ち、脈拍が速くなってしまいます。本ではそんなことはありません。
そんな時に、脳裡に浮かぶ妄想の一つです。
人間(ヒト)は想いを過去に馳せる場合と、現在や未来へ向ける場合の二つがあります。
後者を採るとその実現には、熱く、激しい情熱とそれを継続することが必要です。一方、前者では心に榾火(ほだび)を持ち続ければ可能です。夢や志の実現、あるいは課題の克服にはどちらも必要です。
人間は、往々にして、未来ばかり向いてしまいます。しかし、過去に想いを馳せることは、未来へのそれよりも時には大切だと、この頃思うようになりました。
今週の花材は、執務室はナツハゼが深山幽谷を想わせます。
子供の頃、ツツジの山(“東北の邪馬渓(やばけい)”といわれる矢祭山)の中に分け入り、父親とおにぎりを食べたことを想い出しました。
(vol.126 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=159)
秘書室は今が盛りの新緑の象徴です。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
庭や構内では鳥の囀(さえず)りが、騒々しい程に賑やかです。
5月、爽やかな日々が続き、花々もここを先途(せんど)と咲き乱れています。若葉が、きらきらした光を濾過して、和らかい日差しを地上に与えてくれています。
昔の慣習の名残か、あちらこちらに、桐の木が目につきます。今、紫の花を咲かせています。
(vol.79 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=105)
清少納言が「せちは五月にしくはなし」と言っているのですから、人々の5月への想いは、古今、内外を問わず皆同じようです。
この時季は田植えを始め、農繁期の真っ只中です。
この風景は、古来、歌人の歌心を刺激したようで、多くの歌が残されています。
早苗とる手もとや昔しのぶ摺(ずり)
(芭蕉)
これは、以前にも書きましたが、芭蕉が福島の地で詠んだ歌です。
(vol.29 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=46)
爽やかな5月の風を肌で感じられるような音の響きです。
五月(さつき)待つ小田のますらを暇(いとま)無み
堰き入るる水に蛙(かはづ)鳴くなり
(源実朝)
昔の歌の風景が、田圃の上を5月の風が吹き渡るなか、時代を越えて続いています。ここに文化を感じます。
5月の音楽といえば、シューマンの歌曲集「詩人の恋」からの「美しい5月に」、ピアノ曲集「子供のためのアルバム」からの「愛しい5月よ」が浮かびます。
一方、抜けるような青空や穏やかな陽気なだけに、そこに不安や愁いを感じるのも人間の性(さが)です。
室生犀星の「寂しき春」は、人間のそんな複雑な心情を詠ったものです。
体調管理とストレス解消を目的として、毎日エアロバイクを、300kcal、約50分しています。
この間、新聞に目を通したり本を読んだりしています。新聞に目を通していると、時に感情に細波(さざなみ)が立ち、脈拍が速くなってしまいます。本ではそんなことはありません。
そんな時に、脳裡に浮かぶ妄想の一つです。
人間(ヒト)は想いを過去に馳せる場合と、現在や未来へ向ける場合の二つがあります。
後者を採るとその実現には、熱く、激しい情熱とそれを継続することが必要です。一方、前者では心に榾火(ほだび)を持ち続ければ可能です。夢や志の実現、あるいは課題の克服にはどちらも必要です。
人間は、往々にして、未来ばかり向いてしまいます。しかし、過去に想いを馳せることは、未来へのそれよりも時には大切だと、この頃思うようになりました。
今週の花材は、執務室はナツハゼが深山幽谷を想わせます。
子供の頃、ツツジの山(“東北の邪馬渓(やばけい)”といわれる矢祭山)の中に分け入り、父親とおにぎりを食べたことを想い出しました。
(vol.126 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=159)
秘書室は今が盛りの新緑の象徴です。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今週の花
【理事長室】
■ナツハゼ ツツジ科/落葉低木/原産:
日本・朝鮮/《名前の由来》夏にハゼのように
紅葉することから/北海道から九州まで、山
地・丘陵地に生育。春の芽吹きの頃から赤み
を帯びた綺麗な葉色が特徴。花期は5〜6月
頃で、ベル状の小さな花を多数つける。赤褐
色の実がなり、秋に熟し黒くなると食べられ
る。
■ジンジャー〔アップルジンジャー〕 ショウ
ガ科/花のようにみえる赤い部分は苞。苞が
リンゴに似ていることから「アップルジンジャ
ー」と呼ばれる。花は苞の間からみえる黄色い
部分。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1731.jpg
■ナツハゼ ツツジ科/落葉低木/原産:
日本・朝鮮/《名前の由来》夏にハゼのように
紅葉することから/北海道から九州まで、山
地・丘陵地に生育。春の芽吹きの頃から赤み
を帯びた綺麗な葉色が特徴。花期は5〜6月
頃で、ベル状の小さな花を多数つける。赤褐
色の実がなり、秋に熟し黒くなると食べられ
る。
■ジンジャー〔アップルジンジャー〕 ショウ
ガ科/花のようにみえる赤い部分は苞。苞が
リンゴに似ていることから「アップルジンジャ
ー」と呼ばれる。花は苞の間からみえる黄色い
部分。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1731.jpg
【秘書室】
■アナスタシア キク科/多年草/花弁が
花火のように広がる大きな菊。通常の菊と異
なり、細く繊細な花弁が特徴。供花よりも祝花
としての利用が多い菊。
■ビバーナム〔スノーボール〕 スイカズラ
科/落葉低木/原産:北アメリカ/5〜6月頃
にアジサイに似た花を咲かせる。爽やかなグ
リーンが特徴で、開花が進むにつれ白くなる。
■アンスリュウム〔みどり〕 サトイモ科/
常緑多年草/花弁のように見える苞を鑑賞。
花は苞の中心にある棒状の部分。熱帯原産
の花なので暑さにも強く、非常に長く楽しめ
る。
■ナルコユリ スズラン科(ユリ科)/原
産:日本。春にスズランのような白い小さな花
が咲く。葉に斑が入り、涼しげな印象のグリー
ン。とても強健な性質でガーデニングにも最
適。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1732.jpg
■アナスタシア キク科/多年草/花弁が
花火のように広がる大きな菊。通常の菊と異
なり、細く繊細な花弁が特徴。供花よりも祝花
としての利用が多い菊。
■ビバーナム〔スノーボール〕 スイカズラ
科/落葉低木/原産:北アメリカ/5〜6月頃
にアジサイに似た花を咲かせる。爽やかなグ
リーンが特徴で、開花が進むにつれ白くなる。
■アンスリュウム〔みどり〕 サトイモ科/
常緑多年草/花弁のように見える苞を鑑賞。
花は苞の中心にある棒状の部分。熱帯原産
の花なので暑さにも強く、非常に長く楽しめ
る。
■ナルコユリ スズラン科(ユリ科)/原
産:日本。春にスズランのような白い小さな花
が咲く。葉に斑が入り、涼しげな印象のグリー
ン。とても強健な性質でガーデニングにも最
適。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1732.jpg