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理事長室からの花だより
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理事長室からの花だより
vol.190 − 伝承 −
早朝の山にかかる朝霧、夜の川面に映る月の光、秋です。
久し振りの雨、鉄路からみると田畑が蘇っていくのが分かります。一雨ごとに秋が深まります。
大学への道すがら、朝顔がフェンスに巻きついていくつもの花を咲かせているのが目に入りました。
吸い込まれるような濃い青、一点の曇りもない青空と澄みきった大気の中、“鮮やか”の一言です。
朝涼の 静けさに見る目の前の
瑠璃あさ顔の 輪の大きさ
木下利玄
朝顔の青は、古来、画家を魅了し、数々の傑作が生まれています。
円山応拳、鈴木其一(きいつ)、速水御舟などです。特に、鈴木其一の朝顔図屏風(メトロポリタン美術館)は海外の人々を魅了し、朝顔の青はJapan blueと賞讃されています
日本一の水質と折り紙付きの近くの川、
(vol.70 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=96)
最近、川の中央が尾根のように高くなり、斜めに横切るような浅瀬を形成しています。
青白い水流が、浅瀬で砕かれ、白く泡立っています。波の姿は、鏨(たがね)で造形した銅器の肌のような形を呈しています。そこに朝陽が反射して、金の鱗(うろこ)のようです。瀬音が耳元まで届くような錯覚を覚えます。
一週間後、朝陽はいまだ顔をみせなくなり、一期一会の風景であったことを思い知らされます。
やはり、歳月はこちらの都合とは関係なく、勝手に来て勝手に去ってしまいます。
心の平常心を保つ為に執筆をしています。
この作業のなかで、文献検索の今昔に思いを馳せました。コンピュータの発達は、文献検索を一変させてしまいました。図書館に一日中籠もっていた昔とは様変わりです。
一頁ずつ頁を捲って調べていると、目的としていないことにぶつかります。ついそれらに興味を惹かれて時間を費やしたり、メモを取ったりして、気が付けば全く違ったことに夢中になっていたことがありました。
寄り道や脇道は発想の原点、“人の行く裏に花の道”です。
年寄りの繰り言を続けます。
私の若い時、先輩達は、仕事が終わるとマージャンをしていました。私は、マージャンはできず、人付き合いが苦手でしたが、先輩達との会話の中から失敗談や教訓を学びました。
今は車社会です。職場での飲酒は勿論、マージャン(今は絶滅?)も御法度です。
となると、医療人にとって大切な耳学問の場はどこにあるのか…。
先日、新聞で、子供の頃、通学時に毎日みていた屋根付きの門が、今は既になくなっていて、自由民権運動の記念碑的な建造物であったことを知りました。子供心に、いやに立派な門だなあと思ったのを覚えています。
自由民権運動という遙か昔、子供の頃には健在だった門、その後の門の消失、そして今の復元の動き、時の流れの速さにたじろぎます。
今週の花材は、執務室では灯台躑躅(ドウダンツツジ)、秘書室では竜胆(リンドウ)が主役です。
秋の深まりや清楚さを感じます。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
久し振りの雨、鉄路からみると田畑が蘇っていくのが分かります。一雨ごとに秋が深まります。
大学への道すがら、朝顔がフェンスに巻きついていくつもの花を咲かせているのが目に入りました。
吸い込まれるような濃い青、一点の曇りもない青空と澄みきった大気の中、“鮮やか”の一言です。
朝涼の 静けさに見る目の前の
瑠璃あさ顔の 輪の大きさ
木下利玄
朝顔の青は、古来、画家を魅了し、数々の傑作が生まれています。
円山応拳、鈴木其一(きいつ)、速水御舟などです。特に、鈴木其一の朝顔図屏風(メトロポリタン美術館)は海外の人々を魅了し、朝顔の青はJapan blueと賞讃されています
日本一の水質と折り紙付きの近くの川、
(vol.70 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=96)
最近、川の中央が尾根のように高くなり、斜めに横切るような浅瀬を形成しています。
青白い水流が、浅瀬で砕かれ、白く泡立っています。波の姿は、鏨(たがね)で造形した銅器の肌のような形を呈しています。そこに朝陽が反射して、金の鱗(うろこ)のようです。瀬音が耳元まで届くような錯覚を覚えます。
一週間後、朝陽はいまだ顔をみせなくなり、一期一会の風景であったことを思い知らされます。
やはり、歳月はこちらの都合とは関係なく、勝手に来て勝手に去ってしまいます。
心の平常心を保つ為に執筆をしています。
この作業のなかで、文献検索の今昔に思いを馳せました。コンピュータの発達は、文献検索を一変させてしまいました。図書館に一日中籠もっていた昔とは様変わりです。
一頁ずつ頁を捲って調べていると、目的としていないことにぶつかります。ついそれらに興味を惹かれて時間を費やしたり、メモを取ったりして、気が付けば全く違ったことに夢中になっていたことがありました。
寄り道や脇道は発想の原点、“人の行く裏に花の道”です。
年寄りの繰り言を続けます。
私の若い時、先輩達は、仕事が終わるとマージャンをしていました。私は、マージャンはできず、人付き合いが苦手でしたが、先輩達との会話の中から失敗談や教訓を学びました。
今は車社会です。職場での飲酒は勿論、マージャン(今は絶滅?)も御法度です。
となると、医療人にとって大切な耳学問の場はどこにあるのか…。
先日、新聞で、子供の頃、通学時に毎日みていた屋根付きの門が、今は既になくなっていて、自由民権運動の記念碑的な建造物であったことを知りました。子供心に、いやに立派な門だなあと思ったのを覚えています。
自由民権運動という遙か昔、子供の頃には健在だった門、その後の門の消失、そして今の復元の動き、時の流れの速さにたじろぎます。
今週の花材は、執務室では灯台躑躅(ドウダンツツジ)、秘書室では竜胆(リンドウ)が主役です。
秋の深まりや清楚さを感じます。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今週の花
【理事長室】
■ドウダンツツジ ツツジ科/落葉低木/
原産:日本/新緑、花期、紅葉と一年を通して
楽しめる樹木。4〜5月頃にスズランに似た小
さな白い花が咲く/他に、赤色の花が咲く「ベ
ニバナドウダン」、白地に赤の縞模様の花が
咲く「更紗ドウダン」もある。
■プロテア〔ビーナス〕 ヤマモガシ科/原
産:南アフリカ/《名前の由来》ギリシャ神話
の海神プロテウスの名より。同属とは思えな
いほど変異種が多いことから、自由自在に変
身できるプロテウスにちなんで/圧倒的な存
在感をもつワイルドフラワー。「ビーナス」は赤
色品種。
■リュウカデンドロン〔サファリサンセット〕
ヤマモガシ科/原産:南アフリカ/花弁のよう
に見える部分は苞葉で、その中に花序があ
る。非常に花持ちが良く、ドライフラワーにも適
す。
■ホトトギス ユリ科/原産:日本・東アジ
ア〜インド/《名前の由来》花びらの斑点模様
が鳥のホトトギスに似ていることから/山野草
として人気があり、約20種あるうち10種が日
本原産。趣がある渋い花で茶花でも人気。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1901.jpg
■ドウダンツツジ ツツジ科/落葉低木/
原産:日本/新緑、花期、紅葉と一年を通して
楽しめる樹木。4〜5月頃にスズランに似た小
さな白い花が咲く/他に、赤色の花が咲く「ベ
ニバナドウダン」、白地に赤の縞模様の花が
咲く「更紗ドウダン」もある。
■プロテア〔ビーナス〕 ヤマモガシ科/原
産:南アフリカ/《名前の由来》ギリシャ神話
の海神プロテウスの名より。同属とは思えな
いほど変異種が多いことから、自由自在に変
身できるプロテウスにちなんで/圧倒的な存
在感をもつワイルドフラワー。「ビーナス」は赤
色品種。
■リュウカデンドロン〔サファリサンセット〕
ヤマモガシ科/原産:南アフリカ/花弁のよう
に見える部分は苞葉で、その中に花序があ
る。非常に花持ちが良く、ドライフラワーにも適
す。
■ホトトギス ユリ科/原産:日本・東アジ
ア〜インド/《名前の由来》花びらの斑点模様
が鳥のホトトギスに似ていることから/山野草
として人気があり、約20種あるうち10種が日
本原産。趣がある渋い花で茶花でも人気。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1901.jpg
【秘書室】
■リンドウ〔ファースト・ラブ〕 リンドウ科/多年草/原産:南アフリカ
/《名前の由来》根が薬になり、竜の胆のように苦いことから“竜胆”/
秋の代表花で、世界に約400種。“長寿の花”とも呼ばれ、敬老の日ギフ
トに人気。
■アマランサス ヒユ科/一年草/原産:熱帯アメリカ/アスチルベ
やケイトウに似た花姿。実や葉はとても栄養価が高い。
■LAユリ〔カプレット〕 ユリ科/球根植物/鉄砲百合とスカシユリの
掛け合わせ。スカシユリに似た花姿で花持ちが良い。「カプレット」はピン
ク色。
■ハラン〔旭ハラン〕 ユリ科/多年草/江戸時代から生け花の材料
として利用。「旭ハラン」は葉の先端に白い斑が入る。他に縦縞の斑が入
る「シマハラン」、点々の斑が入る「ホシハラン」もある。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1902.jpg
■リンドウ〔ファースト・ラブ〕 リンドウ科/多年草/原産:南アフリカ
/《名前の由来》根が薬になり、竜の胆のように苦いことから“竜胆”/
秋の代表花で、世界に約400種。“長寿の花”とも呼ばれ、敬老の日ギフ
トに人気。
■アマランサス ヒユ科/一年草/原産:熱帯アメリカ/アスチルベ
やケイトウに似た花姿。実や葉はとても栄養価が高い。
■LAユリ〔カプレット〕 ユリ科/球根植物/鉄砲百合とスカシユリの
掛け合わせ。スカシユリに似た花姿で花持ちが良い。「カプレット」はピン
ク色。
■ハラン〔旭ハラン〕 ユリ科/多年草/江戸時代から生け花の材料
として利用。「旭ハラン」は葉の先端に白い斑が入る。他に縦縞の斑が入
る「シマハラン」、点々の斑が入る「ホシハラン」もある。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/1902.jpg