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理事長室からの花だより
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理事長室からの花だより
vol.226 − 懼 (おそれる) −
立葵(タチアオイ)が、朝の通勤や移動での昂(たか)ぶる気持ちを穏やかなものにしてくれます。
梅雨空(つゆぞら)の雲間に沈みゆく夕陽は、満月のようです。
そこには、山端に掛かる月が持つ静(せい)と穏(おん)があります。
いつも慌ただしい東京駅、今や世界的に有名になった7分間で車内清掃してしまう「新幹線お掃除の天使たち」の制帽に、紫陽花(アジサイ)の造花が付けられており、時季を感じさせてくれます。
鉢植えの梔子(クチナシ)が、室内を香りで満たしてくれています。
最初に関心を持った木の花だったこともあり、季節になると目と鼻が梔子を探し求めてしまいます。
(vol.35 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=55)
(vol.85 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=111)
(vol.134 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=167)
(vol.181 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=215)
山梔子(クチナシ)や葉のくらやみに浮かび咲く
広江八重桜
梔子の白は、透明感のある満月の青白い光の下、葉の緑、葉陰の暗がりを背景にすると、一際(ひときわ)鮮やかです。
福島も梅雨(つゆ)に入りました。
フルーツ王国で、農業の盛んなこの地、農家の方々は、風評被害で自ら命を絶つ程の絶望の中にあっても、黙々と農作業に勤(いそ)しんでいます。
私自身は、雨が嫌いではありません。
(vol.49 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=74)
(vol.126 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=159)
(vol.169 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=203)
(vol.178 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=212)
それだけに、“梅雨はじめじめして鬱陶(うっとう)しい”、“雨の降らない素晴らしい天気”と、あっけらかんと語っているのを耳にすると、一瞬、僅かな切なさを覚えます。
田舎で育つと、雨が降らずに困っている人が居るのではと考えてしまいます。せめて、ためらいや懼(おそ)れを持って発すると、その言葉に優しさや思い遣りが籠もるのでは…。
梅雨に代表される“水”が、我が国を自然豊かな“瑞穂国(みずほのくに)”にしてくれているのです。
人は、普段、身近にあるものには関心や興味が沸かないものです。
水の作品である雨、霧、川の流れ、ときにはこれらの造形や音に目を向け、耳を傾けて欲しいものです。
雨垂れ、虹、瀬音など、自然が作り出す舞台は、古来から日本人の感性を紡ぎ出すのに深く関わっているに違いありません。和歌をみるとよく分かります。和歌は“自然と人間の対話”です。
関係者が全力で走っても追いつかない日々、眠れぬ耳元に、梅雨(つゆ)の到来と共に、遠くから蛙や鳥の鳴き声がかすかに聞こえてきます。それが、大地を叩く雨音と一緒になり、通奏低音のように聞こえてきます。その中に、金属を叩く雨垂れ、一瞬、自然の不思議に思いが跳(と)びます。
季節の巡りとともに、誰かに指示を受けたかのように、万物が動き出します。鳥は鳴き、花が咲きます。しかも、その時季時季で動き出す生物に変わりはありません。
この大地の理(ことわり)をみた古(いにしえ)の人々は、そこに「神」を感じたのではないでしょうか。
時間の経過は、人間には出会いと別れをもたらし、各々の“人生”を作ってくれます。
一方、自然にとっては時間の経過は巡る季節です。
人はいずれ土に還り、自然に溶け入って、季節の巡りに参加していきます。
今週の花材は、執務室は華麗、秘書室は慎ましさの一言です。このようにありたいものです。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
梅雨空(つゆぞら)の雲間に沈みゆく夕陽は、満月のようです。
そこには、山端に掛かる月が持つ静(せい)と穏(おん)があります。
いつも慌ただしい東京駅、今や世界的に有名になった7分間で車内清掃してしまう「新幹線お掃除の天使たち」の制帽に、紫陽花(アジサイ)の造花が付けられており、時季を感じさせてくれます。
鉢植えの梔子(クチナシ)が、室内を香りで満たしてくれています。
最初に関心を持った木の花だったこともあり、季節になると目と鼻が梔子を探し求めてしまいます。
(vol.35 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=55)
(vol.85 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=111)
(vol.134 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=167)
(vol.181 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=215)
山梔子(クチナシ)や葉のくらやみに浮かび咲く
広江八重桜
梔子の白は、透明感のある満月の青白い光の下、葉の緑、葉陰の暗がりを背景にすると、一際(ひときわ)鮮やかです。
福島も梅雨(つゆ)に入りました。
フルーツ王国で、農業の盛んなこの地、農家の方々は、風評被害で自ら命を絶つ程の絶望の中にあっても、黙々と農作業に勤(いそ)しんでいます。
私自身は、雨が嫌いではありません。
(vol.49 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=74)
(vol.126 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=159)
(vol.169 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=203)
(vol.178 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=212)
それだけに、“梅雨はじめじめして鬱陶(うっとう)しい”、“雨の降らない素晴らしい天気”と、あっけらかんと語っているのを耳にすると、一瞬、僅かな切なさを覚えます。
田舎で育つと、雨が降らずに困っている人が居るのではと考えてしまいます。せめて、ためらいや懼(おそ)れを持って発すると、その言葉に優しさや思い遣りが籠もるのでは…。
梅雨に代表される“水”が、我が国を自然豊かな“瑞穂国(みずほのくに)”にしてくれているのです。
人は、普段、身近にあるものには関心や興味が沸かないものです。
水の作品である雨、霧、川の流れ、ときにはこれらの造形や音に目を向け、耳を傾けて欲しいものです。
雨垂れ、虹、瀬音など、自然が作り出す舞台は、古来から日本人の感性を紡ぎ出すのに深く関わっているに違いありません。和歌をみるとよく分かります。和歌は“自然と人間の対話”です。
関係者が全力で走っても追いつかない日々、眠れぬ耳元に、梅雨(つゆ)の到来と共に、遠くから蛙や鳥の鳴き声がかすかに聞こえてきます。それが、大地を叩く雨音と一緒になり、通奏低音のように聞こえてきます。その中に、金属を叩く雨垂れ、一瞬、自然の不思議に思いが跳(と)びます。
季節の巡りとともに、誰かに指示を受けたかのように、万物が動き出します。鳥は鳴き、花が咲きます。しかも、その時季時季で動き出す生物に変わりはありません。
この大地の理(ことわり)をみた古(いにしえ)の人々は、そこに「神」を感じたのではないでしょうか。
時間の経過は、人間には出会いと別れをもたらし、各々の“人生”を作ってくれます。
一方、自然にとっては時間の経過は巡る季節です。
人はいずれ土に還り、自然に溶け入って、季節の巡りに参加していきます。
今週の花材は、執務室は華麗、秘書室は慎ましさの一言です。このようにありたいものです。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今週の花
【理事長室】
■ガマ〔姫ガマ〕 ガマ科/多年草/日本
全土の川辺や沼、池などの湿地に自生。草丈
は1.5〜2mになり、菖蒲の葉を大型にしたよ
うな線形。花粉を乾燥させたものが生薬で蒲
黄(ほおう)。
■グロリオサ〔ロスチャイルディアナ〕 ユリ
科/球根植物/花弁が反り返り、赤く燃える
炎のような独特な花姿。半蔓性で支柱や他の
植物に絡まって成長する。葉は他に絡むため
に先端が巻きヒゲになる。
■ゴッドセフィアーナ〔フロリダビューティ〕
リュウゼツラン科/常緑低木/卵形の葉に入
る黄白色の斑が特徴。日本で流通するグリー
ンの代表、ドラセナの仲間。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2261.jpg
■ガマ〔姫ガマ〕 ガマ科/多年草/日本
全土の川辺や沼、池などの湿地に自生。草丈
は1.5〜2mになり、菖蒲の葉を大型にしたよ
うな線形。花粉を乾燥させたものが生薬で蒲
黄(ほおう)。
■グロリオサ〔ロスチャイルディアナ〕 ユリ
科/球根植物/花弁が反り返り、赤く燃える
炎のような独特な花姿。半蔓性で支柱や他の
植物に絡まって成長する。葉は他に絡むため
に先端が巻きヒゲになる。
■ゴッドセフィアーナ〔フロリダビューティ〕
リュウゼツラン科/常緑低木/卵形の葉に入
る黄白色の斑が特徴。日本で流通するグリー
ンの代表、ドラセナの仲間。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2261.jpg
【秘書室】
■ヘルコニア〔アンドロメダ〕 バショウ科/多年草/原産:熱帯
アメリカ/バナナに似た葉で、赤やオレンジなどの原色と鳥の嘴を
思わせる花型が特徴。立ち性と下垂性があり、50cm程から7mを
超える大型品種まである。「アンドロメダ」は小型品種。
■ジンジャー〔レッドジンジャー〕 ショウガ科/原産:ソロモン諸
島/花のような鮮やかな赤い部分は苞。花期は6〜10月で苞の
間から白い花が咲く。
■オンシジュウム〔ハニーエンジェル) ラン科/原産:中南米/
約400種が熱帯亜熱帯地域に分布。無数の蝶が舞い飛ぶような
花姿で、「バタフライオーキッド」とも呼ばれる。「ハニーエンジェル」
は従来品種にある斑点がない綺麗な花色。
■アンスリュウム サトイモ科/常緑多年草/原産:熱帯アメリ
カ/光沢があり造花と見間違うような花。花弁のように見える部分
は苞で、棒状の部分が花。
■タニワタリ チャセンシダ科/常緑シダ植物/原産:日本〜台
湾/樹林に自生し、樹上や岩上に着生するシダ植物。光沢のある
鮮やかな緑色で、波打つ大きな葉が特徴。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2262.jpg
■ヘルコニア〔アンドロメダ〕 バショウ科/多年草/原産:熱帯
アメリカ/バナナに似た葉で、赤やオレンジなどの原色と鳥の嘴を
思わせる花型が特徴。立ち性と下垂性があり、50cm程から7mを
超える大型品種まである。「アンドロメダ」は小型品種。
■ジンジャー〔レッドジンジャー〕 ショウガ科/原産:ソロモン諸
島/花のような鮮やかな赤い部分は苞。花期は6〜10月で苞の
間から白い花が咲く。
■オンシジュウム〔ハニーエンジェル) ラン科/原産:中南米/
約400種が熱帯亜熱帯地域に分布。無数の蝶が舞い飛ぶような
花姿で、「バタフライオーキッド」とも呼ばれる。「ハニーエンジェル」
は従来品種にある斑点がない綺麗な花色。
■アンスリュウム サトイモ科/常緑多年草/原産:熱帯アメリ
カ/光沢があり造花と見間違うような花。花弁のように見える部分
は苞で、棒状の部分が花。
■タニワタリ チャセンシダ科/常緑シダ植物/原産:日本〜台
湾/樹林に自生し、樹上や岩上に着生するシダ植物。光沢のある
鮮やかな緑色で、波打つ大きな葉が特徴。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2262.jpg