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理事長室からの花だより
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理事長室からの花だより
vol.235 − 頼 (たのむ) −
長月、心静かに“命”を考える8月が終わり、再び日常に戻ります。
日差しには尚、暑さが残っていますが、日の出や入りに秋近しを実感します。
日中(ひなか)、雲一つない突き抜けるような青空、“秋は空”に得心がいきます。
深夜、明窓浄机(めいそうじょうき)、体調の如何に拘わらず、書物を通じて、時空を越えて対話する時間です。
さ夜ふくる窓の燈(ともしび)つくづくとかげもしづけし我もしづけし
光厳院
夜更け、心も外と同じように静寂に満ち、裡なる自分の声が外の静けさと向き合います。
作者のこの時の苦悩は、そんな単純なものではなかった筈ですが…。
日々、時が過ぎていくなかで、待つことがあるということは有り難いことです。
弟子、職員、関係者の、努力が報われたという報告や笑顔など…。
原発事故現場で収束作業にあたっている人々の心労と比べれば、弱音など吐けません。
只、原発事故後、目標とする到達点が視野に入ってこないなかでの苛酷な業務の継続は、勁(つよ)い心を以てしても至難の技です。当事者と第三者の間に事態の認識に対する差異が大きいときは、尚更です。
試験のように答が用意されていれば、こんな簡単なことはないのですが…。人生と同じです。
誰も経験したことのない本学の歴史的使命の遂行は、組織と職員、そして職員間に信頼関係がないと不可能です。職員が自らの判断で動き、それを信頼して組織が支援するというのが理想の有り様です。
私の立場に求められているのは、職員が働きやすい場をつくること、そして働き甲斐(生き甲斐)を見出せるようにすることです。人に勇気を与えてくれるのは、「共感」ですから。
前例のない惨禍に手探りで進んでいる職員を、督励(とくれい)しつつ、周囲の誤解や過剰な完璧さの要求からどう守っていくか、求められる役割は重く、悩む日々が続いています。
東日本大震災とそれに伴う原発事故は、多くの人の生活や生き方を変えてしまいました。それだけに、決して戻ることの出来ない遥か昔の日々、何気ない一コマ一コマが愛しく、残響のように胸に去来します。
生あれば 必ず死あり
早く終うるも 命(めい)の促(ちぢ)まれるに非(あら)ず
昨(きのう)の暮(くれ)は 同じく人たりしに
今(きょう)の旦(あさ)は 鬼録に在り
魂気(こんき) 散じて何(いず)くにか之(ゆ)く
・・・・
陶淵明
長短はあっても、命あれば必ず死があります。
昨日会っていた人が、今朝は幽明界(ゆうめいさかい)を異(こと)にします。だからこそ、与えられた束の間の一生、この困苦を天命と受け止め、各々に求められている使命を果たしていくしかありません。
(vol.41 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=66)
(vol.42 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=67)
「徒然草」の作者は、この詩を踏まえて前回(vol.234)に記した30段を著(あらわ)したのでしょうか。
共鳴する何かを感じます。
(vol.234 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=271)
恒例のチャリティーイベント「秘蔵の名品アートコレクション展」に足を運びました。
企画者の意図か、ユトリロ、藤田嗣治の白、ヴラマンク、佐伯祐三の黒、この対比が鮮烈です。
ユトリロ
(vol.62 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=88)
(vol.82 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=108)
(vol.186 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=221)
藤田嗣治
(vol.62 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=88)
(vol.86 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=112)
ヴラマンク
(vol.188 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=223)
佐伯祐三
(vol.49 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=74)
(vol.186 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=221)
ヴラマンクの陰鬱な空気とその背後にある凄絶な情念、何時見ても魅入ってしまいます。
初めて目にした藤田嗣治の「パリ風景」、家のない貧しい母子がベンチで眠っている姿は、普段、心の奥底に深く押し込めている何かを呼び覚(さ)ましてくれます。
今週の花材は、執務室は横に延びるしなやかさと色の艶やかさ、秘書室は可憐さを象徴しているようです。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
日差しには尚、暑さが残っていますが、日の出や入りに秋近しを実感します。
日中(ひなか)、雲一つない突き抜けるような青空、“秋は空”に得心がいきます。
深夜、明窓浄机(めいそうじょうき)、体調の如何に拘わらず、書物を通じて、時空を越えて対話する時間です。
さ夜ふくる窓の燈(ともしび)つくづくとかげもしづけし我もしづけし
光厳院
夜更け、心も外と同じように静寂に満ち、裡なる自分の声が外の静けさと向き合います。
作者のこの時の苦悩は、そんな単純なものではなかった筈ですが…。
日々、時が過ぎていくなかで、待つことがあるということは有り難いことです。
弟子、職員、関係者の、努力が報われたという報告や笑顔など…。
原発事故現場で収束作業にあたっている人々の心労と比べれば、弱音など吐けません。
只、原発事故後、目標とする到達点が視野に入ってこないなかでの苛酷な業務の継続は、勁(つよ)い心を以てしても至難の技です。当事者と第三者の間に事態の認識に対する差異が大きいときは、尚更です。
試験のように答が用意されていれば、こんな簡単なことはないのですが…。人生と同じです。
誰も経験したことのない本学の歴史的使命の遂行は、組織と職員、そして職員間に信頼関係がないと不可能です。職員が自らの判断で動き、それを信頼して組織が支援するというのが理想の有り様です。
私の立場に求められているのは、職員が働きやすい場をつくること、そして働き甲斐(生き甲斐)を見出せるようにすることです。人に勇気を与えてくれるのは、「共感」ですから。
前例のない惨禍に手探りで進んでいる職員を、督励(とくれい)しつつ、周囲の誤解や過剰な完璧さの要求からどう守っていくか、求められる役割は重く、悩む日々が続いています。
東日本大震災とそれに伴う原発事故は、多くの人の生活や生き方を変えてしまいました。それだけに、決して戻ることの出来ない遥か昔の日々、何気ない一コマ一コマが愛しく、残響のように胸に去来します。
生あれば 必ず死あり
早く終うるも 命(めい)の促(ちぢ)まれるに非(あら)ず
昨(きのう)の暮(くれ)は 同じく人たりしに
今(きょう)の旦(あさ)は 鬼録に在り
魂気(こんき) 散じて何(いず)くにか之(ゆ)く
・・・・
陶淵明
長短はあっても、命あれば必ず死があります。
昨日会っていた人が、今朝は幽明界(ゆうめいさかい)を異(こと)にします。だからこそ、与えられた束の間の一生、この困苦を天命と受け止め、各々に求められている使命を果たしていくしかありません。
(vol.41 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=66)
(vol.42 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=67)
「徒然草」の作者は、この詩を踏まえて前回(vol.234)に記した30段を著(あらわ)したのでしょうか。
共鳴する何かを感じます。
(vol.234 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=271)
恒例のチャリティーイベント「秘蔵の名品アートコレクション展」に足を運びました。
企画者の意図か、ユトリロ、藤田嗣治の白、ヴラマンク、佐伯祐三の黒、この対比が鮮烈です。
ユトリロ
(vol.62 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=88)
(vol.82 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=108)
(vol.186 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=221)
藤田嗣治
(vol.62 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=88)
(vol.86 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=112)
ヴラマンク
(vol.188 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=223)
佐伯祐三
(vol.49 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=74)
(vol.186 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=221)
ヴラマンクの陰鬱な空気とその背後にある凄絶な情念、何時見ても魅入ってしまいます。
初めて目にした藤田嗣治の「パリ風景」、家のない貧しい母子がベンチで眠っている姿は、普段、心の奥底に深く押し込めている何かを呼び覚(さ)ましてくれます。
今週の花材は、執務室は横に延びるしなやかさと色の艶やかさ、秘書室は可憐さを象徴しているようです。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今週の花
【理事長室】
■ノバラ バラ科/落葉低木/花期は5〜
7月で、2cm程の小さな白い花が咲く。花後の
青実の状態を使用。秋になるにつれ実は赤く
色付く。
■ピンクッション〔サクセション〕 ヤマモガ
シ科/常緑低木/針山に待ち針を刺したよう
なユーモラスな花。待ち針のような部分が雄し
べ。
■アンスリュウム〔カリスト〕 サトイモ科/
常緑多年草/光沢があり造花と見間違うよう
な花。うちわのような花弁に見える部分は苞
で、棒状の部分が花。
■ケイトウ ヒユ科/一年草/《名前の由
来》花序が鶏の鶏冠に似ていることから“鶏
頭”。
オレンジ−「久留米ケイトウ」
赤―「ボンベイケイトウ」
■ユーカリ〔グニー〕 フトモモ科/常緑高
木/原産地・オーストラリアを中心に約600種
分布。コアラが食べる木として有名。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2351.jpg
■ノバラ バラ科/落葉低木/花期は5〜
7月で、2cm程の小さな白い花が咲く。花後の
青実の状態を使用。秋になるにつれ実は赤く
色付く。
■ピンクッション〔サクセション〕 ヤマモガ
シ科/常緑低木/針山に待ち針を刺したよう
なユーモラスな花。待ち針のような部分が雄し
べ。
■アンスリュウム〔カリスト〕 サトイモ科/
常緑多年草/光沢があり造花と見間違うよう
な花。うちわのような花弁に見える部分は苞
で、棒状の部分が花。
■ケイトウ ヒユ科/一年草/《名前の由
来》花序が鶏の鶏冠に似ていることから“鶏
頭”。
オレンジ−「久留米ケイトウ」
赤―「ボンベイケイトウ」
■ユーカリ〔グニー〕 フトモモ科/常緑高
木/原産地・オーストラリアを中心に約600種
分布。コアラが食べる木として有名。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2351.jpg
【秘書室】
■雪柳〔塗り雪柳〕 バラ/落葉低木/春に小さな白い花を枝
いっぱいに咲かせる。庭木としてもよく利用され、人気の樹木。今
回は紅葉したかのように赤く染めたものを使用。
■風船唐綿(フウセントウワタ) ガガイモ科/花期は夏で小さ
な白い花が咲く。トゲトゲした紙風船のような実を鑑賞。晩秋に実
が熟すと割れて種子があらわれる。
■クルクマ〔シャローム〕 ショウガ科/球根植物/幾重にも重
なり花弁のように見える部分は苞で、その間に紫色の花が咲く。
水中花としても楽しめる花。
■孔雀草〔カイロ〕 キク科/多年草/《名前の由来》分岐した
枝先に花を咲かせる姿が孔雀の羽に似ることから/「カイロ」は紫
色の八重スパイダー咲き。
■スターチス〔キノシフォン〕 イソマツ科/多年草/シネンシ
ス系のハイブリッドスターチス品種。ドライフラワーに適し、綺麗に
花色が残る。「キノシフォン」はピンクで、他に「キノピンキー」「キノ
ブラン」「キノラパン」等もある。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2352.jpg
■雪柳〔塗り雪柳〕 バラ/落葉低木/春に小さな白い花を枝
いっぱいに咲かせる。庭木としてもよく利用され、人気の樹木。今
回は紅葉したかのように赤く染めたものを使用。
■風船唐綿(フウセントウワタ) ガガイモ科/花期は夏で小さ
な白い花が咲く。トゲトゲした紙風船のような実を鑑賞。晩秋に実
が熟すと割れて種子があらわれる。
■クルクマ〔シャローム〕 ショウガ科/球根植物/幾重にも重
なり花弁のように見える部分は苞で、その間に紫色の花が咲く。
水中花としても楽しめる花。
■孔雀草〔カイロ〕 キク科/多年草/《名前の由来》分岐した
枝先に花を咲かせる姿が孔雀の羽に似ることから/「カイロ」は紫
色の八重スパイダー咲き。
■スターチス〔キノシフォン〕 イソマツ科/多年草/シネンシ
ス系のハイブリッドスターチス品種。ドライフラワーに適し、綺麗に
花色が残る。「キノシフォン」はピンクで、他に「キノピンキー」「キノ
ブラン」「キノラパン」等もある。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2352.jpg