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理事長室からの花だより
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理事長室からの花だより
vol.246 - 記 (しるす) -
日毎に大地の彩りが乏しくなり、万物が皆、土に還っていきます。
寂寥感とともに、生きるとは、生命とは何かを、自然の理(ことわり)が教えてくれているようです。
秋が短く、暑いと騒いでいるうちに冬が間近です。
秋や春の季節感が失われて、夏から冬、冬から夏への移行という極端な季節の移ろいは、“風流”という我が国特有の美意識を奪ってしまいます。
我が身を振り返れば、身近にみる紅葉や時雨(しぐれ)に、辛うじて晩秋の風流を感じ取ることができました。
いにしへを思へば夢か現(うつつ)かも
夜はしぐれの雨を聞きつつ
良寬
過ぎ去った日々に思いを馳せ、外には夜の時雨が作り出している雨音、これぞ我が国の風流の心ではないでしょうか。
時雨は、山の頂に雪を、空には風を、もたらします。
侘びしくも厳しい自然の佇まい、ありのままを受け入れ、勁(つよ)く生きよと諭(さと)されているようです。
構内の中庭では、木枯らしが舞い、枯葉を巻き上げています。
路上では、吹き寄せられた枯葉が、独楽(こま)のように舞っています。
風の音、枯葉が動き廻っている音、箒(ほうき)で掃く音、一体となって奏(かな)でられる旋律は、一時、人を詩人にしてくれます。
この時季、英国では多くの人々が、ポピーの造花を胸につけています。
昔の話です。初めて英国を訪れたのがたまたま、この時期でした。
第一次世界大戦の終結を記念したremembrance day(英霊記念日)の象徴とのことでした。
英国にとっては、第一次大戦の戦死者が第二次大戦のそれより多かったこと、激戦地の野に、戦いの後、ポピーの花が一面に咲き乱れていたことを知りました。
この第一次世界大戦は、歴史上初めて、多くの国が関わった、国民を巻き込んでの国家の総力戦でした。
誰もが想像してなかった消耗戦であった事が、戦勝国にさえ、人々に曾(かつ)てない程の衝撃と痛みを与えました。それが、今尚、続いているのです。
「歴史とは現代と過去との対話」(E・H・カー)(vol.210、222)に習えば、戦争に正義とか善悪を求めるのは不毛です。
(vol.210 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=247)
(vol.222 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=259)
正義という言葉は、我々には余りに峻烈(しゅんれつ)で、凡夫が扱うには手に余ります。
“善悪”を突き詰めると“禅問答”になってしまいます。
歴史から何かを学ぶ時には、同時代の良質な資料にあたって著された本を探し、そのうえで、時代背景を考えて読む必要がありそうです。
“同時代の一次資料”と書いて思い出しました。
本学は、原発事故に対する本学の緊急時の対応を「FUKUSHIMAいのちの最前線-東日本大震災の活動記録集」、英語版「Fukushima: Lives on the Line」に記録としてまとめました。
(日本語 http://www.fmu.ac.jp/univ/chiiki/dbook.html)
(英語 http://www.fmu.ac.jp/univ/en/about/e_dbook.html)
その際、解釈は後世の人がするから、「事実」を正確に、と職員にお願いしました。
その後、復興の足取りも正確に記録に残そうと思い立ちました。
この作業を始めたのは、この記録集を読み、最近、インタビューを受けて愕然とした経験からです。まだ3年も経っていないのに、記憶はもう朧気(おぼろげ)なのです。
「記録する」、その事自体が、既にバイアス(偏り)です。また、「人間は、所詮曖昧な偽善の上に立って生きている」(vol.56、165、217)という事を考えると、「歴史から学ぶ」ことは、そう簡単ではありません。
(vol.56 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=82)
(vol.165 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=199)
(vol.217 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=254)
11月22日(1963、昭和38年)ケネディ大統領が暗殺されました。奇しくも、米国でもっとも人気のあるリンカーン(vol.101、170)とケネディという大統領に関わりある出来事が、この週に起きています。
(vol.101 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=129)
(vol.170 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=204)
今週の花材は、緑という万物の象徴を背景に、白、紅、紫が華やぎを添えています。
自分もこのような佇まいになりたいものです。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
寂寥感とともに、生きるとは、生命とは何かを、自然の理(ことわり)が教えてくれているようです。
秋が短く、暑いと騒いでいるうちに冬が間近です。
秋や春の季節感が失われて、夏から冬、冬から夏への移行という極端な季節の移ろいは、“風流”という我が国特有の美意識を奪ってしまいます。
我が身を振り返れば、身近にみる紅葉や時雨(しぐれ)に、辛うじて晩秋の風流を感じ取ることができました。
いにしへを思へば夢か現(うつつ)かも
夜はしぐれの雨を聞きつつ
良寬
過ぎ去った日々に思いを馳せ、外には夜の時雨が作り出している雨音、これぞ我が国の風流の心ではないでしょうか。
時雨は、山の頂に雪を、空には風を、もたらします。
侘びしくも厳しい自然の佇まい、ありのままを受け入れ、勁(つよ)く生きよと諭(さと)されているようです。
構内の中庭では、木枯らしが舞い、枯葉を巻き上げています。
路上では、吹き寄せられた枯葉が、独楽(こま)のように舞っています。
風の音、枯葉が動き廻っている音、箒(ほうき)で掃く音、一体となって奏(かな)でられる旋律は、一時、人を詩人にしてくれます。
この時季、英国では多くの人々が、ポピーの造花を胸につけています。
昔の話です。初めて英国を訪れたのがたまたま、この時期でした。
第一次世界大戦の終結を記念したremembrance day(英霊記念日)の象徴とのことでした。
英国にとっては、第一次大戦の戦死者が第二次大戦のそれより多かったこと、激戦地の野に、戦いの後、ポピーの花が一面に咲き乱れていたことを知りました。
この第一次世界大戦は、歴史上初めて、多くの国が関わった、国民を巻き込んでの国家の総力戦でした。
誰もが想像してなかった消耗戦であった事が、戦勝国にさえ、人々に曾(かつ)てない程の衝撃と痛みを与えました。それが、今尚、続いているのです。
「歴史とは現代と過去との対話」(E・H・カー)(vol.210、222)に習えば、戦争に正義とか善悪を求めるのは不毛です。
(vol.210 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=247)
(vol.222 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=259)
正義という言葉は、我々には余りに峻烈(しゅんれつ)で、凡夫が扱うには手に余ります。
“善悪”を突き詰めると“禅問答”になってしまいます。
歴史から何かを学ぶ時には、同時代の良質な資料にあたって著された本を探し、そのうえで、時代背景を考えて読む必要がありそうです。
“同時代の一次資料”と書いて思い出しました。
本学は、原発事故に対する本学の緊急時の対応を「FUKUSHIMAいのちの最前線-東日本大震災の活動記録集」、英語版「Fukushima: Lives on the Line」に記録としてまとめました。
(日本語 http://www.fmu.ac.jp/univ/chiiki/dbook.html)
(英語 http://www.fmu.ac.jp/univ/en/about/e_dbook.html)
その際、解釈は後世の人がするから、「事実」を正確に、と職員にお願いしました。
その後、復興の足取りも正確に記録に残そうと思い立ちました。
この作業を始めたのは、この記録集を読み、最近、インタビューを受けて愕然とした経験からです。まだ3年も経っていないのに、記憶はもう朧気(おぼろげ)なのです。
「記録する」、その事自体が、既にバイアス(偏り)です。また、「人間は、所詮曖昧な偽善の上に立って生きている」(vol.56、165、217)という事を考えると、「歴史から学ぶ」ことは、そう簡単ではありません。
(vol.56 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=82)
(vol.165 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=199)
(vol.217 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=254)
11月22日(1963、昭和38年)ケネディ大統領が暗殺されました。奇しくも、米国でもっとも人気のあるリンカーン(vol.101、170)とケネディという大統領に関わりある出来事が、この週に起きています。
(vol.101 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=129)
(vol.170 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=204)
今週の花材は、緑という万物の象徴を背景に、白、紅、紫が華やぎを添えています。
自分もこのような佇まいになりたいものです。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今週の花


【理事長室】
■バンダ〔インクブルー〕 ラン科/樹木や
岩肌に根を張りつかせて育つ着生種。洋ラン
の中でも特異なブルー系の美しい花色。網目
模様の入る花弁が特徴。
■エリンジュウム〔スーパーノバ〕 セリ科
/多年草/長く鋭い苞と松かさの様な花が特
徴。成長とともに青みを帯びる。非常に花持ち
がよく、ドライフラワーにも適す。
■シンフォリカルポス スイカズラ科/落葉
低木/《名前の由来》ギリシャ語の“symphor
ein”(ともに生ずる)、“karpos”(果実)より。
果実が房状になっていることから/花期は7
~9月で、秋に真珠のような実をつける。
■カーネーション〔アンティグア〕 ナデシコ
科/多年草/母の日の花として古くから親し
まれる。バラ・菊に並び世界的に生産量の多
い花。「アンティグア」はクラシカルな複色。
■ユーカリ〔ポポラス〕 フトモモ科/常緑
高木/オーストラリアを中心に約600種が分
布。「ポポラス」は丸く大きな葉が特徴。
■コニファー〔ブルーアイス〕 ヒノキ科/常
緑低高木/庭木として人気のコニファーの一
種でブルー系の品種。クリスマスリース等の
材料にも利用される。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2461.jpg
■バンダ〔インクブルー〕 ラン科/樹木や
岩肌に根を張りつかせて育つ着生種。洋ラン
の中でも特異なブルー系の美しい花色。網目
模様の入る花弁が特徴。
■エリンジュウム〔スーパーノバ〕 セリ科
/多年草/長く鋭い苞と松かさの様な花が特
徴。成長とともに青みを帯びる。非常に花持ち
がよく、ドライフラワーにも適す。
■シンフォリカルポス スイカズラ科/落葉
低木/《名前の由来》ギリシャ語の“symphor
ein”(ともに生ずる)、“karpos”(果実)より。
果実が房状になっていることから/花期は7
~9月で、秋に真珠のような実をつける。
■カーネーション〔アンティグア〕 ナデシコ
科/多年草/母の日の花として古くから親し
まれる。バラ・菊に並び世界的に生産量の多
い花。「アンティグア」はクラシカルな複色。
■ユーカリ〔ポポラス〕 フトモモ科/常緑
高木/オーストラリアを中心に約600種が分
布。「ポポラス」は丸く大きな葉が特徴。
■コニファー〔ブルーアイス〕 ヒノキ科/常
緑低高木/庭木として人気のコニファーの一
種でブルー系の品種。クリスマスリース等の
材料にも利用される。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2461.jpg


【秘書室】
■カラー〔クリスタルブラッシュ〕 サトイモ科/球根植
物/花のように見えるメガホン状の部分は苞で、その中
の棒状の部分が花。
「クリスタルブッシュ」は茎が細く小ぶりなミニカラー。
■ピンポン菊〔シローネ〕 キク科/多年草/真ん丸に
咲く可愛い菊で、仏事祝事問わず利用できる。
「シローネ」は明るい緑色。
■アンスリュウム〔バタフライ〕 サトイモ科/常緑多年
草/ロウ細工で出来ているような造花と見間違えそうな
南国の花。花弁のように見える部分は苞で、棒状の部分
が花。「バタフライ」は白グリーンのバイカラー。
■サンパラソル キョウチクトウ科/多年草/花期は5
~10月頃で、8cm程の星形の花を次々と咲かせる。
生育旺盛な蔓性で、今回は葉のみ使用。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2462.jpg
■カラー〔クリスタルブラッシュ〕 サトイモ科/球根植
物/花のように見えるメガホン状の部分は苞で、その中
の棒状の部分が花。
「クリスタルブッシュ」は茎が細く小ぶりなミニカラー。
■ピンポン菊〔シローネ〕 キク科/多年草/真ん丸に
咲く可愛い菊で、仏事祝事問わず利用できる。
「シローネ」は明るい緑色。
■アンスリュウム〔バタフライ〕 サトイモ科/常緑多年
草/ロウ細工で出来ているような造花と見間違えそうな
南国の花。花弁のように見える部分は苞で、棒状の部分
が花。「バタフライ」は白グリーンのバイカラー。
■サンパラソル キョウチクトウ科/多年草/花期は5
~10月頃で、8cm程の星形の花を次々と咲かせる。
生育旺盛な蔓性で、今回は葉のみ使用。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2462.jpg