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理事長室からの花だより
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理事長室からの花だより
vol.248 − 承 (うける) −
山茶花(サザンカ)の花弁(はなびら)、敷石や生垣に散り敷かれています。広大な屋敷塀を覆(おお)っている蔦(ツタ)の紅葉も終幕を迎えています。
毎年繰り返される風景です。「変わらない」とは、有り難いものです。
出勤時、車が前照灯を点けています。冬です。
師走、「四季果つ(しきはつ)」、喪中の葉書が届きます。
身近でも多くの死がありました。その度に、亡き人との交流に思いを馳せ、自らの命の限りを意識します。
柩に花びらを撒かう。
花びらを砂の蓋でかくさう。
蓋に泪の針を打たう。
丸山薫
散策で、黄色い蝶(チョウ)が舞っているのを目にしました。
「冬の蝶」です。小春日和とはいえ、寒風の中、痛々しくも、少し切なく感じました。
他人の背中は見えますが、自分の後ろ姿を自分でみることはできません。
自分の姿を後ろからみる視点が身に付いた時、人生は冬に入ります。
子供の時分、町の警察署にある道場で父と励んだ柔道の稽古、暫し正座して、礼で始まり礼で終わっていました。
この柔道でさえ、試合で勝ったときの日本の選手の雄叫び、いわゆるガッツポーズ(正しくは何と表現するのか…)は、正直、“稽古”を経験している人間からみると、違和感があります。
柔道は、今や世界のスポーツです。事実、柔道の競技人口は、日本がトップではありません。“ジュードウ”だからそれで良いのだと言いますが…。本当でしょうか…。
観る側にも違和感がある人が居るのでは…。
東京オリンピックでの決勝戦、テレビでみた、勝者がみせた振る舞いが記憶として残っています。勝ったヘーシンクが、畳に上がってこようとしたコーチを押し止めたのです。
「時代が変わった」、あるいはスポーツだから、と片付けて良いものなのか…。何を変え、護(まも)っていくか一人一人が問われています。
今、個人はもとより、組織も“節度”が問われているような気がします。
さり気ない思い遣り、慎み深さなど、日本の文化の基底にあるものまで蔑(ないがし)ろにしていいのでしょうか。
「人生の真実は敗戦ロッカーにある」、この言葉は、勝負の明暗を人生に敷衍(ふえん)しています。
ここには、試合の後の敗者への労(いたわ)りもあります。
同じ流れで考えなくてはならないことに、「個性」があります。「個性は出すものではなく、出るもの」です。
(vol.233 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=270)
「徹底して先達を真似て自らを磨き、その果てに個性が出る」。
自分を剥き出しにする事が個性ではありません。“理想の鋳型”に自分を押し込むようにしてプロとしての自己を作っても、個性は醸し出されるものです。
修業は、先輩や師匠の徹底した模倣から始まります。技術革新から工夫が生まれ、学びの内容も変わってきます。しかし、“良き学び方”は、世代を越えても、変わりません。
小学生の時、学校からの帰り道、道路脇の堀から10円玉を拾いました。
警察署に届けました。玄関で、お巡りさん(今考えると私服でしたから刑事さんでしょうか)が、自分のポケットから10円を出して、「有り難う」と渡してくれました。今でも鮮明に覚えています。
時が経てば、人間(ヒト)は変わります。それと共に仕来(しきた)りや慣習も変わります。そこでは、人間(ヒト)は何かを捨て、代わりに何かを得て歩んで行きます。
そんな中で、捨ててはいけない、変えてはいけない何かがある筈です。
12月5日(1791、寛政3年)、モーツァルトが亡くなっています。享年35歳の生涯です。
今週の花材は、執務室は小春日和を連想させます。以前訪問した熊本のみかん畑を思い出しました。
(vol.151 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=184)
秘書室は、紫と花器の黒がみる者に高雅な感じを与えてくれます。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
毎年繰り返される風景です。「変わらない」とは、有り難いものです。
出勤時、車が前照灯を点けています。冬です。
師走、「四季果つ(しきはつ)」、喪中の葉書が届きます。
身近でも多くの死がありました。その度に、亡き人との交流に思いを馳せ、自らの命の限りを意識します。
柩に花びらを撒かう。
花びらを砂の蓋でかくさう。
蓋に泪の針を打たう。
丸山薫
散策で、黄色い蝶(チョウ)が舞っているのを目にしました。
「冬の蝶」です。小春日和とはいえ、寒風の中、痛々しくも、少し切なく感じました。
他人の背中は見えますが、自分の後ろ姿を自分でみることはできません。
自分の姿を後ろからみる視点が身に付いた時、人生は冬に入ります。
子供の時分、町の警察署にある道場で父と励んだ柔道の稽古、暫し正座して、礼で始まり礼で終わっていました。
この柔道でさえ、試合で勝ったときの日本の選手の雄叫び、いわゆるガッツポーズ(正しくは何と表現するのか…)は、正直、“稽古”を経験している人間からみると、違和感があります。
柔道は、今や世界のスポーツです。事実、柔道の競技人口は、日本がトップではありません。“ジュードウ”だからそれで良いのだと言いますが…。本当でしょうか…。
観る側にも違和感がある人が居るのでは…。
東京オリンピックでの決勝戦、テレビでみた、勝者がみせた振る舞いが記憶として残っています。勝ったヘーシンクが、畳に上がってこようとしたコーチを押し止めたのです。
「時代が変わった」、あるいはスポーツだから、と片付けて良いものなのか…。何を変え、護(まも)っていくか一人一人が問われています。
今、個人はもとより、組織も“節度”が問われているような気がします。
さり気ない思い遣り、慎み深さなど、日本の文化の基底にあるものまで蔑(ないがし)ろにしていいのでしょうか。
「人生の真実は敗戦ロッカーにある」、この言葉は、勝負の明暗を人生に敷衍(ふえん)しています。
ここには、試合の後の敗者への労(いたわ)りもあります。
同じ流れで考えなくてはならないことに、「個性」があります。「個性は出すものではなく、出るもの」です。
(vol.233 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=270)
「徹底して先達を真似て自らを磨き、その果てに個性が出る」。
自分を剥き出しにする事が個性ではありません。“理想の鋳型”に自分を押し込むようにしてプロとしての自己を作っても、個性は醸し出されるものです。
修業は、先輩や師匠の徹底した模倣から始まります。技術革新から工夫が生まれ、学びの内容も変わってきます。しかし、“良き学び方”は、世代を越えても、変わりません。
小学生の時、学校からの帰り道、道路脇の堀から10円玉を拾いました。
警察署に届けました。玄関で、お巡りさん(今考えると私服でしたから刑事さんでしょうか)が、自分のポケットから10円を出して、「有り難う」と渡してくれました。今でも鮮明に覚えています。
時が経てば、人間(ヒト)は変わります。それと共に仕来(しきた)りや慣習も変わります。そこでは、人間(ヒト)は何かを捨て、代わりに何かを得て歩んで行きます。
そんな中で、捨ててはいけない、変えてはいけない何かがある筈です。
12月5日(1791、寛政3年)、モーツァルトが亡くなっています。享年35歳の生涯です。
今週の花材は、執務室は小春日和を連想させます。以前訪問した熊本のみかん畑を思い出しました。
(vol.151 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=184)
秘書室は、紫と花器の黒がみる者に高雅な感じを与えてくれます。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今週の花
【理事長室】
■みかん〔福ミカン〕 ミカン科/常緑低木
/冬の代表的な果実。花期は5〜6月頃、10
〜11月頃に果実が橙色に熟す。もっともポピ
ュラーなものは「温州(ウンシュウ) ミカン」。
「福ミカン」は可愛らしい小ぶりな品種。
■ピンクッション〔サクセション〕 ヤマモガ
シ科/常緑低木/針山に待ち針を刺したよう
な独特の花姿。待ち針のような部分の一つ
一つが雄しべ。「サクセション」はオレンジ色。
■ピンポン菊 キク科/多年草/ピンポン
玉のように真ん丸に咲く可愛い菊。花持ちの
良い菊の中でも特に長く楽しめる。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2481.jpg
■みかん〔福ミカン〕 ミカン科/常緑低木
/冬の代表的な果実。花期は5〜6月頃、10
〜11月頃に果実が橙色に熟す。もっともポピ
ュラーなものは「温州(ウンシュウ) ミカン」。
「福ミカン」は可愛らしい小ぶりな品種。
■ピンクッション〔サクセション〕 ヤマモガ
シ科/常緑低木/針山に待ち針を刺したよう
な独特の花姿。待ち針のような部分の一つ
一つが雄しべ。「サクセション」はオレンジ色。
■ピンポン菊 キク科/多年草/ピンポン
玉のように真ん丸に咲く可愛い菊。花持ちの
良い菊の中でも特に長く楽しめる。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2481.jpg
【秘書室】
■バンダ ラン科/樹木や岩肌に根を張りつかせて
育つ着生。洋ランの中でも特異なブルー系の美しい花
色。10cm程の大きな丸弁の花で、花弁に網目模様が
入る。花色は青系を中心にピンクや黄色、白もある。
■アランダ〔チャクワンファーム〕 ラン科/アラクニス
とバンダを交配した人工種。熱帯原産のバンダ同様、暑
さに強く花持ちも良い。花径は5〜7cm程で、花弁に斑
点が入る。「チャクワンファーム」はピンク色。
■ピンポン菊 (理事長室と同花材)
■ドラセナ〔コーディラインレッド〕 リュウゼツラン科/
常緑低木/日本で流通する観葉植物の代表種。切り花
でも非常に長く楽しめる丈夫なグリーン。「コーディライン
レッド」は赤葉。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2482.jpg
■バンダ ラン科/樹木や岩肌に根を張りつかせて
育つ着生。洋ランの中でも特異なブルー系の美しい花
色。10cm程の大きな丸弁の花で、花弁に網目模様が
入る。花色は青系を中心にピンクや黄色、白もある。
■アランダ〔チャクワンファーム〕 ラン科/アラクニス
とバンダを交配した人工種。熱帯原産のバンダ同様、暑
さに強く花持ちも良い。花径は5〜7cm程で、花弁に斑
点が入る。「チャクワンファーム」はピンク色。
■ピンポン菊 (理事長室と同花材)
■ドラセナ〔コーディラインレッド〕 リュウゼツラン科/
常緑低木/日本で流通する観葉植物の代表種。切り花
でも非常に長く楽しめる丈夫なグリーン。「コーディライン
レッド」は赤葉。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2482.jpg