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理事長室からの花だより
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理事長室からの花だより
vol.258 − 被 (こうむる) −
列車の窓からの満月、車窓に寄り添うように、上空低く、闇の中に輝いています。
観る側の心象なのか、月も大雪に心痛めているのか、小さく、輝きも少ないように感じます。
信夫の里、2001年(平成13年)以来、観測史上4番目という2度にわたる週末の大雪襲来です。
この豪雪で、大学構内は除雪しても雪の置き場所がなく、交通渋滞です。大学に赴任して今まで経験したことがありません。
夜半、雪が音を吸い込み、静寂が周りを覆っています。文机を前に端座していると、落ち着きの悪かった心も静まります。
音絶えしこの音が雪降る音か
有働 亨
しんしんと降る雪の静けさを見事に表現しています。
家屋の熱で庇(ひさし)からの雨だれが規則的に地面を打ち、静寂をより際立たせています。
雪が身近な存在である人間にとっては、日々被(かぶ)っている世俗の垢(あか)を流し去り、心身を浄化してくれるかのように感じます。
東京も大雪に見舞われました。
1969年(昭和44年)以来と報じられています。受験生にとっては気の毒な日となってしまいました。
仕事に出掛ける前、降りしきる雪と風の中、都心部を歩き巡りました。
官庁街やオフィス街の道路は、真っ白です。「僕の前に道はない、僕の後に道は出来る」(高村光太郎)の世界でした。雪を踏みしめる際のキュッキュッという音と感触、久し振りです。
歩いてみて、東京は雪が降ることを前提にした都市構造になっていないことを、改めて感じました。
都心の病院で働いていた時、記録的な大雪(昭和59年)で、転倒で骨折する人の多さに驚いたことを憶えています。
歩道にある黄色い点字ブロック、地下鉄の通気口や鉄製のマンホール、滑ります。急な坂、勾配のきつい陸橋、高齢社会の急激な進行を考えると対策が必要です。
この大雪、思わぬ人間模様をみせてくれます。
初めて雪をみたに違いない海外からの観光客が、弾けるような笑顔で雪を楽しんでいます。
道傍(どうぼう)では若い女性が屈(かが)んで、無心に雪玉を作っています。
交差点や駅頭では、「この程度の雪で、東京も情け無い」と妙に嬉しそうに話している若者連れ、
飛行機が飛ばないから、どうしても札幌に帰り着かないと勤務に間に合わないと新幹線に飛び乗る人、
駅弁が交通渋滞と客の多さで底を突き、店員さんに食ってかかる人、
平身低頭して謝っている店員さんも居れば、傲岸(ごうがん)と表現したくなるようなエライ態度の店員さん、
様々な人間の姿が情感豊かに眼前に展開されます。
これらの人間模様を横目でみたり聞いたりして、「これが過ぎたら何か良い事があるよ」と心の裡(うち)で声を掛けている自分が居ます。
2月16日、今の3月下旬(1190、建久元年)、自然を愛し、漂泊に生きた詩人である西行が亡くなりました。
享年73の生涯です。“自由”とは何かを考えさせてくれます。
このところの週末、立て続けての大雪、雪には慣れている筈の信夫の里も、近年の暖冬もあってか完全に機能停止です。出勤も、どうにか運転手さんの機転で大学に辿り着く有り様です。
“西高東低、南岸低気圧は関東の雪”と中学時代に覚えましたが、近年の冬はやはり異常です。
我々に警告している自然、知っていながら変えられない人類、文明史家の警告が現実味を帯びています。
2月21日(1894、明治27年)、印象派で広く知らしめることに尽力した画家、カイユボット(vol.243)が亡くなっています。享年45です。透明感溢れる画風は、画面から爽やかな風が流れてくるようです。
(vol.243 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=280)
今週の花材は、執務室、秘書室とも一足先に春の到来です。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
観る側の心象なのか、月も大雪に心痛めているのか、小さく、輝きも少ないように感じます。
信夫の里、2001年(平成13年)以来、観測史上4番目という2度にわたる週末の大雪襲来です。
この豪雪で、大学構内は除雪しても雪の置き場所がなく、交通渋滞です。大学に赴任して今まで経験したことがありません。
夜半、雪が音を吸い込み、静寂が周りを覆っています。文机を前に端座していると、落ち着きの悪かった心も静まります。
音絶えしこの音が雪降る音か
有働 亨
しんしんと降る雪の静けさを見事に表現しています。
家屋の熱で庇(ひさし)からの雨だれが規則的に地面を打ち、静寂をより際立たせています。
雪が身近な存在である人間にとっては、日々被(かぶ)っている世俗の垢(あか)を流し去り、心身を浄化してくれるかのように感じます。
東京も大雪に見舞われました。
1969年(昭和44年)以来と報じられています。受験生にとっては気の毒な日となってしまいました。
仕事に出掛ける前、降りしきる雪と風の中、都心部を歩き巡りました。
官庁街やオフィス街の道路は、真っ白です。「僕の前に道はない、僕の後に道は出来る」(高村光太郎)の世界でした。雪を踏みしめる際のキュッキュッという音と感触、久し振りです。
歩いてみて、東京は雪が降ることを前提にした都市構造になっていないことを、改めて感じました。
都心の病院で働いていた時、記録的な大雪(昭和59年)で、転倒で骨折する人の多さに驚いたことを憶えています。
歩道にある黄色い点字ブロック、地下鉄の通気口や鉄製のマンホール、滑ります。急な坂、勾配のきつい陸橋、高齢社会の急激な進行を考えると対策が必要です。
この大雪、思わぬ人間模様をみせてくれます。
初めて雪をみたに違いない海外からの観光客が、弾けるような笑顔で雪を楽しんでいます。
道傍(どうぼう)では若い女性が屈(かが)んで、無心に雪玉を作っています。
交差点や駅頭では、「この程度の雪で、東京も情け無い」と妙に嬉しそうに話している若者連れ、
飛行機が飛ばないから、どうしても札幌に帰り着かないと勤務に間に合わないと新幹線に飛び乗る人、
駅弁が交通渋滞と客の多さで底を突き、店員さんに食ってかかる人、
平身低頭して謝っている店員さんも居れば、傲岸(ごうがん)と表現したくなるようなエライ態度の店員さん、
様々な人間の姿が情感豊かに眼前に展開されます。
これらの人間模様を横目でみたり聞いたりして、「これが過ぎたら何か良い事があるよ」と心の裡(うち)で声を掛けている自分が居ます。
2月16日、今の3月下旬(1190、建久元年)、自然を愛し、漂泊に生きた詩人である西行が亡くなりました。
享年73の生涯です。“自由”とは何かを考えさせてくれます。
このところの週末、立て続けての大雪、雪には慣れている筈の信夫の里も、近年の暖冬もあってか完全に機能停止です。出勤も、どうにか運転手さんの機転で大学に辿り着く有り様です。
“西高東低、南岸低気圧は関東の雪”と中学時代に覚えましたが、近年の冬はやはり異常です。
我々に警告している自然、知っていながら変えられない人類、文明史家の警告が現実味を帯びています。
2月21日(1894、明治27年)、印象派で広く知らしめることに尽力した画家、カイユボット(vol.243)が亡くなっています。享年45です。透明感溢れる画風は、画面から爽やかな風が流れてくるようです。
(vol.243 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=280)
今週の花材は、執務室、秘書室とも一足先に春の到来です。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今週の花
【理事長室】
■桜〔東海桜〕 バラ科/落葉高木/中国産の「カラミ桜」と
日本原産の「小彼岸」の交配種。桜前線で知られる染井吉野よ
りも早く開花する。しなやかな枝振りと、枝いっぱいに花をつけ
ることから近年人気。
■ダリア〔ビューティフルデイズ〕 キク科/多年草/品種が
とても豊富で世界に3万種以上。花径が3cm程の小輪から30
cm以上にもなる巨大輪まである。「ビューティフルデイズ」は濃
いピンクと白の複色。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2581.jpg
■桜〔東海桜〕 バラ科/落葉高木/中国産の「カラミ桜」と
日本原産の「小彼岸」の交配種。桜前線で知られる染井吉野よ
りも早く開花する。しなやかな枝振りと、枝いっぱいに花をつけ
ることから近年人気。
■ダリア〔ビューティフルデイズ〕 キク科/多年草/品種が
とても豊富で世界に3万種以上。花径が3cm程の小輪から30
cm以上にもなる巨大輪まである。「ビューティフルデイズ」は濃
いピンクと白の複色。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2581.jpg
【秘書室】
■フリージア〔アラジン〕 アヤメ科/球根植物/甘い香りを放つ
春の代表花/。花茎に7〜8輪の花をつけ、次々と開花する。「アラ
ジン」は一重咲の黄色で代表的な品種。
■スイートピー〔シンデレラ〕 マメ科/一年草/ひとつひとつの
花が蝶のような形。甘い香りを放ち、フリージアと共に春の代表花。
「シンデレラ」はピンク色。
■スターチス〔キノピンキー〕 イソマツ科/多年草/シネンシス
系のハイブリッドスターチス。ドライフラワーに適し、花色が綺麗に残
る。「キノピンキー」は濃いピンクで、他に「キノシフォン」や「キノラ
パン」などもある。
■ストック〔アプリコットカルテット〕 アブラナ科/一年草/南ヨ
ーロッパ原産で原産地では多年草。花は強い芳香があり、直立し
た花茎に穂状に多数の花を咲かせる。「アプリコットカルテット」は枝
が分岐し、花穂が多いスプレー咲き品種。
■ブプレリュウム セリ科/一年草/清々しさを感じる鮮やかな
グリーンの葉。黄色い小さい花が咲くが、よく見ないとわからない。
主にグリーンとして扱われる。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2582.jpg
■フリージア〔アラジン〕 アヤメ科/球根植物/甘い香りを放つ
春の代表花/。花茎に7〜8輪の花をつけ、次々と開花する。「アラ
ジン」は一重咲の黄色で代表的な品種。
■スイートピー〔シンデレラ〕 マメ科/一年草/ひとつひとつの
花が蝶のような形。甘い香りを放ち、フリージアと共に春の代表花。
「シンデレラ」はピンク色。
■スターチス〔キノピンキー〕 イソマツ科/多年草/シネンシス
系のハイブリッドスターチス。ドライフラワーに適し、花色が綺麗に残
る。「キノピンキー」は濃いピンクで、他に「キノシフォン」や「キノラ
パン」などもある。
■ストック〔アプリコットカルテット〕 アブラナ科/一年草/南ヨ
ーロッパ原産で原産地では多年草。花は強い芳香があり、直立し
た花茎に穂状に多数の花を咲かせる。「アプリコットカルテット」は枝
が分岐し、花穂が多いスプレー咲き品種。
■ブプレリュウム セリ科/一年草/清々しさを感じる鮮やかな
グリーンの葉。黄色い小さい花が咲くが、よく見ないとわからない。
主にグリーンとして扱われる。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2582.jpg