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理事長室からの花だより
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理事長室からの花だより
vol.261 − 宥 (なだめる) −
山火事かと思う程の紅(くれない)の朝焼け、しばし見惚れてしまいます。
三寒四温の今、時にみせる自然の絵画です。
信夫の里で、季節の移ろいを一番身近に感じるのが早春です。
日差しや大気が春の訪れを五感に伝えてくれます。
白椿あふるるばかり豊かにて
朝まだきより花あきらけし
佐藤佐太郎
オフィス街、路の傍に、一本だけ椿がひっそり立っていました。濃い緑の葉の中に白い椿の花々、人間(ヒト)に見られていようがいまいが、凛として前を向き、咲いていました。
時の流れの速さ、自然がみせてくれる四季で感じとれます。
四季は慌ただしく移ろっていきます。只、一日一日でみると、我々はその変化に気付きません。明快な境はない四季の移ろい、しかし、気が付くと確実に時は過ぎていっています。
(vol.145 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=178)
(vol.240 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=277)
(vol.254 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=291)
人生にも四季があります。
(vol.170 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=204)
(vol.220 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=257)
只、それは一度きりの四季です。自然と違い、繰り返しがありません。だからこそ、古人も、生命(いのち)は儚い、浮世の義理とか付き合いは些事(さじ)である、と述べています(徒然草、第7段、第125段)。
「一度きりの人生、時間は無情に失っていくのですから、暮らしの柵(しがらみ)を捨ててしまいなさい」、
その通りです。しかし、凡人には、人生、そう割り切れるものではありません。他人(ヒト)との触れ合い、世間との関わり、そのなかで生きていて、良かったと思うことが少なくないのです。
原発事故、人間の優しさ、勁(つよ)さ、愚かさを我々に教えてくれました。
古人達も達観出来ないもどかしさがあるからこそ、迷いを様々に表現してきました。
これは、人間(ヒト)にとって永遠の命題です。
“和”に惹かれます。例えば、光(あかり)です。
光と影という極端な対比でなく、光と闇との間の階調(グラデーション)にこそ、暮らしていくうえでの知恵、解、折り合いがあると感じて、日々を過ごしているからです。
光や灯りと言えば、障子です。
障子の和紙を通った光、ぬくもりと優しさを心の裡まで届けてくれます。和紙は、一旦、通した光を宥(なだ)め、それから拡散して部屋を満遍なく明るくしてくれます。夜、白い障子は、スタンドや部屋の灯りを反射させて光を和らげてくれます。
白く、淡く浮いている障子の光画面、障子の桟(さん)や組子(くみこ)が切り取り、絵画のように仕立ててくれます。日差しの傾きに応じて、様々な影が映って、変わっていく様、観(み)ていると、“時”と一緒に“心”も移ろっていきます。
イサムノグチの「AKARI」シリーズ、和紙の美を世界に知らしめ、我々日本人にその美しさを再認識させてくれました。彼の作品は、“電気の光を、和紙を使って太陽にした”と賞讃されました。
和紙といえば、便箋です。
老舗(しにせ)の紙屋さんで、和紙の便箋を注文しました。出来上がった便箋、薄過ぎて、プリンターをうまく通ってくれません。その事を訴えたら、和紙をこよなく愛している老店員さんが、渋々、プリンターを通る位に、紙の質を変え、少し厚くしてくれました。
優れた和紙は、それ程薄く出来るのです。ここにも“折り合い”が顔をみせています。
現代の和の極みの一端を、都心のホテルの本館ロビーにみることができます。
谷口吉郎氏の設計です。雪見障子、麻の葉組子、障子に写る竹が戦(そよ)ぐ影(vol.25)、これを目にする時、一時、和(なご)みます。(vol.25 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=42)
今、これだけのモノを作る職人さん達は、健在なのでしょうか。
今週の花材は、執務室は早春の華やぎを、秘書室は室内の静謐(せいひつ)な空気を象徴しているようです。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
三寒四温の今、時にみせる自然の絵画です。
信夫の里で、季節の移ろいを一番身近に感じるのが早春です。
日差しや大気が春の訪れを五感に伝えてくれます。
白椿あふるるばかり豊かにて
朝まだきより花あきらけし
佐藤佐太郎
オフィス街、路の傍に、一本だけ椿がひっそり立っていました。濃い緑の葉の中に白い椿の花々、人間(ヒト)に見られていようがいまいが、凛として前を向き、咲いていました。
時の流れの速さ、自然がみせてくれる四季で感じとれます。
四季は慌ただしく移ろっていきます。只、一日一日でみると、我々はその変化に気付きません。明快な境はない四季の移ろい、しかし、気が付くと確実に時は過ぎていっています。
(vol.145 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=178)
(vol.240 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=277)
(vol.254 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=291)
人生にも四季があります。
(vol.170 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=204)
(vol.220 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=257)
只、それは一度きりの四季です。自然と違い、繰り返しがありません。だからこそ、古人も、生命(いのち)は儚い、浮世の義理とか付き合いは些事(さじ)である、と述べています(徒然草、第7段、第125段)。
「一度きりの人生、時間は無情に失っていくのですから、暮らしの柵(しがらみ)を捨ててしまいなさい」、
その通りです。しかし、凡人には、人生、そう割り切れるものではありません。他人(ヒト)との触れ合い、世間との関わり、そのなかで生きていて、良かったと思うことが少なくないのです。
原発事故、人間の優しさ、勁(つよ)さ、愚かさを我々に教えてくれました。
古人達も達観出来ないもどかしさがあるからこそ、迷いを様々に表現してきました。
これは、人間(ヒト)にとって永遠の命題です。
“和”に惹かれます。例えば、光(あかり)です。
光と影という極端な対比でなく、光と闇との間の階調(グラデーション)にこそ、暮らしていくうえでの知恵、解、折り合いがあると感じて、日々を過ごしているからです。
光や灯りと言えば、障子です。
障子の和紙を通った光、ぬくもりと優しさを心の裡まで届けてくれます。和紙は、一旦、通した光を宥(なだ)め、それから拡散して部屋を満遍なく明るくしてくれます。夜、白い障子は、スタンドや部屋の灯りを反射させて光を和らげてくれます。
白く、淡く浮いている障子の光画面、障子の桟(さん)や組子(くみこ)が切り取り、絵画のように仕立ててくれます。日差しの傾きに応じて、様々な影が映って、変わっていく様、観(み)ていると、“時”と一緒に“心”も移ろっていきます。
イサムノグチの「AKARI」シリーズ、和紙の美を世界に知らしめ、我々日本人にその美しさを再認識させてくれました。彼の作品は、“電気の光を、和紙を使って太陽にした”と賞讃されました。
和紙といえば、便箋です。
老舗(しにせ)の紙屋さんで、和紙の便箋を注文しました。出来上がった便箋、薄過ぎて、プリンターをうまく通ってくれません。その事を訴えたら、和紙をこよなく愛している老店員さんが、渋々、プリンターを通る位に、紙の質を変え、少し厚くしてくれました。
優れた和紙は、それ程薄く出来るのです。ここにも“折り合い”が顔をみせています。
現代の和の極みの一端を、都心のホテルの本館ロビーにみることができます。
谷口吉郎氏の設計です。雪見障子、麻の葉組子、障子に写る竹が戦(そよ)ぐ影(vol.25)、これを目にする時、一時、和(なご)みます。(vol.25 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=42)
今、これだけのモノを作る職人さん達は、健在なのでしょうか。
今週の花材は、執務室は早春の華やぎを、秘書室は室内の静謐(せいひつ)な空気を象徴しているようです。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今週の花
【理事長室】
■ラナンキュラス キンポウゲ科/球根植
物/《名前の由来》ラテン語の“蛙”(ラナ)に
由来。蛙がたくさん生息する湿地に自生するこ
とから/幾重にも重なる柔らかい花弁が特
徴。赤「キロス」白「トゥール」淡ピンク「オルレ
アン」
■玉シダ ツルシダ科/シダ植物/日本
では伊豆半島以西に自生。海岸近くの岩肌や
木に着生。葉は羽状複葉で叢生し多くの楕円
形の羽片を付ける。
■カーネーション〔コマチ〕 ナデシコ科/多
年草/母の日の花として古くから親しまれる。
バラ・菊に並び世界的に生産量が多い。「コマ
チ」は白色の花弁の縁にピンクが入る可愛い
花色。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2611.jpg
■ラナンキュラス キンポウゲ科/球根植
物/《名前の由来》ラテン語の“蛙”(ラナ)に
由来。蛙がたくさん生息する湿地に自生するこ
とから/幾重にも重なる柔らかい花弁が特
徴。赤「キロス」白「トゥール」淡ピンク「オルレ
アン」
■玉シダ ツルシダ科/シダ植物/日本
では伊豆半島以西に自生。海岸近くの岩肌や
木に着生。葉は羽状複葉で叢生し多くの楕円
形の羽片を付ける。
■カーネーション〔コマチ〕 ナデシコ科/多
年草/母の日の花として古くから親しまれる。
バラ・菊に並び世界的に生産量が多い。「コマ
チ」は白色の花弁の縁にピンクが入る可愛い
花色。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2611.jpg
【秘書室】
■チューリップ〔ブルーダイヤモンド〕 ユリ科/球根植物/公
園や学校などの花壇を彩る代表的な春の花。開花時期や色合い、
花形など多岐にわたり約8000種以上ある。
「ブルーダイヤモンド」は珍しい紫色の八重咲。
■トルコギキョウ〔エスプリライトピンク〕 リンドウ科/花の大き
さや咲き方、花色がとても豊富。祝事仏事問わず人気の高い花。
「エスプリ」シリーズは分岐が多く輪付きが良いフリル咲。
■カーネーション (理事長室と同花材)
赤「ガッタポーネ」紫色「マルゴー」
■ユーカリ〔ポポラス〕 フトモモ科/常緑高木/コアラの食べ
る木として有名。「ポポラス」は丸く大きな葉が特徴。切り花として
流通するユーカリはコアラの食用種とは別種。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2612.jpg
■チューリップ〔ブルーダイヤモンド〕 ユリ科/球根植物/公
園や学校などの花壇を彩る代表的な春の花。開花時期や色合い、
花形など多岐にわたり約8000種以上ある。
「ブルーダイヤモンド」は珍しい紫色の八重咲。
■トルコギキョウ〔エスプリライトピンク〕 リンドウ科/花の大き
さや咲き方、花色がとても豊富。祝事仏事問わず人気の高い花。
「エスプリ」シリーズは分岐が多く輪付きが良いフリル咲。
■カーネーション (理事長室と同花材)
赤「ガッタポーネ」紫色「マルゴー」
■ユーカリ〔ポポラス〕 フトモモ科/常緑高木/コアラの食べ
る木として有名。「ポポラス」は丸く大きな葉が特徴。切り花として
流通するユーカリはコアラの食用種とは別種。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2612.jpg