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理事長室からの花だより
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理事長室からの花だより
vol.270 − 尽 (つくす) −
花屋さん、季節の今を感じさせてくれます。紫陽花、芍薬、クレマチスなど、走りの花が飾られているからです。
街路樹、この時季は白、トチノキの大きな花穂(かすい)、エゴの木の小さい花です。栃の実、飢饉の時の食用になるので決して伐採しないことを古老から聞いたことがあります。
玄関脇、鈴蘭(スズラン)の白い花、仕事へ出掛けるのを見守ってくれています。
仕事とは、生きていく糧(かて)を得る手段です。
そうは言っても、仕事とは生きることと思い定め、様々な思いを飲み込み、黙々と務めを果たしている人々が居ます。
鳴きのぼり空を出られぬ鳥のこゑ
青葉のときを美しくする
小島ゆかり
この歌の鳥、自然の中の人間です。現実を生きている人間の痛切な叫びです。
齢(よわい)を重ね、気がつけば、仕事だけが目的になり果てて、暮らしの総(すべ)てになっている自分がいます。原発事故の前と後では、仕事が、以前とは変わってしまっています。
一人前の医師になる為に培(つちか)ってきた知恵、緊急時での身の処し方に役立ちました。
復興期、修業での紆余曲折(うよきょくせつ)、無駄骨と思っていたこと、躊躇(ちゅうちょ)のない決断や間髪を入れない選択に役立っています。人生、万事、塞翁(さいおう)が馬です。
本学の立場は、建て前だけ言っていれば大過なくやりすごせる、安直なものではありません。
省みる時、情熱は昔のままでも、若い時、無念の思いの中で立てた目標や夢、どこかに置いてきてしまったような気がして、不安です。
遠目、若い女性が黙々と畑の畝(うね)に鍬(くわ)を入れていました。その姿に、仕事には、糧(かて)を得るだけでなく、体のみならず心も鍛えること、次世代への受け渡しがあることに気付かされました。
公園の生垣の中、半ば埋(う)もれている石に目が行きました。
この石、最初は地面や山肌の一部を成していた筈です。その後、石垣などの建造物の一部として、形あるモノに加わっていたのでしょう。最後は、境界を示す印(しるし)になり、今は“捨て石”です。再び土に還ります。
人間にも一度きりの季節があります。
(vol.170 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=204)
(vol.220 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=257)
「地位や年齢とともに、求められる役割は変わる」のです。役割の変化に応じて、やり方も変えなければなりません。
只、時の積み重ねで身に付けた生き方、変えられるものではありません。勤勉、努力を野暮と嗤(わら)う時代の空気、戸惑(とまど)いを覚え、立ち竦(すく)みます。
灯(あか)り、本来の役割は、手元を明るくすることです。心にも明りを灯(とも)してくれます。その名残りは、祀(まつ)りごとの松明(たいまつ)、社寺の灯明(とうみょう)にみてとれます。
長く、厳しい斗(たたか)いの日々、蝋燭(ろうそく)の灯りが心のさざ波を静めてくれます。
長年支えて下さった秘書さんから贈られた和蝋燭(わろうそく)、文机に向って端座する時、心の鎮静薬です。炎のゆらぎ、部屋全体が明るいのではなく、周囲のほの暗さ、きれいで、安らぎます。
昔、日本人はこのような明るさの中で暮らしていました。この明かりだからこその文化、芸術が生まれた筈です。
翻(ひるがえ)って現代、昼間の明るさです。強弱もありません。昼夜の区別がなくなっています。
闇がなくなると、人の心は鎮まる時がありません。
和の光、揺らめく灯(あかり)(vol.210,223,231,232,251)、障子越しの鈍い光と影、障子や畳に写る樹々や水の動き、和の設(しつら)えです。
「忙」、文字通り“心を亡くす”、忙しく働いている人々に、今、必要なのは陰影です。
(vol.210 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=247)
(vol.223 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=260)
(vol.231 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=268)
(vol.232 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=269)
(vol.251 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=288)
今週の花材は、黄、紫、白が主人公です。服にこれらを取り入れるのは至難です。花では粋です。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
街路樹、この時季は白、トチノキの大きな花穂(かすい)、エゴの木の小さい花です。栃の実、飢饉の時の食用になるので決して伐採しないことを古老から聞いたことがあります。
玄関脇、鈴蘭(スズラン)の白い花、仕事へ出掛けるのを見守ってくれています。
仕事とは、生きていく糧(かて)を得る手段です。
そうは言っても、仕事とは生きることと思い定め、様々な思いを飲み込み、黙々と務めを果たしている人々が居ます。
鳴きのぼり空を出られぬ鳥のこゑ
青葉のときを美しくする
小島ゆかり
この歌の鳥、自然の中の人間です。現実を生きている人間の痛切な叫びです。
齢(よわい)を重ね、気がつけば、仕事だけが目的になり果てて、暮らしの総(すべ)てになっている自分がいます。原発事故の前と後では、仕事が、以前とは変わってしまっています。
一人前の医師になる為に培(つちか)ってきた知恵、緊急時での身の処し方に役立ちました。
復興期、修業での紆余曲折(うよきょくせつ)、無駄骨と思っていたこと、躊躇(ちゅうちょ)のない決断や間髪を入れない選択に役立っています。人生、万事、塞翁(さいおう)が馬です。
本学の立場は、建て前だけ言っていれば大過なくやりすごせる、安直なものではありません。
省みる時、情熱は昔のままでも、若い時、無念の思いの中で立てた目標や夢、どこかに置いてきてしまったような気がして、不安です。
遠目、若い女性が黙々と畑の畝(うね)に鍬(くわ)を入れていました。その姿に、仕事には、糧(かて)を得るだけでなく、体のみならず心も鍛えること、次世代への受け渡しがあることに気付かされました。
公園の生垣の中、半ば埋(う)もれている石に目が行きました。
この石、最初は地面や山肌の一部を成していた筈です。その後、石垣などの建造物の一部として、形あるモノに加わっていたのでしょう。最後は、境界を示す印(しるし)になり、今は“捨て石”です。再び土に還ります。
人間にも一度きりの季節があります。
(vol.170 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=204)
(vol.220 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=257)
「地位や年齢とともに、求められる役割は変わる」のです。役割の変化に応じて、やり方も変えなければなりません。
只、時の積み重ねで身に付けた生き方、変えられるものではありません。勤勉、努力を野暮と嗤(わら)う時代の空気、戸惑(とまど)いを覚え、立ち竦(すく)みます。
灯(あか)り、本来の役割は、手元を明るくすることです。心にも明りを灯(とも)してくれます。その名残りは、祀(まつ)りごとの松明(たいまつ)、社寺の灯明(とうみょう)にみてとれます。
長く、厳しい斗(たたか)いの日々、蝋燭(ろうそく)の灯りが心のさざ波を静めてくれます。
長年支えて下さった秘書さんから贈られた和蝋燭(わろうそく)、文机に向って端座する時、心の鎮静薬です。炎のゆらぎ、部屋全体が明るいのではなく、周囲のほの暗さ、きれいで、安らぎます。
昔、日本人はこのような明るさの中で暮らしていました。この明かりだからこその文化、芸術が生まれた筈です。
翻(ひるがえ)って現代、昼間の明るさです。強弱もありません。昼夜の区別がなくなっています。
闇がなくなると、人の心は鎮まる時がありません。
和の光、揺らめく灯(あかり)(vol.210,223,231,232,251)、障子越しの鈍い光と影、障子や畳に写る樹々や水の動き、和の設(しつら)えです。
「忙」、文字通り“心を亡くす”、忙しく働いている人々に、今、必要なのは陰影です。
(vol.210 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=247)
(vol.223 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=260)
(vol.231 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=268)
(vol.232 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=269)
(vol.251 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=288)
今週の花材は、黄、紫、白が主人公です。服にこれらを取り入れるのは至難です。花では粋です。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今週の花
【理事長室】
■リョウブ リョウブ科/落葉小高木/北海道南部から九州に
かけて自生。120種程あるリョウブ属で日本に自生するのは1種
のみ。花期は夏で、枝先に白い小花を穂状に咲かせ垂れ下がる。
■OHユリ〔シベリア〕 ユリ科/球根植物/カサブランカと同じ
オリエンタルハイブリッド(OH)種。「OH」ユリは大きく優雅な花姿
と芳香が特徴。「シベリア」は白色で上向き咲。
■グラジオラス〔ソフィー〕 アヤメ科/球根植物/1000を超え
る園芸品種があり、花色がとても豊富。1m程の草丈で、漏斗状
の花を花茎いっぱいに次々と咲かせる。「ソフィー」は白色。
■ギガンジュウム ユリ科/ネギ坊主のような紫色の球状花。
小さな花が密集して咲き、開花が進むにつれ球形が大きくなる。ネ
ギ属の花なので、茎にハサミを入れるとネギの香りがする。
■カーネーション〔プラドミント〕 ナデシコ科/多年草/母の日
の花として古くから親しまれる。「プラドミント」は淡いグリーン。
■モンステラ サトイモ科/蔓性植物/成長するにつれ葉に切
れ込みや穴が開く。独特の葉姿が面白く、モチーフとしても人気の
熱帯植物。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2701.jpg
■リョウブ リョウブ科/落葉小高木/北海道南部から九州に
かけて自生。120種程あるリョウブ属で日本に自生するのは1種
のみ。花期は夏で、枝先に白い小花を穂状に咲かせ垂れ下がる。
■OHユリ〔シベリア〕 ユリ科/球根植物/カサブランカと同じ
オリエンタルハイブリッド(OH)種。「OH」ユリは大きく優雅な花姿
と芳香が特徴。「シベリア」は白色で上向き咲。
■グラジオラス〔ソフィー〕 アヤメ科/球根植物/1000を超え
る園芸品種があり、花色がとても豊富。1m程の草丈で、漏斗状
の花を花茎いっぱいに次々と咲かせる。「ソフィー」は白色。
■ギガンジュウム ユリ科/ネギ坊主のような紫色の球状花。
小さな花が密集して咲き、開花が進むにつれ球形が大きくなる。ネ
ギ属の花なので、茎にハサミを入れるとネギの香りがする。
■カーネーション〔プラドミント〕 ナデシコ科/多年草/母の日
の花として古くから親しまれる。「プラドミント」は淡いグリーン。
■モンステラ サトイモ科/蔓性植物/成長するにつれ葉に切
れ込みや穴が開く。独特の葉姿が面白く、モチーフとしても人気の
熱帯植物。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2701.jpg
【秘書室】
■シンビジュウム ラン科/蘭の中でも寒さ
に強く、丈夫で育てやすい洋ランとして人気。
非常に花持ちが良く、開花後1〜2ヵ月楽しめ
る。
■アンスリュウム〔プレジデント〕 サトイモ
科/常緑多年草/造花のような光沢のある花
(苞)が特徴。「プレジデント」は大きくピンクと
グリーンの複色。
■オンシジュウム〔ハニーエンジェル〕
ラン科/無数の蝶が舞飛ぶような花姿で“バ
タフライオーキッド”とも呼ばれる。「ハニーエン
ジェル」は従来品種にある斑点がない綺麗な
花色。
■アイビー ウコギ科/常緑蔓性植物/蔓
状に伸びる非常に丈夫な観葉植物。枝の節々
から気根を出し、壁や樹木にくっついて登る。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2702.jpg
■シンビジュウム ラン科/蘭の中でも寒さ
に強く、丈夫で育てやすい洋ランとして人気。
非常に花持ちが良く、開花後1〜2ヵ月楽しめ
る。
■アンスリュウム〔プレジデント〕 サトイモ
科/常緑多年草/造花のような光沢のある花
(苞)が特徴。「プレジデント」は大きくピンクと
グリーンの複色。
■オンシジュウム〔ハニーエンジェル〕
ラン科/無数の蝶が舞飛ぶような花姿で“バ
タフライオーキッド”とも呼ばれる。「ハニーエン
ジェル」は従来品種にある斑点がない綺麗な
花色。
■アイビー ウコギ科/常緑蔓性植物/蔓
状に伸びる非常に丈夫な観葉植物。枝の節々
から気根を出し、壁や樹木にくっついて登る。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2702.jpg