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理事長室からの花だより
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理事長室からの花だより
vol.271 − 導 (みちびく) −
会津の春、この地に足を踏み入れる時、緊張が弛(ゆる)み、表情から険しさが消えます。
山々の残雪、白さが際立ちます。里山、桐の花が咲いています。新緑の中の淡紫(たんし)、“自然の粋”です。
「田圃(たんぼ)に水が入ると気温が下がる」、と地元の人に聞きました。自然のエアコンです。
自然に寄り添って生きている人だからこそ気付く感性です。水の張った田圃の瑞々(みずみず)しさ、その上を吹き渡る風の心地良さ、感じ取っていました。しかし、気温までが変わること、気付きませんでした。
天地を友に、憧(あこが)れです。
ボランティアの方からのあやめ、室内を華やかにしてくれています。この時季の紫、法被(はっぴ)にも感じる”和の粋”を感じます。
週末、仕事の前に散策しました。強風のせいで、人っ子一人見当りません。
帰り路(みち)、風の音を切り裂くように、後ろから声を掛けられました。土手下の農道からの声、驚いて身構える程、突然のことです。
自転車に乗った、丸刈り、制服を着た高校生の集団です。次々と、短く挨拶していくのです。「こんにちは」を早口で言っているのだと分りました。
少し間を置いて、別な集団が土手の上、脇を通り過ぎる時、やはり一斉に声を掛けていくのです。名門校の球児とみました。
お天道様も粋な事をしてくれるものです。その声掛け、邪気がありません。声も澄(す)んでいます。
春の夜にわが思ふなりわかき日の
からくれなゐや悲しかりける
前川佐美雄
夜半、昼間の蜃気楼(しんきろう)のような一瞬の情景を思い出し、我が身を振り返りました。
自分にも確かにあった、あの時代です。
若さに畏怖の念と同時に、二度と取り戻す事の出来ない若き日々への愛惜(あいせき)を覚えました。
彼等は、人生を生きていくうえで、意図せずに、既に、大きな武器を手に入れているのです。教え慈(いつく)しむことの大切さを考えさせられました。爽やかな挨拶の大切さを若者から改めて教えられました。
言葉や文章の持つ影響力、何度も記してきました。
《理事長室からの花だより》
(vol.35 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=55)
(vol.100 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=128)
(vol.199 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=235)
(vol.250 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=287)
《学長からの手紙》
(No.36 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/036.html)
(No.209 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/209.html)
(No.212 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/212.html)
挨拶は、その人間の印象を左右します。“笑顔と挨拶は只”なのです。
挨拶での相手への呼び掛け、彼我(ひが)に差があります。
我が国では、昔は諱(いみな)でなく、字(あざな)で呼んでいます。その名残り、今でもみてとれます。職場で相手に呼びかける時、名前は勿論、苗字ですらなく、役職名で呼ぶことが普通です。
一方、西洋では名前を呼ぶことが親愛の証(あかし)とされています。日本人には、これに慣れるのに、一苦労です。私には、今も相手の名前を口にする時、躊躇(ちゅうちょ)があります。
この違い、日本語と英語を比べると、際立ちます。日本語には主語がないと言われる程、主語があいまいです。一方、英語は主語が明確です。文章にすると一目瞭然です。
全体の中での個、個が主体となって構成されている世間の違い、言葉が文化を象徴しています。
この時季、尾形光琳の「燕子花図屏風」(かきつばたずびょうぶ)が展示されます(根津美術館)。
(vol.78 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=104)
今年は、円山応挙の「藤花図屏風」(ふじばなずびょうぶ)と並列展示です。後者は初めて目にします。繊細な筆使い、地の褪色が進んでいるのでしょうか、少し痛々しい感じがしました。
鈴木其一(vol.190)の「夏秋渓流図屏風」(なつあきけいりゅうずびょうぶ)、檜の林と渓流に山百合と柿の葉を配しています。非現実的、幻想的な色使い、アンリ・ルソーの絵を連想させます。
(vol.190 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=226)
今週の花材は、芍薬と菊が主役です。緑の中での存在感、しばし見惚れてしまいます。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
山々の残雪、白さが際立ちます。里山、桐の花が咲いています。新緑の中の淡紫(たんし)、“自然の粋”です。
「田圃(たんぼ)に水が入ると気温が下がる」、と地元の人に聞きました。自然のエアコンです。
自然に寄り添って生きている人だからこそ気付く感性です。水の張った田圃の瑞々(みずみず)しさ、その上を吹き渡る風の心地良さ、感じ取っていました。しかし、気温までが変わること、気付きませんでした。
天地を友に、憧(あこが)れです。
ボランティアの方からのあやめ、室内を華やかにしてくれています。この時季の紫、法被(はっぴ)にも感じる”和の粋”を感じます。
週末、仕事の前に散策しました。強風のせいで、人っ子一人見当りません。
帰り路(みち)、風の音を切り裂くように、後ろから声を掛けられました。土手下の農道からの声、驚いて身構える程、突然のことです。
自転車に乗った、丸刈り、制服を着た高校生の集団です。次々と、短く挨拶していくのです。「こんにちは」を早口で言っているのだと分りました。
少し間を置いて、別な集団が土手の上、脇を通り過ぎる時、やはり一斉に声を掛けていくのです。名門校の球児とみました。
お天道様も粋な事をしてくれるものです。その声掛け、邪気がありません。声も澄(す)んでいます。
春の夜にわが思ふなりわかき日の
からくれなゐや悲しかりける
前川佐美雄
夜半、昼間の蜃気楼(しんきろう)のような一瞬の情景を思い出し、我が身を振り返りました。
自分にも確かにあった、あの時代です。
若さに畏怖の念と同時に、二度と取り戻す事の出来ない若き日々への愛惜(あいせき)を覚えました。
彼等は、人生を生きていくうえで、意図せずに、既に、大きな武器を手に入れているのです。教え慈(いつく)しむことの大切さを考えさせられました。爽やかな挨拶の大切さを若者から改めて教えられました。
言葉や文章の持つ影響力、何度も記してきました。
《理事長室からの花だより》
(vol.35 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=55)
(vol.100 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=128)
(vol.199 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=235)
(vol.250 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=287)
《学長からの手紙》
(No.36 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/036.html)
(No.209 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/209.html)
(No.212 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/212.html)
挨拶は、その人間の印象を左右します。“笑顔と挨拶は只”なのです。
挨拶での相手への呼び掛け、彼我(ひが)に差があります。
我が国では、昔は諱(いみな)でなく、字(あざな)で呼んでいます。その名残り、今でもみてとれます。職場で相手に呼びかける時、名前は勿論、苗字ですらなく、役職名で呼ぶことが普通です。
一方、西洋では名前を呼ぶことが親愛の証(あかし)とされています。日本人には、これに慣れるのに、一苦労です。私には、今も相手の名前を口にする時、躊躇(ちゅうちょ)があります。
この違い、日本語と英語を比べると、際立ちます。日本語には主語がないと言われる程、主語があいまいです。一方、英語は主語が明確です。文章にすると一目瞭然です。
全体の中での個、個が主体となって構成されている世間の違い、言葉が文化を象徴しています。
この時季、尾形光琳の「燕子花図屏風」(かきつばたずびょうぶ)が展示されます(根津美術館)。
(vol.78 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=104)
今年は、円山応挙の「藤花図屏風」(ふじばなずびょうぶ)と並列展示です。後者は初めて目にします。繊細な筆使い、地の褪色が進んでいるのでしょうか、少し痛々しい感じがしました。
鈴木其一(vol.190)の「夏秋渓流図屏風」(なつあきけいりゅうずびょうぶ)、檜の林と渓流に山百合と柿の葉を配しています。非現実的、幻想的な色使い、アンリ・ルソーの絵を連想させます。
(vol.190 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=226)
今週の花材は、芍薬と菊が主役です。緑の中での存在感、しばし見惚れてしまいます。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今週の花
【理事長室】
■日向水木(ヒュウガミズキ) マンサク科/
落葉低木/花期は3月で葉に先だって黄色い
小花が枝いっぱいに咲く。葉はやわらかく、若葉
は赤みを帯びて美しい。枝はよく分岐し樹形を
整えやすく、庭木としても楽しめる。
■芍薬(シャクヤク)〔アラタマ〕 ボタン科/
多年草/花径が20cmにもなる豪華で存在感
のある花。一重、八重、万重(まんじゅ)咲きな
ど品種が豊富。薬用として中国から渡来し、根
は漢方薬として鎮痛剤や止血剤に利用。江戸
時代から園芸用として鑑賞されるようになる。
■アルストロメリア〔エベレスト〕 ヒガンバナ
科/球根植物/一本の茎から数本の花茎を伸
ばし、先端に花を咲かせる。一つひとつの花は
ユリを小さくしたような花姿。ほとんどの品種で
入る花弁の斑が特徴。
■アンスリュウム〔スパイス〕 サトイモ科/
常緑多年草/造花のような光沢のある花(苞)
が特徴。「スパイス」は赤とグリーンの複色。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2711.jpg
■日向水木(ヒュウガミズキ) マンサク科/
落葉低木/花期は3月で葉に先だって黄色い
小花が枝いっぱいに咲く。葉はやわらかく、若葉
は赤みを帯びて美しい。枝はよく分岐し樹形を
整えやすく、庭木としても楽しめる。
■芍薬(シャクヤク)〔アラタマ〕 ボタン科/
多年草/花径が20cmにもなる豪華で存在感
のある花。一重、八重、万重(まんじゅ)咲きな
ど品種が豊富。薬用として中国から渡来し、根
は漢方薬として鎮痛剤や止血剤に利用。江戸
時代から園芸用として鑑賞されるようになる。
■アルストロメリア〔エベレスト〕 ヒガンバナ
科/球根植物/一本の茎から数本の花茎を伸
ばし、先端に花を咲かせる。一つひとつの花は
ユリを小さくしたような花姿。ほとんどの品種で
入る花弁の斑が特徴。
■アンスリュウム〔スパイス〕 サトイモ科/
常緑多年草/造花のような光沢のある花(苞)
が特徴。「スパイス」は赤とグリーンの複色。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2711.jpg
【秘書室】
■紫千代萩(ムラサキセンダイハギ) マメ科/多年草/《名前
の由来》黄色い花が咲くセンダイハギに似ていることから/花期は
5〜8月頃で、綺麗な青紫で蝶型の花を房状に咲かせる。花後にソ
ラマメに似た実が出来る。
■アンスリュウム〔チョコ〕 (理事長室と同花材)
「チョコ」はシックな赤茶色。
■木苺〔ベビーハンズ〕 バラ科/半落葉低木/ラズベリーやブ
ラックベリーなどの総称で木に実る苺。切れ込みが深くヤツデに似
た葉を持つ。「ベビーハンズ」は名前の通り赤ちゃんの手ほどの大
きさ。葉色も従来のキイチゴより薄く黄緑色で涼しげ。
■ピンポン菊〔ボンボンダークピンク〕 キク科/多年草/ピンポ
ン玉のように真ん丸に咲く菊。通常の菊と違い可愛らしく、お祝い用
途にも多用される。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2712.jpg
■紫千代萩(ムラサキセンダイハギ) マメ科/多年草/《名前
の由来》黄色い花が咲くセンダイハギに似ていることから/花期は
5〜8月頃で、綺麗な青紫で蝶型の花を房状に咲かせる。花後にソ
ラマメに似た実が出来る。
■アンスリュウム〔チョコ〕 (理事長室と同花材)
「チョコ」はシックな赤茶色。
■木苺〔ベビーハンズ〕 バラ科/半落葉低木/ラズベリーやブ
ラックベリーなどの総称で木に実る苺。切れ込みが深くヤツデに似
た葉を持つ。「ベビーハンズ」は名前の通り赤ちゃんの手ほどの大
きさ。葉色も従来のキイチゴより薄く黄緑色で涼しげ。
■ピンポン菊〔ボンボンダークピンク〕 キク科/多年草/ピンポ
ン玉のように真ん丸に咲く菊。通常の菊と違い可愛らしく、お祝い用
途にも多用される。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2712.jpg