HOME > 理事長室からの花だより
理事長室からの花だより
新着 30 件
理事長室からの花だより
vol.293 − 象 (かたどる) −
強い北風、秋の終わりを教えてくれています。朽葉(くちば)が道路を転がっています。
葉を落とした裸木、鋭く、細い線と化した枝々、天空に向かって挑もうとしているようです。
この時季、朝や夕焼けの空を背にして、嶺の稜線や街中での、葉を落とした木々の線の美しさ、こちらの気持ちまでしゃきっとさせてくれます。
塀際の山茶花(サザンカ)の花弁、生垣の皐月(サツキ)や石畳に散り落ちて、闇の中、妖しげな華やかさです。
戦争を経験していない世代は、原発事故により、人間の、勁(つよ)さ、素晴らしさ、弱さ、愚かさを、早送りのフィルムのように味わわされました。
自らの立場、難しいものがあります。先(ま)ず、職員を護(まも)らなければなりません。周囲の批判や期待に応えるように職員を叱咤激励もしなければなりません。そして、研究者としての立場から、間違いは起きる、という思いです。
時と場合に応じて立場を使い分けなければなりません。切ない日々です。
人間(ヒト)の営み、様々な苦労があります。しかも、苦労は、他人に語ったところで、分かってもらえるものでもありません。
自らの足跡を振り返ると、苦労は、頭の中からは追い出していく必要があります。それが頭の中を占めていると、苦労が剥(む)き出しになります。そうなると、心は勿論、佇(たたず)まいも荒(すさ)んできます。
只、くやしさ、怒り、哀しみといった想いは、水に流しても、忘れてはいけません。
「この道を泣きつつ我の往きしこと 我忘れなば誰か知るらむ」(田中克己)です。
〔学長からの手紙〕
(No.52 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/052.html)
(No.140 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/140.html)
(No.212 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/212.html)※「クリニシアン」No.579
“問題は毎日起きる”、これが日常です。苦労は語らずに、体に染み込ませていくことです。
それが、良い立ち姿をつくります。その後姿が、次の世代や弟子を育てていくような気がします。
日々の営みのなか、分身のように、一緒に在る鞄(かばん)、30年近く使い続けています。
書棚の隅に、仕事に就いてから使ってきた鞄がいくつもあります。用途と日程に応じて使い分けてきました。
海外での修行時代の友から贈られた鞄、心惹かれて買って、あまり使わないままの鞄など、一つひとつに秘話があります。
鞄を使い込んで分ったことがあります。それは、鞄は軽さが第一だということです。そして、海外の旅で持ち歩く鞄には、外出しのポケットがあること、これが重宝さを左右します。
いつもの鞄の他に、資料、原稿、書籍、CDなどをトートバッグに投げ入れて、通勤しています。
使っているのは、国際学会で渡されたキャンバス地のコングレスバッグか、国内外を問わず、購入した帆布製のトートバッグです。ナイロン製が多い最近のコングレスバッグ、軽いのですが、肌触りに馴染めません。
トートは、英語のtote(持運ぶ)からきています。ジーンズと同じく、作業用のバッグがその源でしょう。
昔は、風呂敷を使っていました。当時は、暮らしの必需品でした。
学生時代(1960年代、昭和40年代)のことです。唐草模様の緑の大きな風呂敷で布団を包んで、それをリヤカー(今は死語か)に載せて、下宿の引越をしていました。
風呂敷の起源は、文字通り、銭湯が出現した江戸時代に遡(さかのぼ)るようです。
今、親の世代では常識であった風呂敷の使い方が忘れ去られています。畳んで仕舞え、粋な図案、もう一度包み方を学びたいものです。
デザイン(図案)の秀逸さから、海外のお客様に贈答品として、時々、風呂敷を差し上げます。御婦人方は、スカーフとして纏(まと)い、来日します。
こうしてみると、異文化との交流の面白さと、大切さを教えられます。
今週の花材、執務室の紫、秘書室の黄色が鮮やかです。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
葉を落とした裸木、鋭く、細い線と化した枝々、天空に向かって挑もうとしているようです。
この時季、朝や夕焼けの空を背にして、嶺の稜線や街中での、葉を落とした木々の線の美しさ、こちらの気持ちまでしゃきっとさせてくれます。
塀際の山茶花(サザンカ)の花弁、生垣の皐月(サツキ)や石畳に散り落ちて、闇の中、妖しげな華やかさです。
戦争を経験していない世代は、原発事故により、人間の、勁(つよ)さ、素晴らしさ、弱さ、愚かさを、早送りのフィルムのように味わわされました。
自らの立場、難しいものがあります。先(ま)ず、職員を護(まも)らなければなりません。周囲の批判や期待に応えるように職員を叱咤激励もしなければなりません。そして、研究者としての立場から、間違いは起きる、という思いです。
時と場合に応じて立場を使い分けなければなりません。切ない日々です。
人間(ヒト)の営み、様々な苦労があります。しかも、苦労は、他人に語ったところで、分かってもらえるものでもありません。
自らの足跡を振り返ると、苦労は、頭の中からは追い出していく必要があります。それが頭の中を占めていると、苦労が剥(む)き出しになります。そうなると、心は勿論、佇(たたず)まいも荒(すさ)んできます。
只、くやしさ、怒り、哀しみといった想いは、水に流しても、忘れてはいけません。
「この道を泣きつつ我の往きしこと 我忘れなば誰か知るらむ」(田中克己)です。
〔学長からの手紙〕
(No.52 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/052.html)
(No.140 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/140.html)
(No.212 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/212.html)※「クリニシアン」No.579
“問題は毎日起きる”、これが日常です。苦労は語らずに、体に染み込ませていくことです。
それが、良い立ち姿をつくります。その後姿が、次の世代や弟子を育てていくような気がします。
日々の営みのなか、分身のように、一緒に在る鞄(かばん)、30年近く使い続けています。
書棚の隅に、仕事に就いてから使ってきた鞄がいくつもあります。用途と日程に応じて使い分けてきました。
海外での修行時代の友から贈られた鞄、心惹かれて買って、あまり使わないままの鞄など、一つひとつに秘話があります。
鞄を使い込んで分ったことがあります。それは、鞄は軽さが第一だということです。そして、海外の旅で持ち歩く鞄には、外出しのポケットがあること、これが重宝さを左右します。
いつもの鞄の他に、資料、原稿、書籍、CDなどをトートバッグに投げ入れて、通勤しています。
使っているのは、国際学会で渡されたキャンバス地のコングレスバッグか、国内外を問わず、購入した帆布製のトートバッグです。ナイロン製が多い最近のコングレスバッグ、軽いのですが、肌触りに馴染めません。
トートは、英語のtote(持運ぶ)からきています。ジーンズと同じく、作業用のバッグがその源でしょう。
昔は、風呂敷を使っていました。当時は、暮らしの必需品でした。
学生時代(1960年代、昭和40年代)のことです。唐草模様の緑の大きな風呂敷で布団を包んで、それをリヤカー(今は死語か)に載せて、下宿の引越をしていました。
風呂敷の起源は、文字通り、銭湯が出現した江戸時代に遡(さかのぼ)るようです。
今、親の世代では常識であった風呂敷の使い方が忘れ去られています。畳んで仕舞え、粋な図案、もう一度包み方を学びたいものです。
デザイン(図案)の秀逸さから、海外のお客様に贈答品として、時々、風呂敷を差し上げます。御婦人方は、スカーフとして纏(まと)い、来日します。
こうしてみると、異文化との交流の面白さと、大切さを教えられます。
今週の花材、執務室の紫、秘書室の黄色が鮮やかです。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今週の花
【理事長室】
■アルストロメリア〔アルーラ〕 ヒガンバナ科
/球根植物/1本の茎から数本の花茎を伸ば
し、それぞれの先端に花を咲かせる。一つひと
つの花はユリを小さくしたような花型。ほとんど
の品種で入る花弁の斑が特徴。「アルーラ」は
紫色。
■オーニソガラム〔サンデルシー〕 ユリ科/
球根植物/ヨーロッパ〜西アジア、アフリカに
約100種。長い茎頂に6片の星形の花を次々
と円形状に咲かせる。水揚げも良く、つぼみま
でしっかりと咲き切り長く楽しめる。
■ベアグラス ユリ科/細く長い線状でし
なやかな葉。非常に丈夫な葉で、籠を編む材
料に使用される。束ねたりカールさせたりと、
バリエーションが楽しめる。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2931.jpg
■アルストロメリア〔アルーラ〕 ヒガンバナ科
/球根植物/1本の茎から数本の花茎を伸ば
し、それぞれの先端に花を咲かせる。一つひと
つの花はユリを小さくしたような花型。ほとんど
の品種で入る花弁の斑が特徴。「アルーラ」は
紫色。
■オーニソガラム〔サンデルシー〕 ユリ科/
球根植物/ヨーロッパ〜西アジア、アフリカに
約100種。長い茎頂に6片の星形の花を次々
と円形状に咲かせる。水揚げも良く、つぼみま
でしっかりと咲き切り長く楽しめる。
■ベアグラス ユリ科/細く長い線状でし
なやかな葉。非常に丈夫な葉で、籠を編む材
料に使用される。束ねたりカールさせたりと、
バリエーションが楽しめる。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2931.jpg
【秘書室】
■カラー〔フロレックスゴールド〕 サトイモ科/
球根植物/《名前の由来》花型(苞)がワイシャ
ツの襟に似ていることから/花弁のように見える
筒状の部分は苞で、中心の棒状が花序。
■カーネーション〔ノーザンライツ〕 ナデシコ
科/多年草/母の日の花として古くから親しま
れる。菊・バラと並び、世界的にも生産量の多い
主要花。「ノーザンライツ」は淡いグリーン地に紫
の絞り模様。
■ヒペリカム〔ココグランド〕 オトギリソウ科/
半常緑低木/花期は初夏で小さな黄色い花が
咲く。主に花後の実を楽しむものとして流通。実
色は赤ピンクを中心に緑やオレンジなどもある。
「ココグランド」は茶色で丸い大実の品種。
■ドラセナ〔ゴッドセフィアーナ〕 リュウゼツラ
ン科/常緑低木/卵形の葉に入る黄白色の斑
が特徴。ドラセナは真っ直ぐ伸びた茎に放射状
に葉を付けるものが多い。「ゴッドセフィアナ」は
地際から細い茎をたくさんだし、茎に沿って葉を
付ける。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2932.jpg
■カラー〔フロレックスゴールド〕 サトイモ科/
球根植物/《名前の由来》花型(苞)がワイシャ
ツの襟に似ていることから/花弁のように見える
筒状の部分は苞で、中心の棒状が花序。
■カーネーション〔ノーザンライツ〕 ナデシコ
科/多年草/母の日の花として古くから親しま
れる。菊・バラと並び、世界的にも生産量の多い
主要花。「ノーザンライツ」は淡いグリーン地に紫
の絞り模様。
■ヒペリカム〔ココグランド〕 オトギリソウ科/
半常緑低木/花期は初夏で小さな黄色い花が
咲く。主に花後の実を楽しむものとして流通。実
色は赤ピンクを中心に緑やオレンジなどもある。
「ココグランド」は茶色で丸い大実の品種。
■ドラセナ〔ゴッドセフィアーナ〕 リュウゼツラ
ン科/常緑低木/卵形の葉に入る黄白色の斑
が特徴。ドラセナは真っ直ぐ伸びた茎に放射状
に葉を付けるものが多い。「ゴッドセフィアナ」は
地際から細い茎をたくさんだし、茎に沿って葉を
付ける。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/2932.jpg