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理事長室からの花だより
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理事長室からの花だより
vol.305 − 聴 (きく) −
休日、心身の復調を確かめる為の漫(そぞ)ろ歩き、山河は確かな足取りで春に備えていました。
果樹は剪定(せんてい)され、小枝は土に還(かえ)ろうと、地に並べられています。
透明な冷気のなか、鳥は囀(さえず)り、飛び舞っています。
枯葉は退き、青い新芽が芽生えています。笹の緑が残雪に鮮やかです。
愛弟子と食事に臨み、二人とも体調を崩してしまいました。弟子は一日休み、己は出勤するも半日で退出という有様(ありさま)です。
人にはそれぞれ心に沁みる音があります。音はありし日の情景を彷彿させてくれます。
体調を崩して、一つの音が遥かな昔を甦らせてくれました。
それは、土鍋でお粥を作る時のコトコトという音です。
幼い頃、母が作ってくれていた時のこの音、枕元で何度聞いたことか。
火加減をみながら、耳元に届く「コトコト」、今まで一度も思い出さなかった情景が眼前に顕(あらわ)れました。
庭では、海棠(カイドウ)、木蓮(モクレン)の芽がふくらみ始めています。
この時季、室内にはヒヤシンスの白を小さな花器にあしらって早春を楽しんでいます。
水仙の香りが、心まで和(なご)ませてくれます。
道すがらの香り、暫(しば)し、水仙の香りを聴いてしまいます。和水仙(ワスイセン)は、ラッパ水仙と違い、香りが大きな魅力の一つです。
李朝の大壺に水仙の投入れ、理想の設(しつら)えです。
風を聞きをり水仙の香ほのかなる
山頭火
若い時の越前海岸への旅、瞼の裏に残っています。御濠端の水仙も御濠に顔を向けています。
(vol.109 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=137)
(vol.303 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=340)
フィンランドの国民的作曲家であるシベリウス、生誕150周年で、様々な行事が企画されています。
(vol.17 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=33)
(vol.189 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=225)
彼はスウェーデン系で、生家ではスウェーデン語を話していたそうです。スウェーデンの交響楽団が来日した際、楽団員達が、彼の作品を母国の音楽のように語るのにはこういう背景があったのです。
北欧の長く、厳しい歴史の一端をみることが出来ます。
スウェーデンの友人達によると、ノルウェーの人達とは自国語での会話が成立するそうです。
フィンランドは、同じ隣国でも、東方から移住してきた人々で、民族が異なっているそうです。したがって、言語が異なるとのことでした。
このような事を考えると、我々が欧州や北欧を一括りにして話をすることの危うさが伺えます。
音楽は、種類を問わず、何でも聴きます。
若い時、クラシックの後に流行歌(今は死語か)をかけていたら、友に哂(わら)われたことがあります。
父が生きていた時、治療と癒しを求めて多くのお相撲さんが出入りしていました。その時、相撲甚句に接しました。
今では失ってしまった、ゆったりとした時の流れのなかで、朗々と唄われる相撲甚句は、哀愁を帯び、人々の心に別れの寂しさを掻き立ててくれます。
いろいろお世話になりました
お名残惜しゅうは 候(そうら)えど
今日はお別れ せにゃならぬ
我々発(た)ったる その後(あと)も
お家繁盛 町繁盛
悪い病(やまい)の 流行(はや)らぬよう
陰からお祈り いたします
この歌には、巡業を通じて昔から綿々と続いてきた、‟お相撲さん”と地域の人々との繋がりが、当時、如何に強かったかを今に伝えています。
個人的には、不世出の人気を誇った元大関貴ノ花を歌った相撲甚句が好きです。
彼の礼儀正しさ、誠実さ、ひたむきさ、亡き父の前で正座をして話をしている姿が眼に焼きついています。
(vol.157 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=190)
2月8日(1915、大正4年)歌人長塚節が亡くなっています。享年35というあまりにも短い生涯です。
水仙の花にむしろもおほひあへず
小さき庭をかせ時雨きぬ
長塚節
福島にもいくつか歌碑が残されています。
今週の花材は、両室とも花器の映える色取りです。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
果樹は剪定(せんてい)され、小枝は土に還(かえ)ろうと、地に並べられています。
透明な冷気のなか、鳥は囀(さえず)り、飛び舞っています。
枯葉は退き、青い新芽が芽生えています。笹の緑が残雪に鮮やかです。
愛弟子と食事に臨み、二人とも体調を崩してしまいました。弟子は一日休み、己は出勤するも半日で退出という有様(ありさま)です。
人にはそれぞれ心に沁みる音があります。音はありし日の情景を彷彿させてくれます。
体調を崩して、一つの音が遥かな昔を甦らせてくれました。
それは、土鍋でお粥を作る時のコトコトという音です。
幼い頃、母が作ってくれていた時のこの音、枕元で何度聞いたことか。
火加減をみながら、耳元に届く「コトコト」、今まで一度も思い出さなかった情景が眼前に顕(あらわ)れました。
庭では、海棠(カイドウ)、木蓮(モクレン)の芽がふくらみ始めています。
この時季、室内にはヒヤシンスの白を小さな花器にあしらって早春を楽しんでいます。
水仙の香りが、心まで和(なご)ませてくれます。
道すがらの香り、暫(しば)し、水仙の香りを聴いてしまいます。和水仙(ワスイセン)は、ラッパ水仙と違い、香りが大きな魅力の一つです。
李朝の大壺に水仙の投入れ、理想の設(しつら)えです。
風を聞きをり水仙の香ほのかなる
山頭火
若い時の越前海岸への旅、瞼の裏に残っています。御濠端の水仙も御濠に顔を向けています。
(vol.109 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=137)
(vol.303 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=340)
フィンランドの国民的作曲家であるシベリウス、生誕150周年で、様々な行事が企画されています。
(vol.17 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=33)
(vol.189 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=225)
彼はスウェーデン系で、生家ではスウェーデン語を話していたそうです。スウェーデンの交響楽団が来日した際、楽団員達が、彼の作品を母国の音楽のように語るのにはこういう背景があったのです。
北欧の長く、厳しい歴史の一端をみることが出来ます。
スウェーデンの友人達によると、ノルウェーの人達とは自国語での会話が成立するそうです。
フィンランドは、同じ隣国でも、東方から移住してきた人々で、民族が異なっているそうです。したがって、言語が異なるとのことでした。
このような事を考えると、我々が欧州や北欧を一括りにして話をすることの危うさが伺えます。
音楽は、種類を問わず、何でも聴きます。
若い時、クラシックの後に流行歌(今は死語か)をかけていたら、友に哂(わら)われたことがあります。
父が生きていた時、治療と癒しを求めて多くのお相撲さんが出入りしていました。その時、相撲甚句に接しました。
今では失ってしまった、ゆったりとした時の流れのなかで、朗々と唄われる相撲甚句は、哀愁を帯び、人々の心に別れの寂しさを掻き立ててくれます。
いろいろお世話になりました
お名残惜しゅうは 候(そうら)えど
今日はお別れ せにゃならぬ
我々発(た)ったる その後(あと)も
お家繁盛 町繁盛
悪い病(やまい)の 流行(はや)らぬよう
陰からお祈り いたします
この歌には、巡業を通じて昔から綿々と続いてきた、‟お相撲さん”と地域の人々との繋がりが、当時、如何に強かったかを今に伝えています。
個人的には、不世出の人気を誇った元大関貴ノ花を歌った相撲甚句が好きです。
彼の礼儀正しさ、誠実さ、ひたむきさ、亡き父の前で正座をして話をしている姿が眼に焼きついています。
(vol.157 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=190)
2月8日(1915、大正4年)歌人長塚節が亡くなっています。享年35というあまりにも短い生涯です。
水仙の花にむしろもおほひあへず
小さき庭をかせ時雨きぬ
長塚節
福島にもいくつか歌碑が残されています。
今週の花材は、両室とも花器の映える色取りです。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今週の花
【理事長室】
■アカシア〔銀葉アカシア〕 マメ科/常緑小
高木/オーストラリア原産で熱帯亜熱帯地域に
1200種が分布。やせ地でも良く育つため、温
暖な地域では街路樹に利用される。シルバーの
葉と枝垂れる枝いっぱいに咲く花が魅力。花期
は3〜4月で、黄色いボンボンのような球形花が
たくさん咲く。
■オンシジュウム〔ハニーエンジェル〕
ラン科/蝶が無数に舞飛んでいるような花姿。
400種程が熱帯亜熱帯地域に分布する蘭。一
般的に花弁に斑が入るが、「ハニーエンジェル」
は斑が無い鮮やかな花色。他に茶や白、ピンク
の花色もある。
■アジサイ〔斑入ガクアジサイ〕 ユキノシタ科
/落葉低木/花期は5〜7月で梅雨時期に綺
麗に花を咲かせる。「ガクアジサイ」は球形花で
はなく、花序とその周り萼片(装飾花)からなる。
斑入り葉は白い斑が入り爽やかな葉色が綺麗。
■ドラセナ〔ソングオブインディア〕 リュウゼ
ツラン科/インド産の常緑樹ドラセナ・レフレクサ
の園芸品種。笹のような葉形で、黄緑色と黄色
のストライプが入る明るい葉色。インテリアグリー
ンとしても人気。他に葉色が濃い「ジャマイカ」、
新芽だけ斑が入る「スリランカ」もある。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/3051.jpg
■アカシア〔銀葉アカシア〕 マメ科/常緑小
高木/オーストラリア原産で熱帯亜熱帯地域に
1200種が分布。やせ地でも良く育つため、温
暖な地域では街路樹に利用される。シルバーの
葉と枝垂れる枝いっぱいに咲く花が魅力。花期
は3〜4月で、黄色いボンボンのような球形花が
たくさん咲く。
■オンシジュウム〔ハニーエンジェル〕
ラン科/蝶が無数に舞飛んでいるような花姿。
400種程が熱帯亜熱帯地域に分布する蘭。一
般的に花弁に斑が入るが、「ハニーエンジェル」
は斑が無い鮮やかな花色。他に茶や白、ピンク
の花色もある。
■アジサイ〔斑入ガクアジサイ〕 ユキノシタ科
/落葉低木/花期は5〜7月で梅雨時期に綺
麗に花を咲かせる。「ガクアジサイ」は球形花で
はなく、花序とその周り萼片(装飾花)からなる。
斑入り葉は白い斑が入り爽やかな葉色が綺麗。
■ドラセナ〔ソングオブインディア〕 リュウゼ
ツラン科/インド産の常緑樹ドラセナ・レフレクサ
の園芸品種。笹のような葉形で、黄緑色と黄色
のストライプが入る明るい葉色。インテリアグリー
ンとしても人気。他に葉色が濃い「ジャマイカ」、
新芽だけ斑が入る「スリランカ」もある。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/3051.jpg
【秘書室】
■ファレノプシス ラン科/《名前の由来》
ギリシャ語の“phalaina”(蛾)と“opsis”(似
る)から。花姿が蛾に似ていることから/日本
では花姿が蝶に似ることから「胡蝶蘭」と呼ぶ。
贈答用の高級花として広く知られる。花色は
白・ピンクの他、黄色や絞り模様等の入る個
性的な品種もある。
■ミスカンサス ユリ科/白いラインの入っ
たしなやかな細長い葉。耐寒性・耐陰性が強
く、非常に丈夫なグリーン。白い斑の入らない
品種もある。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/3052.jpg
■ファレノプシス ラン科/《名前の由来》
ギリシャ語の“phalaina”(蛾)と“opsis”(似
る)から。花姿が蛾に似ていることから/日本
では花姿が蝶に似ることから「胡蝶蘭」と呼ぶ。
贈答用の高級花として広く知られる。花色は
白・ピンクの他、黄色や絞り模様等の入る個
性的な品種もある。
■ミスカンサス ユリ科/白いラインの入っ
たしなやかな細長い葉。耐寒性・耐陰性が強
く、非常に丈夫なグリーン。白い斑の入らない
品種もある。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/3052.jpg