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理事長室からの花だより
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理事長室からの花だより
vol.312 − 散 (ちる) −
4月(卯月)、出会いの季節です。出会いは、人生を豊かにしてくれます。
今朝、鶯(ウグイス)の声を聞きました。
都心では、様々な色の桜に出会えます。
例えば、大島桜(オオシマザクラ)、既に葉桜です。緑と白の対比が清楚です。春の風で花弁(はなびら)が舞い落ちています。白い色と散る桜、儚(はかな)さを象徴しています。
日本人が心寄せる心象風景の一つです。
花見は齢(とし)を取ってからの楽しみと呑気に構えていたら、己には花見の思い出が無いことに気付き、愕然(がくぜん)としています。
信夫の里、早い所では桜が咲き出しています。梅、桃、桜が一時にみられ、文字通り、三春です。
週末、仕事で都心を動き廻っていると、花を目指す若い男女の二人連れを多く目にします。
女性の笑顔と足取り、眩し過ぎる程輝いています。明るい未来を確信しているようです。
老生は、独り(ひとり)、考えながら歩いています。
花に何を視(み)ているかが、世代によって違うことに気付きました。
若者は、花に咲き誇った輝きをみています。老生は、散りゆく花の儚さに心寄せています。外国の人々は、華やかさを愛でています。
3者に共通しているのは、桜を愛でている時の顔です。楽しげで、穏やかな表情です。
街路樹としての桜、車道側の幹や枝が切り落とされています。痛々しげです。それでも歩道側で、精一杯、花の美しさをみせています。
人々が押し寄せる川岸や枝道(えだみち)での桜の群れ、川や道に大きな傘を差し掛けているように、上空を縁取りしています。
日本人の持っている自然観、川や壕端と桜が一体となっている取り合わせの風景に、我々は理想の美をみています。
背広やスーツが身体に合っていない若い男女が街に溢れています。
その頃の己の姿を思い出すと、赤面してしまいます。職場へ雪駄、白いチノパンツ(当時は、コットンパンツと呼んでいました)、上はTシャツかポロシャツという出立ち(いでたち)です。
(学長からの手紙No.28 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/028.html)
面接や出勤のために揃えたのであろう衣裳、同じ形、色です。情報化時代を象徴する一側面なのでしょうか。
着こなせていないのか、奴凧(やっこだこ・今は死語か)のようです。しかし、その姿は輝きを放っており、微笑ましさも感じます。修学旅行の一団と出会った時に感じる懐かしさやうらやましさ、あれと同じ心情です。
世情は常に明暗が交叉しています。
先日、本学の事務担当として、大学の組織改編に献身的に尽くして下さった方の、突然の、早過ぎる訃報に接しました。
桜をみると、亡くなった、戦友と言って良い職員の方々を想い出します。東京から移った南会津の小さな病院、福島での勤務の最初でした。
それから現在まで、その時々に、お天道様が遣わしてくれたのかと思える程、「人」がそこに居てくれました。
それらの人々は、その仕事が自分に与えられるのを以前から知っていたかのように、黙々と、確実に、結果を積み重ねて、課題を成し遂げて下さいました。
仕事を成し遂げると、それを見届けるかのように逝ってしまわれた職員の方々を想い出します。
行きくれて木の下蔭を宿とせば
花や今宵の主ならまし
平忠度
男の一生は戦い、その終わりを、淡く、花が包んでくれています。
古来、桜には死と結びつく何かがあるようです。
毎週、写真を撮ってくれていた弟子が大学を離れることになりました。
vol.28からvol.311まで、足掛け6年に渡り、この欄の構成に付き合ってくれました。色々な思いが胸を過(よぎ)ります。今週から別な方と又再びの船出です。
今週の花材は、執務室は田中一村の絵を思わせる勁(つよ)い佇まいです。
(vol.16 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=32)
(vol.63 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=89)
(vol.283 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=320)
秘書室は花器と花が意外性のある組み合わせです。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今朝、鶯(ウグイス)の声を聞きました。
都心では、様々な色の桜に出会えます。
例えば、大島桜(オオシマザクラ)、既に葉桜です。緑と白の対比が清楚です。春の風で花弁(はなびら)が舞い落ちています。白い色と散る桜、儚(はかな)さを象徴しています。
日本人が心寄せる心象風景の一つです。
花見は齢(とし)を取ってからの楽しみと呑気に構えていたら、己には花見の思い出が無いことに気付き、愕然(がくぜん)としています。
信夫の里、早い所では桜が咲き出しています。梅、桃、桜が一時にみられ、文字通り、三春です。
週末、仕事で都心を動き廻っていると、花を目指す若い男女の二人連れを多く目にします。
女性の笑顔と足取り、眩し過ぎる程輝いています。明るい未来を確信しているようです。
老生は、独り(ひとり)、考えながら歩いています。
花に何を視(み)ているかが、世代によって違うことに気付きました。
若者は、花に咲き誇った輝きをみています。老生は、散りゆく花の儚さに心寄せています。外国の人々は、華やかさを愛でています。
3者に共通しているのは、桜を愛でている時の顔です。楽しげで、穏やかな表情です。
街路樹としての桜、車道側の幹や枝が切り落とされています。痛々しげです。それでも歩道側で、精一杯、花の美しさをみせています。
人々が押し寄せる川岸や枝道(えだみち)での桜の群れ、川や道に大きな傘を差し掛けているように、上空を縁取りしています。
日本人の持っている自然観、川や壕端と桜が一体となっている取り合わせの風景に、我々は理想の美をみています。
背広やスーツが身体に合っていない若い男女が街に溢れています。
その頃の己の姿を思い出すと、赤面してしまいます。職場へ雪駄、白いチノパンツ(当時は、コットンパンツと呼んでいました)、上はTシャツかポロシャツという出立ち(いでたち)です。
(学長からの手紙No.28 http://www.fmu.ac.jp/univ/daigaku/letter/028.html)
面接や出勤のために揃えたのであろう衣裳、同じ形、色です。情報化時代を象徴する一側面なのでしょうか。
着こなせていないのか、奴凧(やっこだこ・今は死語か)のようです。しかし、その姿は輝きを放っており、微笑ましさも感じます。修学旅行の一団と出会った時に感じる懐かしさやうらやましさ、あれと同じ心情です。
世情は常に明暗が交叉しています。
先日、本学の事務担当として、大学の組織改編に献身的に尽くして下さった方の、突然の、早過ぎる訃報に接しました。
桜をみると、亡くなった、戦友と言って良い職員の方々を想い出します。東京から移った南会津の小さな病院、福島での勤務の最初でした。
それから現在まで、その時々に、お天道様が遣わしてくれたのかと思える程、「人」がそこに居てくれました。
それらの人々は、その仕事が自分に与えられるのを以前から知っていたかのように、黙々と、確実に、結果を積み重ねて、課題を成し遂げて下さいました。
仕事を成し遂げると、それを見届けるかのように逝ってしまわれた職員の方々を想い出します。
行きくれて木の下蔭を宿とせば
花や今宵の主ならまし
平忠度
男の一生は戦い、その終わりを、淡く、花が包んでくれています。
古来、桜には死と結びつく何かがあるようです。
毎週、写真を撮ってくれていた弟子が大学を離れることになりました。
vol.28からvol.311まで、足掛け6年に渡り、この欄の構成に付き合ってくれました。色々な思いが胸を過(よぎ)ります。今週から別な方と又再びの船出です。
今週の花材は、執務室は田中一村の絵を思わせる勁(つよ)い佇まいです。
(vol.16 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=32)
(vol.63 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=89)
(vol.283 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=320)
秘書室は花器と花が意外性のある組み合わせです。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今週の花
【理事長室】
■フィロデンドロン〔セローム〕 サトイモ科/常緑多
年草/《名前の由来》“木を好む”という意味で、木に絡
まって育つ姿に由来/亜熱帯地方に約200種あり、光
沢のある綺麗な葉を持つ。名前の由来の通り、蔓性の
品種が多いが「セローム」は茎がしっかりして自立する
品種。切れ込みの多い大きな葉が特徴で、おしゃれなイ
ンテリアグリーンとして人気。
■アンスリュウム〔トリニダ〕 サトイモ科/常緑多年草
/ロウ細工のようなツヤツヤの苞が特徴の南国の花。
花弁のように見える団扇(うちわ)状の部分は苞で、棒
状の部分が花。主に苞を鑑賞するため、非常に長く楽し
める。「トリニダ」は緑と赤の複色。
■ドラセナ〔ソングオブインディア〕 リュウゼツラン科
/日本で流通する観葉植物の代表種。「インディア」は
笹のような細長い葉で黄斑の入る、明るい葉色。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/3121.jpg
■フィロデンドロン〔セローム〕 サトイモ科/常緑多
年草/《名前の由来》“木を好む”という意味で、木に絡
まって育つ姿に由来/亜熱帯地方に約200種あり、光
沢のある綺麗な葉を持つ。名前の由来の通り、蔓性の
品種が多いが「セローム」は茎がしっかりして自立する
品種。切れ込みの多い大きな葉が特徴で、おしゃれなイ
ンテリアグリーンとして人気。
■アンスリュウム〔トリニダ〕 サトイモ科/常緑多年草
/ロウ細工のようなツヤツヤの苞が特徴の南国の花。
花弁のように見える団扇(うちわ)状の部分は苞で、棒
状の部分が花。主に苞を鑑賞するため、非常に長く楽し
める。「トリニダ」は緑と赤の複色。
■ドラセナ〔ソングオブインディア〕 リュウゼツラン科
/日本で流通する観葉植物の代表種。「インディア」は
笹のような細長い葉で黄斑の入る、明るい葉色。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/3121.jpg
【秘書室】
■モカラ〔カリプソ〕 ラン科/バンダ・アラクニス・アスコケ
ントルムの3種の蘭を交配した人工種。南国らしい鮮やかな
花色の品種が豊富。「カリプソ」はショッキングピンク。
■ラナンキュラス〔Mブルー〕 キンポウゲ科/球根植物
/《名前の由来》ラテン語の“rana”(蛙)に由来し、蛙の好
む湿地帯に自生することから。幾重にも重なる柔らかい花弁
が特徴。「Mブルー」は淡い紫色。
■カーネーション〔ノビオバーガンディ〕 ナデシコ科/多
年草/菊・バラと並び世界的に生産量の多い主要花。母の
日の花として古くから親しまれる。「ノビオ」シリーズは紫や
ボルドーを基調とした複輪が綺麗な品種。
■ユウギリソウ キキョウ科/多年草/小さな花が密集
してひとつの大きな花のように見える。一つひとつの花は筒
状で、雄しべが長く突き抜ける。
■スイートピー マメ科/一年草/一つひとつの花が蝶
のような花姿で、甘い香りを放つ。チューリップ・フリージアと
並ぶ春の代表花。
■タマシダ ツルシダ科/シダ植物/伊豆半島以西に
自生し、海岸近くの岩肌や木に着生。葉は羽状複葉で叢生
し、多くの楕円形の羽片をつける。常緑で葉を放射状に広げ
吊鉢仕立てのインテリアグリーンにも適する。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/3122.jpg
■モカラ〔カリプソ〕 ラン科/バンダ・アラクニス・アスコケ
ントルムの3種の蘭を交配した人工種。南国らしい鮮やかな
花色の品種が豊富。「カリプソ」はショッキングピンク。
■ラナンキュラス〔Mブルー〕 キンポウゲ科/球根植物
/《名前の由来》ラテン語の“rana”(蛙)に由来し、蛙の好
む湿地帯に自生することから。幾重にも重なる柔らかい花弁
が特徴。「Mブルー」は淡い紫色。
■カーネーション〔ノビオバーガンディ〕 ナデシコ科/多
年草/菊・バラと並び世界的に生産量の多い主要花。母の
日の花として古くから親しまれる。「ノビオ」シリーズは紫や
ボルドーを基調とした複輪が綺麗な品種。
■ユウギリソウ キキョウ科/多年草/小さな花が密集
してひとつの大きな花のように見える。一つひとつの花は筒
状で、雄しべが長く突き抜ける。
■スイートピー マメ科/一年草/一つひとつの花が蝶
のような花姿で、甘い香りを放つ。チューリップ・フリージアと
並ぶ春の代表花。
■タマシダ ツルシダ科/シダ植物/伊豆半島以西に
自生し、海岸近くの岩肌や木に着生。葉は羽状複葉で叢生
し、多くの楕円形の羽片をつける。常緑で葉を放射状に広げ
吊鉢仕立てのインテリアグリーンにも適する。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/3122.jpg