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理事長室からの花だより
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理事長室からの花だより
vol.362 − 包 (つつむ) −
大学に到着すると、朝陽が入って鏡の様(よう)に輝いている廊下が目に入ります。床で反射した光が周りを明るくしており、荘厳(そうごん)な感じがします。
毎日、丁寧に掃除をして磨き上げて下さっている方々に感謝です。
街中には菜の花、タンポポ、喇叭水仙(ラッパスイセン)、道端にパンジー(三色菫(サンシキスミレ))、アネモネ、チューリップ、オドリコソウ、山茱萸(サンシュユ)、ハナニラなど百花繚乱です。
木の花々、エニシダ、躑躅(ツツジ)、蘇芳(スオウ)、八重桜、花水木(ハナミズキ)、灯台躑躅(ドウダンツツジ)なども負けていません。青もみじが背景にあります。
花見の後は緑の季節です。
樹々の緑が輝き、匂い立っています。葉のさんざめきから風の季節が近いことを知ります。
菜の花のひとりひとりが手を振れり
ふたたび会えぬ四月 そのほか
駒田晶子
出会いと別れが交差する4月、一つひとつが一人ひとりに、菜の花を人間(ヒト)に置き換えると、風に揺れている菜の花に人間の心の揺れが重なります。二度と会えない時や全てに手を振る4月です。
花見弁当を目にすると、弁当の思い出が甦ります。
己の世代、田舎には給食はありませんでした。アルマイトの弁当箱に御飯とおかずを詰めて、学校に持参します。印象として残っているのが、冬です。教室のストーブの周りで、その後は別室での専用の大きな木製の保温箱で弁当を温める時の強烈な臭いです。沢庵(たくあん)などの漬物のせいでしょうか、教室に臭いが充満していました。
遠足では、どんな容器を持っていったかは忘れました。
只、ジャー式の水筒、開けたらガラス製の内装が壊れていたことが記憶にあります。遠出をする時は、竹の皮、経木(きょうぎ)でお結び(田舎ではおにぎりをこう呼んでいた筈(はず)です)を包んで持って行きました。
竹の皮や経木、己の世代では香りとともに“懐かしさ”を運んでくれる品です。
弁当は、今や“Bento”と化し、海外でも人気です。己の海外の見聞でも、ランチボックスと比べると大部(だいぶ)違います。
弁当が海外の人々にとっても人気のある理由は、我が国の豊かで、洗練された遊び心を弁当に見ているからでしょう。
現代の日本の弁当は、家庭で作る手作り弁当と市販されている商品としての弁当の2種類があります。
ホテルや会議室での弁当箱は、木製で、松花堂弁当が一般的です。
江戸時代の絵の具箱が起源とされ、中は4つに仕切られて、俵にした御飯や菜がきれいに盛り付けされています。
最近、見直されつつある弁当箱に弁当行李(べんとうごうり)や曲げわっぱがあります。
竹や柳で編んだり薄い木の板を曲げてつくった蓋付き容器です。天然素材で、先人達の知恵が詰まっています。
残念ながら、現代では当たり前の“レンジで温める”は出来ません。汁気のあるおかずも漏れ出してしまいます。
己は、これらを文房具を入れるのに使っています。時には、これにお結びを入れて花見に出掛けたものです。
江戸の昔の弁当を今でも味わうことが出来ます。日本橋弁松(べんまつ)総本店の折詰の弁当です。
東京駅で買って列車に乗れます。その味付けは、創業当時のそれを守っていて、現代の我々には少々味が濃いめです。只、江戸時代にタイムスリップ出来ることは請け合い(うけあい)ます。
残り少ない人生での弁当での食事、美しい器と目も楽しませてくれる食材を味わいたいものです。
付け足しです。駅弁についている使い捨ての割り箸、弁当箱の前身である破子(わりご)、両方とも薄い木でつくられ、捨てていました。破(わり)と割(わり)は、“使い捨て”、語源が同じです。
今週の花材は、両室とも、葉の緑が清々(すがすが)しい印象を与えます。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
毎日、丁寧に掃除をして磨き上げて下さっている方々に感謝です。
街中には菜の花、タンポポ、喇叭水仙(ラッパスイセン)、道端にパンジー(三色菫(サンシキスミレ))、アネモネ、チューリップ、オドリコソウ、山茱萸(サンシュユ)、ハナニラなど百花繚乱です。
木の花々、エニシダ、躑躅(ツツジ)、蘇芳(スオウ)、八重桜、花水木(ハナミズキ)、灯台躑躅(ドウダンツツジ)なども負けていません。青もみじが背景にあります。
花見の後は緑の季節です。
樹々の緑が輝き、匂い立っています。葉のさんざめきから風の季節が近いことを知ります。
菜の花のひとりひとりが手を振れり
ふたたび会えぬ四月 そのほか
駒田晶子
出会いと別れが交差する4月、一つひとつが一人ひとりに、菜の花を人間(ヒト)に置き換えると、風に揺れている菜の花に人間の心の揺れが重なります。二度と会えない時や全てに手を振る4月です。
花見弁当を目にすると、弁当の思い出が甦ります。
己の世代、田舎には給食はありませんでした。アルマイトの弁当箱に御飯とおかずを詰めて、学校に持参します。印象として残っているのが、冬です。教室のストーブの周りで、その後は別室での専用の大きな木製の保温箱で弁当を温める時の強烈な臭いです。沢庵(たくあん)などの漬物のせいでしょうか、教室に臭いが充満していました。
遠足では、どんな容器を持っていったかは忘れました。
只、ジャー式の水筒、開けたらガラス製の内装が壊れていたことが記憶にあります。遠出をする時は、竹の皮、経木(きょうぎ)でお結び(田舎ではおにぎりをこう呼んでいた筈(はず)です)を包んで持って行きました。
竹の皮や経木、己の世代では香りとともに“懐かしさ”を運んでくれる品です。
弁当は、今や“Bento”と化し、海外でも人気です。己の海外の見聞でも、ランチボックスと比べると大部(だいぶ)違います。
弁当が海外の人々にとっても人気のある理由は、我が国の豊かで、洗練された遊び心を弁当に見ているからでしょう。
現代の日本の弁当は、家庭で作る手作り弁当と市販されている商品としての弁当の2種類があります。
ホテルや会議室での弁当箱は、木製で、松花堂弁当が一般的です。
江戸時代の絵の具箱が起源とされ、中は4つに仕切られて、俵にした御飯や菜がきれいに盛り付けされています。
最近、見直されつつある弁当箱に弁当行李(べんとうごうり)や曲げわっぱがあります。
竹や柳で編んだり薄い木の板を曲げてつくった蓋付き容器です。天然素材で、先人達の知恵が詰まっています。
残念ながら、現代では当たり前の“レンジで温める”は出来ません。汁気のあるおかずも漏れ出してしまいます。
己は、これらを文房具を入れるのに使っています。時には、これにお結びを入れて花見に出掛けたものです。
江戸の昔の弁当を今でも味わうことが出来ます。日本橋弁松(べんまつ)総本店の折詰の弁当です。
東京駅で買って列車に乗れます。その味付けは、創業当時のそれを守っていて、現代の我々には少々味が濃いめです。只、江戸時代にタイムスリップ出来ることは請け合い(うけあい)ます。
残り少ない人生での弁当での食事、美しい器と目も楽しませてくれる食材を味わいたいものです。
付け足しです。駅弁についている使い捨ての割り箸、弁当箱の前身である破子(わりご)、両方とも薄い木でつくられ、捨てていました。破(わり)と割(わり)は、“使い捨て”、語源が同じです。
今週の花材は、両室とも、葉の緑が清々(すがすが)しい印象を与えます。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今週の花
【理事長室】
■ナナカマド バラ科/落葉高木/《名前の由来》カ
マドに7度入れても燃え残るくらい燃えにくいことから(一
説)/花期は初夏で1cm程の小さな花が集まって房状
に開花。花後5mmほどの実をつけ、秋に熟すと真っ赤
に色づく。
■LAユリ〔セラダ〕 ユリ科/球根植物/《名前の
由来》鉄砲百合 (Longifrorum hybrid) とスカシユリ
(Asiatic hybrid) を掛け合わせた品種。両種の良い
所を持ち合わせた中輪咲のユリ。「セラダ」は鮮やかな
黄色。
■トルコギキョウ〔アンバーダブルミント〕 リンドウ科
/多年草/アメリカ原産で当初は紫の一重咲のみ。19
70年代以降に、多彩な花色や花形が楽しめるようにな
る。現在出回っている大半の品種が日本産。「アンバー」
シリーズは花弁が堅く、花持ちの良い品種。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/3621.jpg
■ナナカマド バラ科/落葉高木/《名前の由来》カ
マドに7度入れても燃え残るくらい燃えにくいことから(一
説)/花期は初夏で1cm程の小さな花が集まって房状
に開花。花後5mmほどの実をつけ、秋に熟すと真っ赤
に色づく。
■LAユリ〔セラダ〕 ユリ科/球根植物/《名前の
由来》鉄砲百合 (Longifrorum hybrid) とスカシユリ
(Asiatic hybrid) を掛け合わせた品種。両種の良い
所を持ち合わせた中輪咲のユリ。「セラダ」は鮮やかな
黄色。
■トルコギキョウ〔アンバーダブルミント〕 リンドウ科
/多年草/アメリカ原産で当初は紫の一重咲のみ。19
70年代以降に、多彩な花色や花形が楽しめるようにな
る。現在出回っている大半の品種が日本産。「アンバー」
シリーズは花弁が堅く、花持ちの良い品種。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/3621.jpg
【秘書室】
■ダリア〔ディープアプリコット〕 キク科/多
年年草/《名前の由来》スウェーデンの植物学
者ダールの名から/世界で3万種以上もあり、
品種がとても豊富。花径が3cm程の小輪から
30cm以上にもなる巨大輪まである。
■紅花(ベニバナ) キク科/一年草/アザ
ミに似た花姿で、初夏〜夏にかけて開花。西ア
ジア・地中海沿岸原産で、飛鳥時代に渡来。
「末摘花」や「くれない」の名前で万葉集にも多
く登場し、古くから親しまれる 。花は染料や化
粧品、薬用に利用され、タネからは紅花油がと
れる。
■アンスリュウム〔ローザ〕 サトイモ科/常
緑多年草/光沢があり、造花と見間違うような
花。花弁のように見える団扇状の部分は苞で、
棒状の部分が花序。
■トルコギキョウ〔ゆずなネオ〕
(理事長室と同花材)
「ゆずなネオ」は小輪一重咲の可憐な品種。
■ドラセナ〔サンデイアーナヴィクトリー〕
リュウゼツラン科/笹のような細長い葉とスト
ライプの斑が特徴。「ヴィクトリー」は深緑色に
白斑が入る品種。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/3622.jpg
■ダリア〔ディープアプリコット〕 キク科/多
年年草/《名前の由来》スウェーデンの植物学
者ダールの名から/世界で3万種以上もあり、
品種がとても豊富。花径が3cm程の小輪から
30cm以上にもなる巨大輪まである。
■紅花(ベニバナ) キク科/一年草/アザ
ミに似た花姿で、初夏〜夏にかけて開花。西ア
ジア・地中海沿岸原産で、飛鳥時代に渡来。
「末摘花」や「くれない」の名前で万葉集にも多
く登場し、古くから親しまれる 。花は染料や化
粧品、薬用に利用され、タネからは紅花油がと
れる。
■アンスリュウム〔ローザ〕 サトイモ科/常
緑多年草/光沢があり、造花と見間違うような
花。花弁のように見える団扇状の部分は苞で、
棒状の部分が花序。
■トルコギキョウ〔ゆずなネオ〕
(理事長室と同花材)
「ゆずなネオ」は小輪一重咲の可憐な品種。
■ドラセナ〔サンデイアーナヴィクトリー〕
リュウゼツラン科/笹のような細長い葉とスト
ライプの斑が特徴。「ヴィクトリー」は深緑色に
白斑が入る品種。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana/3622.jpg