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理事長室からの花だより

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2009.06.26

vol.36  − 梅雨(つゆ) −

庭ではつつじが盛りを過ぎ、紫陽花(あじさい)の季節がやってきました。
子供の頃の我が家は借家で、雨が降ると敷地に水が溜まるような低地にありました。日陰で、湿地を好む紫陽花が、毎年、井戸ポンプの端で咲いていました。このような幼児体験のせいか、紫陽花は今でもあまり好きになれません。どんな人間も、それまでの人生の道々での経験によって形づくられた「自分」を変えることは難しいことを実感します。

一方、梅雨は植栽には潤いを、人には細雨(こまあめ)のような細やかさと穏やかさをも与えてくれるように思います。雨の中を歩くのは鬱陶しいものですが、屋内で眺めている分には人間を一時、“哲人”にしてくれます。
梅雨は我が国特有な気候と思っていましたが、違うようです。唐詩新選(陳舜臣著、中央公論新社)に「梅雨」と題する杜甫の五言律詩が紹介されています。
    湛湛として長江去り
         冥冥として細雨来たる
公務で武漢に出張した際に長江の海のようなスケールの大きさに圧倒されただけに、この詩の調べが実感出来ます。

この時期、日照時間が一年中で最も長く、早朝と帰宅後に散歩をしている人を多くみかけます。
ちなみに、福島市では日の出の最も早いのは6月6日から21日にかけての4時16分です。日の入りの最も遅いのは、6月22日から7月4日にかけての19時4分です。これからは日毎に、日照時間が短くなっていくことを考えると、寂しくなります。
“今”を楽しめば良いのに、“先”をみてしまうのは“年寄り”になったせいでしょうか。

久し振りにギャラリーと美術館に行ってきました。高橋和海の「High Tide Wane Moon展」と「板谷波山をめぐる近代陶磁展」です。前者の、ある一枚の写真に魅入られて購入してしまいました。
(感動の御裾分けをします。楽しんでください。
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/36_high_tide_wane_moon.jpg)。
しかし、我が国の梅雨を象徴するような波山の葆光彩(ほこうさい)は、薄い絹越しの白を感じさせてくれます。いつみても、見飽きるということがありません。


(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)



今週の花


【理事長室】
■ガマ
ガマ科 多年草
日本全土の川辺や沼、池などの湿地に群生。
草丈は1.5〜2mになり菖蒲の葉を大型にしたよ
うな線形。
花序は2段に分かれ、下方が雌花序、上方が雄
花序。
花粉を乾燥させたものが生薬で蒲黄(ほおう)。
地下茎が泥の中を縦横に走り、芽をだして繁殖す
る他、種子のついた綿毛が飛散する。

ガマの他、ヒメガマ、コガマがある。
コガマはその名の通り、ガマを小型にしたもので
草丈も1m程で花序も小さい。
ヒメガマはガマに比べ花序、葉ともに細く、雌花序
と雄花序が離れており、緑色の軸がみえるのが
特徴。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/361.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)


【秘書室】
■ガマ(縞ガマ)
ガマ科 多年草
(理事長室分の説明をご参照ください)
縞ガマは葉色が縞々になり、より涼しげな印象の葉。

■グロリオサ(ピクシー)
ユリ科 球根植物
原産:アフリカ、熱帯アジア
《名前の由来》栄光や見事なを意味するグラリオラス(ラテン語)か
ら。
炎のような花姿と派手な色合いが特徴でポピュラーな花色は赤。
ピクシーは淡い黄色で花弁の真ん中に茶のラインが入る。
※拡大写真http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/362.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)

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