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理事長室からの花だより

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理事長室からの花だより

2009.07.21

vol.39  − 懐旧 −

早朝に、大学の執務棟に向かう時、病院のアプローチに松葉菊が芝の緑とともにくっきりとした赤紫色の帯を作り、鮮やかなコントラストで目を覚ましてくれます。
学内の植栽の素晴らしさを見るにつけ、設計者の創造力、そして20年後を見据えた設置者の決断(相当な予算だった筈)に改めて敬意を覚えます。現在の維持管理費も相当なものですが、医療機関には必要な経費だと思います。

「過去は単なるプロローグに過ぎない」と言います。
残念ながら、「想い出」に浸ることが「夢」を語るよりも多くなった私のような「老人」は、過去のささやかなエピソードを時々鮮やかに想い出します。

帰宅時に空を見れば、満月が夜の闇を一層際立たせています。
闇といえば、学生時代に見た映画「アラモ」でリチャード・ウィドマーク(今は勿論、当時もあまり目立ちませんでしたが)が、確か、総攻撃の前の晩に「夜がこんなに暗いとは・・」とつぶやく場面を巡って、仲間と熱く語り合ったことを想い出します。

今から20年程前に、約8年間、大学から奥会津に毎週通っていました。
その時に木の葉の緑が標高により、また季節により、さらには種類により全く異なった色調をみせてくれることに気付きました。これに光の多寡が加わると、真に“一つとして同じ緑無し”という感じでした。特に、ブナ林の木洩れ日の和らかさと光を通した葉の淡い緑が心に残りました。

この季節になると、今は取り壊されて無い実家の出窓の軒先にあった釣忍(つりしのぶ)を想い出します。
我が家のそれは、炭を芯にしてヤマゴケが表面を覆っていました。
患者さん達が中心になって作って戴いた、骨接ぎだった父の追悼集が「しのぶ草」という題名でした。
しのぶという字に、「耐え忍ぶ」と「偲ぶ」を掛けたようです。
忍ぶ草は、私の一世代前までは多くの人の心を惹きつけていたようです。


(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)



今週の花


【理事長室】
■木苺
バラ科 半落葉低木
ラズベリーやブラックベリーなどの総称で木に
なる苺。
春に苺に似た小さな白い花が咲く。

葉はヤツデのように切れ込みが深い。

■エキナセア
キク科 多年草
原産:アメリカ
別名「馬簾菊」
【名前の由来】ギリシャ語でハリネズミを意味
するechinosが語源。
花が咲き進むにつれ、花の中央部が盛りあが
り、花弁が垂れ下がってバトミントンのシャトル
のような花姿になる。
花弁が垂れ下がった状態が馬簾(火消しのと
きに用いたまといの飾り)に似ていることが別
名の由来。
切花では花弁を取った状態で流通し、栗を思
わせる姿が人気。
風邪の予防などに効果のあるハーブ。

■リューカデンドロン(ローレオルム)
ヤマモガシ科
原産:南アフリカ
【名前の由来】ギリシャ語で白(リューカ)と木
(デンドロン)から。
ローレオルムは大輪のグリーン色。
他、中輪、小輪や赤く色づく品種やシルバー
の細かい毛に覆われた品種もある。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/391.jpg
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【秘書室】
■オーニソガラム(サンデルシー)
ユリ科 球根植物
原産:南アフリカ
別名「オオアマナ」
小さな星型の花を次々と咲かせ、非常に長く楽し
める花。
サンデルシーはクリームがかった白色。

■エリンジューム(セレナータ)
セリ科 多年草
原産:ヨーロッパ
本来のエリンジュームはアザミのような青紫色の
トゲトゲした花姿。
セレナータはワレモコウとそっくりで小さな茶色の
花。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/392.jpg
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