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理事長室からの花だより
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理事長室からの花だより
vol.46 − 迷い −
秋の七草(尾花〔すすき〕、萩〔はぎ〕、撫子〔なでしこ〕、女郎花〔おみなえし〕、藤袴〔ふじばかま〕、桔梗〔ききょう〕、葛〔くず〕)の季節です。
大学への路傍に咲いている萩と尾花が、朝の気負いを慰撫してくれます。春の七草が食用であるのに対して、秋の七草は観賞です。
人生は後悔しながら歩みを続けていくものだと分かってはいても、最近の私を取り巻く環境は、次々と対応を迫られる事態が続出して心の平穏を保つのが至難です。
自分が信じて若い時から実践してきた哲学、あるいは大学が掲げているビジョンが、組織の一人一人に充分浸透していないような気がして不安です。一生の仕事に対する時代の空気や人の心が変わったのか、あるいは組織の構造や制度上の問題なのか、心の裡が波立っています。
私のような凡庸な人間は「愚直なる継続」が最大の武器と信じて、目の前の課題に取り組んできました。難局や悲嘆の場に向き合ったときには、弟子や関係者に「疾風に勁草を知る」(後漢書「王覇伝」)と説き、怯まず、逃げずに自らの成長、そして良き人材の発掘・育成の機会にしようと督励してきました。
しかし今は、「人生はたった一度なのに、あやまちは何度でも繰り返せるものなのね」という、小説での皮肉の利いたセリフが心に突き刺さります。(レイモンド・チャンドラー「待っている」より)
先日、遠方の友人から「花の費用が大学から出ているのではないかと考えている人が居る」と聞かされて愕然としました。「行蔵は我に存す、毀誉は他人の主張」(勝海舟)、「知られざるを憂えず」(孔子)と割り切ってはいますが、やり切れないという想いは拭い切れません。花器も花も自己負担でやっています!
もしこの費用を大学から出して戴けるなら、ホテルオークラ東京のロビーに設けられている、季節の変化を知らせてくれる木々や草の花の設えを病院のロビーに再現します。随分昔、ホテルオークラ東京で高齢な(?)女性が伊豆(?)から上京して活けていた頃には、活け変える毎に見学に行ったものです。
こう考えるのは、医療機関を、患者さんだけでなく健康な住民も集うような場所にしたいという想いが私にあるからです。
現在の医療はcureだけでなくcareの視点も必要です。また、健病、老若、男女、人工と自然、都市と村落が渾然一体となってバランス良く世間が形成されているのが自然の形です。
医療機関も世間の有り様と同じ方がいいと思いませんか。
今週の花は、撫子(厳密には浜撫子)と藤袴(厳密には西洋フジバカマ)を活けて戴きました。秋の雰囲気を、画面を通して楽しんで下さい。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
大学への路傍に咲いている萩と尾花が、朝の気負いを慰撫してくれます。春の七草が食用であるのに対して、秋の七草は観賞です。
人生は後悔しながら歩みを続けていくものだと分かってはいても、最近の私を取り巻く環境は、次々と対応を迫られる事態が続出して心の平穏を保つのが至難です。
自分が信じて若い時から実践してきた哲学、あるいは大学が掲げているビジョンが、組織の一人一人に充分浸透していないような気がして不安です。一生の仕事に対する時代の空気や人の心が変わったのか、あるいは組織の構造や制度上の問題なのか、心の裡が波立っています。
私のような凡庸な人間は「愚直なる継続」が最大の武器と信じて、目の前の課題に取り組んできました。難局や悲嘆の場に向き合ったときには、弟子や関係者に「疾風に勁草を知る」(後漢書「王覇伝」)と説き、怯まず、逃げずに自らの成長、そして良き人材の発掘・育成の機会にしようと督励してきました。
しかし今は、「人生はたった一度なのに、あやまちは何度でも繰り返せるものなのね」という、小説での皮肉の利いたセリフが心に突き刺さります。(レイモンド・チャンドラー「待っている」より)
先日、遠方の友人から「花の費用が大学から出ているのではないかと考えている人が居る」と聞かされて愕然としました。「行蔵は我に存す、毀誉は他人の主張」(勝海舟)、「知られざるを憂えず」(孔子)と割り切ってはいますが、やり切れないという想いは拭い切れません。花器も花も自己負担でやっています!
もしこの費用を大学から出して戴けるなら、ホテルオークラ東京のロビーに設けられている、季節の変化を知らせてくれる木々や草の花の設えを病院のロビーに再現します。随分昔、ホテルオークラ東京で高齢な(?)女性が伊豆(?)から上京して活けていた頃には、活け変える毎に見学に行ったものです。
こう考えるのは、医療機関を、患者さんだけでなく健康な住民も集うような場所にしたいという想いが私にあるからです。
現在の医療はcureだけでなくcareの視点も必要です。また、健病、老若、男女、人工と自然、都市と村落が渾然一体となってバランス良く世間が形成されているのが自然の形です。
医療機関も世間の有り様と同じ方がいいと思いませんか。
今週の花は、撫子(厳密には浜撫子)と藤袴(厳密には西洋フジバカマ)を活けて戴きました。秋の雰囲気を、画面を通して楽しんで下さい。
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今週の花
【理事長室】
■サワフタギ(沢蓋木)
ハイノキ科/落葉低木/《名前の由来》沢に
覆いかぶさるように生い茂ることから/4〜5
月頃に花が咲き、秋に果実が藍色となり美し
い。花は白色で、雄しべが花弁より長く綿毛の
ようにみえる。
■秋色アジサイ
ユキノシタ科/落葉低木/《名前の由来》秋
色アジサイという品種はなく、お花の最盛期を
過ぎ、花色がアンティークカラーに変化した西
洋アジサイの流通名/西洋アジサイ(ハイドラ
ンジア)は、日本のアジサイが中国を経てヨー
ロッパに渡り、品種改良されたもので、大きく
て華やかなものが多い。
■西洋フジバカマ
キク科/多年草/原産:北アメリカ/秋の七
草のひとつであるフジバカマは中国原産。本
来のフジバカマは園芸用に栽培されるのがほ
とんどで、自生種は絶滅に近い。フジバカマは
ピンク(藤色)で草丈1m程、西洋は淡青紫
(白もある)で草丈も50cm程。
■浜撫子(ラベンダーピンク)
ナデシコ科/多年草/《名前の由来》海岸の
崖地や砂浜に生育していることから/光沢の
ある厚めの葉が特徴で、潮風などによる水分
の蒸発を防いでいる。秋の七草のひとつであ
るナデシコは「河原撫子」をさす。ナデシコの名
前の由来は可憐な花で、撫でたいほど可愛い
子に例えて「撫でし子」。
■ミスカンサス
ユリ科/多年草/白いラインの入った細い
葉。しなやかで束ねたりカールさせたり出来
る。常緑で耐寒性耐陰性も強く、ガーデニング
でも人気。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/461.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)
■サワフタギ(沢蓋木)
ハイノキ科/落葉低木/《名前の由来》沢に
覆いかぶさるように生い茂ることから/4〜5
月頃に花が咲き、秋に果実が藍色となり美し
い。花は白色で、雄しべが花弁より長く綿毛の
ようにみえる。
■秋色アジサイ
ユキノシタ科/落葉低木/《名前の由来》秋
色アジサイという品種はなく、お花の最盛期を
過ぎ、花色がアンティークカラーに変化した西
洋アジサイの流通名/西洋アジサイ(ハイドラ
ンジア)は、日本のアジサイが中国を経てヨー
ロッパに渡り、品種改良されたもので、大きく
て華やかなものが多い。
■西洋フジバカマ
キク科/多年草/原産:北アメリカ/秋の七
草のひとつであるフジバカマは中国原産。本
来のフジバカマは園芸用に栽培されるのがほ
とんどで、自生種は絶滅に近い。フジバカマは
ピンク(藤色)で草丈1m程、西洋は淡青紫
(白もある)で草丈も50cm程。
■浜撫子(ラベンダーピンク)
ナデシコ科/多年草/《名前の由来》海岸の
崖地や砂浜に生育していることから/光沢の
ある厚めの葉が特徴で、潮風などによる水分
の蒸発を防いでいる。秋の七草のひとつであ
るナデシコは「河原撫子」をさす。ナデシコの名
前の由来は可憐な花で、撫でたいほど可愛い
子に例えて「撫でし子」。
■ミスカンサス
ユリ科/多年草/白いラインの入った細い
葉。しなやかで束ねたりカールさせたり出来
る。常緑で耐寒性耐陰性も強く、ガーデニング
でも人気。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/461.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)
【秘書室】
■トウガラシ(ブラックエース)
ナス科/原産:中南米/ブラックエースは切花用トウ
ガラシの最新品種。果実は細長く、光沢のある黒色
で、熟すと赤くなる。
■キングプロテア
ヤマモガシ科/原産:南アフリカ/直径30cmにもな
るダイナミックな花で草丈は2〜3m。“花の王様”と
も呼ばれる。花弁のように見える部分は総苞片で、
その中に花序がある。南アフリカ共和国の国花。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/462.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)
■トウガラシ(ブラックエース)
ナス科/原産:中南米/ブラックエースは切花用トウ
ガラシの最新品種。果実は細長く、光沢のある黒色
で、熟すと赤くなる。
■キングプロテア
ヤマモガシ科/原産:南アフリカ/直径30cmにもな
るダイナミックな花で草丈は2〜3m。“花の王様”と
も呼ばれる。花弁のように見える部分は総苞片で、
その中に花序がある。南アフリカ共和国の国花。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/462.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)