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理事長室からの花だより
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理事長室からの花だより
vol.47 − 覚悟 −
「頭を下げないことがプライドではなく、頭を下げた後に残るものがプライド」(重松清『送り火』)、
そして「勇気とは恐怖の不在ではなく、恐怖を感じつつも威厳をもって前進する能力」(スコット・トゥロー『立証責任』)を心に刻んでの毎日です。
脊椎外科医として「どうせ後悔するなら考え得るすべての手を打って後悔した方が良い」を信念として生きてきました。しなかったことの後悔は、一生随いて廻り、虚しいものだからです。
修羅場では、浮き足立った「浅き瀬にこそ仇波は立て」類の言動は何の役にも立ちません。
「組織の管理・運営」と「教育」という決して一点に集束することのない相克の中で、我が身の保身を考えていては、短く、そして狭い人生の中で出会った(側にいる)掛け替えのない人々を護れません。
只、喧騒のなか必死で動いていると、ふと「この役が即ち生だとは考えられない。背後(うしろ)にある或る物が真の生ではあるまいか」という森鴎外のつぶやきが私の脳裡を過ぎります。
こんな日々の中では、独り自宅で、学生時代に彼の地で購入した臼杵の大日如来像の頭部レプリカに語りかけてしまいます。
磨崖仏のある高台からの当時の眺めは、真に日本の原風景でした。「平穏」を考えるとき必ず脳裡に浮かぶシーンです。
仕事で岐阜に行ってきました。岐阜では、岐阜県美術館での熊谷守一の「ヤキバノカエリ」とジャコモ・マンズーの「大きな枢機卿」というブロンズ像の鑑賞という楽しみがあります。今回は、熊谷守一の展示の右端に、観たことのなかった明るい色調の婦人図『はだか立像』があって得をした気分です。文章、絵画、そして工芸では、削ることで、単純な線や形に美や崇高さが宿るのだということを改めて教えられます。
地方の美術館の普段は、貸し切り状態で、至福の時を過ごせます。以前、オランダのハーグにあるマウリッツハイス美術館に行ってフェルメールの「デルフト眺望」と「真珠の耳飾りの少女」を鑑賞しました。雨の午前だったからでしょうか、館内はガードマン一人だけでした。今でもその時の静謐さと自然光の和やかさが甦ってきます。
先日、栗と栃の実を拾いました。栗は子供時代を、栃の実は前任地(福島県南会津地方)を想い出させてくれます。庭には金木犀(キンモクセイ)、道端には女郎花(オミナエシ)と曼珠沙華(マンジュシャゲ)、何れも元気がありません。そう見えるのは、自分の心を映しているからでしょう。
学生時代の旅で立ち寄った能登半島の禄剛崎(ろっこうさき)を歌った「九月尽遙に能登の岬かな、暁台」(長谷川櫂、『国民的俳句百選』)の心象は、今の年齢や環境では取り戻せないのでしょうか…。
●福島市内の彼岸花(曼珠沙華) ( ※ 福島民報HPより)
http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4144&mode=0&classId=0&blockId=3913568&newsMode=article
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
そして「勇気とは恐怖の不在ではなく、恐怖を感じつつも威厳をもって前進する能力」(スコット・トゥロー『立証責任』)を心に刻んでの毎日です。
脊椎外科医として「どうせ後悔するなら考え得るすべての手を打って後悔した方が良い」を信念として生きてきました。しなかったことの後悔は、一生随いて廻り、虚しいものだからです。
修羅場では、浮き足立った「浅き瀬にこそ仇波は立て」類の言動は何の役にも立ちません。
「組織の管理・運営」と「教育」という決して一点に集束することのない相克の中で、我が身の保身を考えていては、短く、そして狭い人生の中で出会った(側にいる)掛け替えのない人々を護れません。
只、喧騒のなか必死で動いていると、ふと「この役が即ち生だとは考えられない。背後(うしろ)にある或る物が真の生ではあるまいか」という森鴎外のつぶやきが私の脳裡を過ぎります。
こんな日々の中では、独り自宅で、学生時代に彼の地で購入した臼杵の大日如来像の頭部レプリカに語りかけてしまいます。
磨崖仏のある高台からの当時の眺めは、真に日本の原風景でした。「平穏」を考えるとき必ず脳裡に浮かぶシーンです。
仕事で岐阜に行ってきました。岐阜では、岐阜県美術館での熊谷守一の「ヤキバノカエリ」とジャコモ・マンズーの「大きな枢機卿」というブロンズ像の鑑賞という楽しみがあります。今回は、熊谷守一の展示の右端に、観たことのなかった明るい色調の婦人図『はだか立像』があって得をした気分です。文章、絵画、そして工芸では、削ることで、単純な線や形に美や崇高さが宿るのだということを改めて教えられます。
地方の美術館の普段は、貸し切り状態で、至福の時を過ごせます。以前、オランダのハーグにあるマウリッツハイス美術館に行ってフェルメールの「デルフト眺望」と「真珠の耳飾りの少女」を鑑賞しました。雨の午前だったからでしょうか、館内はガードマン一人だけでした。今でもその時の静謐さと自然光の和やかさが甦ってきます。
先日、栗と栃の実を拾いました。栗は子供時代を、栃の実は前任地(福島県南会津地方)を想い出させてくれます。庭には金木犀(キンモクセイ)、道端には女郎花(オミナエシ)と曼珠沙華(マンジュシャゲ)、何れも元気がありません。そう見えるのは、自分の心を映しているからでしょう。
学生時代の旅で立ち寄った能登半島の禄剛崎(ろっこうさき)を歌った「九月尽遙に能登の岬かな、暁台」(長谷川櫂、『国民的俳句百選』)の心象は、今の年齢や環境では取り戻せないのでしょうか…。
●福島市内の彼岸花(曼珠沙華) ( ※ 福島民報HPより)
http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4144&mode=0&classId=0&blockId=3913568&newsMode=article
(福島県立医科大学理事長 菊地臣一)
今週の花
【理事長室】
■アマランサス(ハンギングレッド)
ヒユ科/原産:熱帯アメリカ/別名「紐鶏頭」/モコモ
コとした小さな毛糸玉がつながったような花姿。紐状に
垂れ下がって咲く。花穂がグリーンの「ハンギンググ
リーン」もある。
■豆柿
カキノキ科/落葉高木/原産:中国/別名「シナノガ
キ ブドウガキ」/1〜2cmほどの小さな実が、秋に橙
に色づきはじめ、霜が降りる頃に真っ黒に熟す。未熟
な果実から柿渋を採るために古くから栽培される。近
年は実の可愛さから盆栽など観賞用として栽培。
■カラテア(リーツェイ)
クズウコン科/原産:ブラジル/独特の葉の色、模
様、形が特徴。リーツェイは光沢があり表面が濃緑色
地に矢羽根状の斑が入り、裏面は紫色。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/47_zoom1.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)
■アマランサス(ハンギングレッド)
ヒユ科/原産:熱帯アメリカ/別名「紐鶏頭」/モコモ
コとした小さな毛糸玉がつながったような花姿。紐状に
垂れ下がって咲く。花穂がグリーンの「ハンギンググ
リーン」もある。
■豆柿
カキノキ科/落葉高木/原産:中国/別名「シナノガ
キ ブドウガキ」/1〜2cmほどの小さな実が、秋に橙
に色づきはじめ、霜が降りる頃に真っ黒に熟す。未熟
な果実から柿渋を採るために古くから栽培される。近
年は実の可愛さから盆栽など観賞用として栽培。
■カラテア(リーツェイ)
クズウコン科/原産:ブラジル/独特の葉の色、模
様、形が特徴。リーツェイは光沢があり表面が濃緑色
地に矢羽根状の斑が入り、裏面は紫色。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/47_zoom1.jpg
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【秘書室】
■サンダーソニア
ユリ科/球根植物/原産:南アフリカ/別名「クリスマスベル」
/《名前の由来》この花の発見者サンダーソン氏の名から/オ
レンジ色の小さなベルをたくさん付けたような可愛らしい花姿。
■ムギ(ワイルドオーツ)
イネ科/多年草/原産:北アメリカ/ゆらゆらと風になびく小判
型の花穂が特徴。小判草を平べったくしたような花姿で「ニセコ
バンソウ」の別名もある。枯れても散ることなく、ドライでも楽しめ
る。
■風船葛
ムクロジ科/蔓性一年草/原産:熱帯アメリカ夏に小さな花を
咲かせ、紙風船のような形をした空洞の果実をつける。蔓性で
他の植物やフェンスなどに絡まり成長。実が熟すと茶色に変わ
り、種が3つ採れる。黒い種子にハート型の白い模様が入る。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/47_zoom2.jpg
(無断転載等はご遠慮ください)
■サンダーソニア
ユリ科/球根植物/原産:南アフリカ/別名「クリスマスベル」
/《名前の由来》この花の発見者サンダーソン氏の名から/オ
レンジ色の小さなベルをたくさん付けたような可愛らしい花姿。
■ムギ(ワイルドオーツ)
イネ科/多年草/原産:北アメリカ/ゆらゆらと風になびく小判
型の花穂が特徴。小判草を平べったくしたような花姿で「ニセコ
バンソウ」の別名もある。枯れても散ることなく、ドライでも楽しめ
る。
■風船葛
ムクロジ科/蔓性一年草/原産:熱帯アメリカ夏に小さな花を
咲かせ、紙風船のような形をした空洞の果実をつける。蔓性で
他の植物やフェンスなどに絡まり成長。実が熟すと茶色に変わ
り、種が3つ採れる。黒い種子にハート型の白い模様が入る。
※拡大写真
http://www.fmu.ac.jp/univ/hana_img/47_zoom2.jpg
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